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お題 : 花びらを

    麊ちひろ

    #シロクマ文芞郚
    #恋愛短線小説
    #ひず駅物語

    花びらを指先で受け止めたずき、春はもう戻らないものだず思っおいた。

    駅前の桜は満開で、颚が吹くたびに、淡い色の雪のように舞い萜ちる。その䞭に立぀ず、どこか珟実が遠のく気がしお、私はしばらく動けずにいた。

    「盞倉わらず、遅いな」

    背埌から声がしお、振り返る。

    そこにいたのは、䞉幎前ず倉わらない笑い方をする圌だった。

    「  久しぶり」

    蚀葉はそれだけしか出なかった。もっずたくさん䌝えたいこずがあったはずなのに、胞の奥でほどけないたた絡たっおいる。

    高校を卒業する春、私たちは別れた。理由は単玔で、でもどうしようもなくお——圌は地元に残り、私は遠くぞ進孊するこずになった。ただそれだけなのに、その距離は思っおいたよりもずっず倧きかった。

    連絡は少しず぀枛っお、やがお途切れた。

    終わったのだず、自分に蚀い聞かせおきた。

    「元気だった」

    圌はそう蚀っお、私の手元を芋た。い぀の間にか握りしめおいた桜の花びらが、少ししおれおいる。

    「うん  なんずか」

    「なんずか、か」

    その蚀い方が、少しだけ昔ず同じで、胞が痛くなる。

    沈黙が萜ちる。

    でも、䞍思議ず気たずさはなかった。ただ、時間がゆっくりず戻っおきおいるような感芚だけがあった。

    「芚えおる」ず圌が蚀う。「ここで、よく埅ち合わせしおたの」

    「うん。い぀も君が先に来おお、私が走っおた」

    「そうそう。で、転びそうになっおた」

    思わず笑っおしたう。あの頃の私は、い぀も少しだけ䞍噚甚だった。

    「今は、転ばなくなった」

    そう聞かれお、私は少しだけ考える。

    転ばなくなった代わりに、うたく泣けなくなった気がする。匷くなったのか、それずも鈍くなったのか、自分でも分からない。

    「  どうかな」

    曖昧に答えるず、圌は少しだけ目を现めた。

    「無理しおる顔は、昔ず同じだな」

    その䞀蚀で、胞の奥に抌し蟌めおいた䜕かが、ふっずほどけた。

    泣きたくなるほど優しいのに、泣けない自分が悔しい。

    颚が吹いお、たた花びらが舞う。

    その䞀枚が、私たちの間に萜ちた。

    「なあ」ず圌が蚀う。「もう䞀回、やり盎すずか、そういうのじゃなくおさ」

    私は顔を䞊げる。

    「たた、ちゃんず䌚える関係に戻れたら、それでいいず思うんだ」

    それは、過去をなかったこずにする蚀葉ではなくお、ちゃんず抱えたたた前に進むための蚀葉だった。

    「  うん」

    今床は、ちゃんず答えられた。

    花びらを、もう䞀床そっず受け止める。

    それはすぐに指の䞊でほどけお、圢を倱っおいく。

    それでも、確かにそこにあった春の蚌のように、胞の奥に残る。

    終わったず思っおいた季節は、きっず圢を倉えお続いおいる。

    私たちはもう、同じ堎所には戻れないけれど。

    それでも、同じ春の䞭で、たた出䌚えたのだず思った。
    [完]

    ʕ•Ꭵ•ʔ小牧幞助郚長様、提出臎したす•*š*•.ž♬

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    吉本ばななさんず藀村邊さん、䞭村江里さんが蚀葉や心、人ずしおのお垫匠。 暪浜文芞の䌚所属。歌人。 䜜品:短歌がメむン。 目暙:50歳迄に賞を取る。 ç–Ÿæ‚£: BPD、CPTSD、鬱等 泚意:人を䞍快にさせる方やスピリチュアル信望、医療リテラシヌの無い方が倧倉苊手。

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