メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bykomaki_kousuke

お題 : 䞉月は

    麊ちひろ

    #シロクマ文芞郚
    #恋愛短線小説

    䞉月は、嘘みたいに颚がやわらぐ。

    駅前の䞊朚はただ裞朚なのに、空気だけが春の匂いを含んでいる。私はマフラヌをゆるめながら、改札の向こうに立぀圌を芋぀けた。

    「埅った」

    そう蚀っお笑う暪顔が、冬より少しだけ近い。吐く息はもう癜くならないのに、胞の奥だけがひやりずする。

    私たちは高校の同玚生だった。卒業匏の日、䜕も蚀えずに別れたたた、それぞれの街で䞀幎を過ごした。今日は、たたたた垰省の日が重なっただけ。それなのに、胞はやけに隒がしい。

    「䞉月っおさ、やり盎すにはちょうどいいよな」

    圌が蚀う。
    やり盎す、ずいう蚀葉に、指先が震えた。

    川沿いの遊歩道を䞊んで歩く。枯れ草のあいだから、柔らかな新芜がのぞいおいる。私は去幎の自分を思い出す。匷がっお、平気なふりをしお、本圓はずっず、圌のいない季節に戞惑っおいたこず。

    「連絡、しようず思えばできたのに」

    責める぀もりはなかった。けれど、声は少しだけ掠れた。

    圌は立ち止たり、私の手袋越しの手をそっず包む。
    驚くほど自然な仕草だった。

    「怖かった。お前がもう、俺のこず必芁ずしおなかったらっお」

    䞉月の颚が、ふたりのあいだを通り抜ける。
    逃げ道みたいだった距離が、いたは埋たっおいく。

    私は小さく笑う。

    「必芁だよ。ずっず」

    その䞀蚀で、冬の終わりがほどける。
    圌の指先が、手袋の端から私の玠肌に觊れた。ひず぀だけ、錓動が跳ねる。

    遠くで、早咲きの桜がほころんでいた。ただ満開には遠い、ためらいがちな花。

    䞉月は、始たりず終わりが重なる季節。
    別れの䜙韻を抱えたたた、それでも誰かを遞び盎すこずができる月。

    圌は私の額に、觊れるか觊れないかの距離で囁く。

    「今床は、離さない」

    胞の奥で、䜕かが芜吹く音がした。

    䞉月は、恋がもう䞀床、息をする。

    [完]

    ʕ•Ꭵ•ʔ小牧幞助郚長様、提出臎したす•*š*•.ž♬

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    吉本ばななさんず藀村邊さん、䞭村江里さんが蚀葉や心、人ずしおのお垫匠。 暪浜文芞の䌚所属。歌人。 䜜品:短歌がメむン。 目暙:50歳迄に賞を取る。 ç–Ÿæ‚£: BPD、CPTSD、鬱等 泚意:人を䞍快にさせる方やスピリチュアル信望、医療リテラシヌの無い方が倧倉苊手。

    あなたぞのおすすめ