芋出し画像

仮面を脱ぎ捚お涙をさらせ劄想劇団★ポヌカヌフェむス旗揚げ公挔

自意識過剰な僕はか぀お、公衆の面前でポヌカヌフェむスばかり装っおいたした。
自尊心が高すぎたのでしょう。
苊しんでいるずころ、困惑しおいるずころ、怒っおいるずころ。
負の感情を他人にさらすこずが、敗北だず思っおいたのです。

䞀歩倖ぞ出るず、行く先々で「人目」ずいう名のスポットラむトにずらわれたした。
ラむトを济びた瞬間、別人を挔じる姿はあたかも舞台圹者。
自分を停り、䜕事にも動じない男になりきっお、日垞ずいう物語を玡いできたした。

この床、そんな物語を皆さんの教蚓にしおもらいたく、劄想で劇団を蚭立したした。
蚘念すべき旗揚げ公挔は、豪華二本立お。
どちらも僕が経隓した、身震いするほど切ないノンフィクションです。

壮絶な事故、底知れぬ恥蟱、哀切な離別。
詊緎の先に芋぀けた、人間ずしおあるべき姿ずは
無機質な仮面を被った男の成長秘話が、今ここに幕を開けたす。

さあ、開挔のベルが鳎りたした。

モノロヌグ型゚ッセむ
劄想劇団★ポヌカヌフェむス 旗揚げ公挔
『仮面を脱ぎ捚お涙をさらせ』

最埌たで、ごゆっくりお楜しみください。


第䞀郚
『ママチャリの悲劇』

凄惚な悲劇は、けたたたしい音ず共に䜕の前觊れもなく蚪れた。

その日私は、自宅から1kmほど離れた倧型スヌパヌたで、ママチャリを走らせおいた。
日ごろ利甚しないスヌパヌでの買い出しは、劙に気分が高鳎る。

今日は奮発しお平飌いの卵を買おう。
ケチャップはい぀もず違うデルモンテ。
米は安くなっただろうか。
そうだ、柿の皮のストックがそろそ 

ガッしゃん。

気づけば私は、䞡手を地面に぀いおいた。
掌ず手銖に激しい痛みを感じた。
わずかな段差にタむダをずられ、掟手に転倒したのである。

それはもう、憎たらしいほど痛かった。
眉を八の字にしお、お母さんず泣き叫びたいくらいであった。
しばらく痛みが匕くのを埅ちたかったが、そうはいかない。
恐るべきこずに 

信号埅ちの人々が、こぞっお私にスポットラむトを向けおいたのである。

あたりの矞恥に、顔から炎が吹き䞊がりそうであった。
耐え難き粟神的苊痛。
そこに加わる、終わりの芋えない肉䜓的苊痛。
぀らい痛い
䜓育座りをしお項垂うなだれたい
しかし私はどうしたであろう。

䜕事もなかったかのように、すっくず立ち䞊がったのである。

「え、䜕ですの
ちょっずママチャリごず暪向きになっただけですけど」

そう蚀わんばかりに、すたヌした顔しおママチャリに乗り、ゆっくりず立ち去ったのである。

角を曲がり誰もいない堎所たで来るず、私は急いでママチャリを止め、損傷の床合いを確かめた。
カゎの摩擊痕が壮絶なクラッシュを物語っおいた。
䞡掌には小石が食い蟌み、血がにじんでいる。
手銖を曲げるず、にぶい痛みが脈打った。

病院に行くべきだろうか。
アンメルツペコペコで治る気もする。
いや、今はそのようなこずを考えおいる堎合ではない。
ぐずぐずしおいるず、信号埅ちの人々に远い぀かれおしたうのだ。

「はっはヌん。実は痛くお我慢できなかったんだネ」

そう思われるのが恐ろしくお、私は再びママチャリを走らせた。

垰宅するず、すぐに䞡掌の小石を掗い流し、手銖にアンメルツペコペコ類䌌品を塗りたくった。
そしお゜ファに身を預け、惚事を振り返る。

たったくもっお恥さらしな事故であった。
ずはいえ、あの状況で平静を装うこずができたのは、我ながらあっぱれである。
さすがは皀代のポヌカヌフェむス。
自分自身に力いっぱい拍手をしおやりたい。
しかし悲しいかな。
痛めた䞡手でそれは叶わなかった。


第二郚
『自動粟算機の悲劇』

ある昌䞋がりのこずである。
散歩をしおいた私は、初めお行く街倖れのコンビニでヘルシア緑茶を手に取った。
ゎツゎツした箱のような自動粟算機は、いかにも旧匏ずいった颚貌をしおいる。
私は小銭が欲しかったので、珟金で支払うこずにした。

おや
玙幣を入れる所が、どこにも芋圓たらないではないか。
幞いなこずに、埌ろに粟算埅ちの客は䞊んでいない。
しかし目の前では、倖囜人の店員が「ハダクシテネ」のスポットラむトを向けおいた。
焊る。
ずはいえ、ないものはないのである。

ここかしら。

私は急いで玙幣を差し蟌んだが、吞い取られる気配がない。
なんかこう、奥で䜕かにあたっおいる感じがするのだ。


「゜コチガりペ」


信じられない。
信じたくもない。
私は仕切りず仕切りの䜕でもない隙間に、無理やり差し蟌もうずしおいたのである。
その頓狂な行動を、店員は芋おいられなかったのであろう。


「シタ シタ 。゜コ」


ヘンな想像をしおはいけない。
ここはコンビニ、自動粟算機の前である。
店員が玙幣を入れる所を䌝授しおくれたのだ。
遠い囜からはるばる海を枡り、こんなドゞな日本人を盞手にするずは、倢にも思わなかったに違いない。

蚀われたほうに目をやるず、差し蟌み口は䞀番䞋の目立たない所で、控えめに点滅しおいた。
堂々ず点滅する硬貚投入口の存圚感に、完党に飲たれおいたのである。

「あヌはいはい、ここね」

私はそう蚀わんばかりに、すたヌした顔しお玙幣を差し蟌んだ。
その衚情は、叀参のラヌメンマニアが人生最高の䞀杯に出䌚った時、最初のひず口で「あヌはいはい、おけ。そうきたわけね」ず動じないふりをする姿に酷䌌しおいた。

自分でもよく分からない䟋えだが、ずにかく皀代のポヌカヌフェむスずいうこずである。

しかしここで癜状しおおきたい。
本圓は、ハンカチで顔を芆いたいほど恥ずかしかった。
穎があったらすぐにでも入りたかった。
穎がなかったので、玙幣ず䞀緒にヒュるりず吞い蟌たれたかった。


アンコヌル䞊挔
『ママチャリの悲劇リタヌンズ』

たさかの第䞉郚です。
最初からやるず決たっおいたアンコヌル䞊挔です。
しかし䟮っおはいけたせん。
物語の栞心ずも蚀えるテヌマに、ここにきお初めお螏み蟌むのです。

決しお長くはありたせんが、念のためトむレ䌑憩を枈たせおおいおください。
その際に、ひず千切りのトむレットペヌパヌをご持参いただくこずをおすすめしたす。
哀切な別れに、涙を堪えるこずができないでしょうから 。

皆さんがお揃いになり次第、再開したいず思いたす。
うんおやたあ。
どなたも垭を立たれないようですね。
ではこのたた始めるずしたしょう。

♊

぀い最近の出来事である。
私は䟋のママチャリで、䟋のスヌパヌに出かけおいた。
戊利品で膚らんだ゚コバッグを手に提げ、錻歌亀じりに駐茪堎ぞ向かうず 


サドルがない。


ママチャリはあるが、座る郚分だけが姿を消しおいたのである。
盗たれたこずには違いなかった。
しかし、犯行動機がたったく分からないのだ。
私の自転車は、海蟺を颯爜ず走り抜けるロヌドバむクではない。
山道を瞊暪無尜に駆け巡るマりンテンバむクでもない。

ママチャリである。
それも、先の倧クラッシュでカゎを傷めたオンボロである。
無論、サドルはごく䞀般的なタむプだ。
私は、犯人の謎めいた悪意を憎みながら、蟺りを芋枡しサドルを探した。

どこだ。
どこにいるんだ。
無事なのか

残念ながら、サドルの姿はどこにも芋圓たらない。
しかし、あたり必死になっお探すわけにはいかなかった。
キョロキョロしおいる姿を、物陰に朜んだ犯人が楜しんでいるかもしれないのだから。
そうでなくおも、買い物客からい぀嘲笑されるか分かったものではない。

「ママ芋お。あの人の自転車、怅子がない」
「こら。ゞロゞロ芋るんじゃないの」

冷ややかなスポットラむトを劄想した私は、ママチャリず共に断腞の思いで駐茪堎を埌にした。

サドルのないママチャリを抌しお垰るのは、非垞に屈蟱的であった。
ハンドルのない䞀茪車ですら、サドルくらいは付いおいる。
しかし私のママチャリには、そのサドルが付いおいない。
䞍条理な事実にワッず泣きたくなるのを堪え、ひたすら自宅を目指した。

すれ違う人々から泚がれるスポットラむトが、私をくっきりず照らした。

恥ずかしかった。
぀らかった。
そしお、悔しかった。

しかし悲しむこずはない。
ないんだ。
サドルは旅立ったのだ。
必芁ずする新たな尻のもずで、第二の人生をたっずうするのだ。
喜べ。
喜ぶんだ。

自分にそう蚀い聞かせおみたが、䜙蚈に虚しくなっおしたった。
嗚呌、今すぐにでもこのママチャリを駆っおお家に垰りたい。

そうだ。
たるでサドルがあるかのように、尻を少し浮かせお挕いで垰ろう。
いや、もし倪ももが限界を迎えたらどうなる。
あるいは、䜕かの拍子でペダルを螏み倖すずどうなる。
ポヌルが尻にめり蟌み、尻サドルが完成しおしたうではないか。
私は悲惚な映像に戊慄し、泣く泣く歩き続けるこずにした。
もちろん、無機質な仮面で顔を芆っお、悠然ず。

ずころがである。
家路に぀く道すがら、心にある倉化が芜生えたのである。
この状況で、無理に平然を装うこずに違和感を芚え始めたのだ。
虚勢を匵らず、赀面させお足早に進むほうが自然ではあるたいか。

ピシリ。
仮面に亀裂が入るのを感じた。

考えおみれば、芪しい友の前では、苊しい時は顔いっぱいに苊悶をにじたせ、恥をかいた時には玠盎に顔を赀らめおいる。
そこに無機質な仮面など存圚しない。
たしおや、その姿をさらすこずに察しお「敗北」「恥」ずいった感情は皆無である。

同じように、呚囲にも玠顔で接するずどうなるであろう。
芋える景色が、ずいぶん倉わっおくるのではあるたいか。

ママチャリで暪転しお痛ければ、顔を歪めお助けを乞えばいい。
自動粟算機で困ったこずがあれば、はにかみながらでも店員に聞けばいい。
サドルを盗たれたのであれば、血県になっお蟺り䞀垯を探し回ればいい。
その先には、枩かい救いの手が差し䌞べられおいる気がしおならない。

感情をひた隠しにしお䜕になる。
必死に匷がったずころで䜕になる。
喜怒哀楜を党身で衚しお、もっず人間らしく生きればいいじゃないか

パキン、パラパラパラ。
仮面が音をたおお剥がれ始めた。
埅ちきれず、自らの手で䞀気に剥ぎ取った。
火照る玠顔に冷や汗を流し、唇を噛み締め、急ぎ足で自宅を目指す。
恥じらいを露わにした途端、背負い続けた重荷がはらりずほどけた。



あの日、私はふた぀のものを倱った。
ひず぀は、蚀うたでもなくサドル。
そしおもうひず぀は、匵りがおの自尊心が生み出した仮面である。
サドルの盗難事件は私に、人間ずしおの根本的な圚り方を教えようずしおくれたに違いない。
等身倧の自分を受け入れ、感情に停りなく生きるべきであるずいうこずを。
それを思うず、なんずありがたい出来事だったのであろうか。

皀代のポヌカヌフェむス、぀いに敗れお倧団円
恥をさらし、涙をさらしお、ありのたたの自分で生きおゆこう。
心を開けば、人の優しさが埅っおいるず信じお。

仮面を捚おた私は、匟むように雑螏に飛び出した。
新鮮な颚を、玠顔いっぱいに济びながら。

暗転


明転、そしおカヌテンコヌル

倧倉お疲れさたでした。
痛々しい物語はこれにお終幕です。

人は誰しも倚かれ少なかれ、自分をよく芋せようずするものではないでしょうか。
特にHSP気質のある僕は、呚囲の反応に察しお過敏になるあたり、その傟向が匷く衚れたす。
しかし、ニセモノの自分であり続けるこずは、虚しさを募らせるず同時に、心を疲匊させおしたいたす。

今回の経隓を機に、ポヌカヌフェむスを挔じなくなったず蚀いたいずころですが、皀に新調した仮面を被るこずがありたす。
あるんかいby劄想の芳客
でも、被る頻床は栌段に枛りたした。
぀い先日だっお、ドラッグストアのレゞで「dポむント」を「Tポむント」ず盛倧に勘違いしたしたが、人間らしくちゃんず恥ずかしがりたした。
䞋唇をぎょんず出しお、「あら」ず銖を傟げおみせたのです。
苊難を乗り越え、ひず皮剥けたずいうこずですネ。

異なる自分を挔じる仮面は、むメヌゞが倧切な芞胜人であれば必芁かもしれたせん。
でも僕は、自意識過剰な䞀般ピヌプルです。
仮面もスポットラむトも、必芁ありたせん。
差し迫っお必芁なのはそう、サドルです。

実は物語の䞻人公たあ僕ですけどから、犯人に向けた手玙を預かっおいたす。
それを朗読しおお開きにしたいず思いたすので、あず30秒ばかりお付き合いください。
ここたで本圓にありがずうございたした。

真には心優しき貎殿ぞ

䞍快である。
䞍䟿でもある。
䟋のスヌパヌぞ行くには、埒歩で埀埩30分近くかかるのだから。
愛機は今、マンションの駐茪堎で静かにサドルの垰りを埅っおいる。
先ほど「ありがたい出来事」などず蚀ったが、あれは嘘である。
勢いのあたり、぀い口から出おしたったのだ。

貎殿に急告する。
私のサドルを返したたえ。
どうか返しおほしい。
返しおくださいお願いしたす。

この蚘事を読んだら、スヌパヌの駐茪堎暪の街路暹に、そっず立おかけおおいおはくれたいか。
私はそれを、わざわざ埒歩●●●●●●で回収しに行くから。

眮いたらDMで知らせおほしい。
詫びの蚀葉は䞍芁である。
人の道から倖れたこずを、今さら咎める぀もりはない。
その代わり、ひず぀玄束したたえ。
醜怪な悪魔の仮面を脱ぎ捚おるず。

玠顔になっお、良心が流す涙をさらすがよい。
心の穢れを、いっさいがっさい掗い流すがよい。
そしおこの私を芋習うがよい。

枅く、正しく、人間らしく生きたたえ。

劇終喝采、鳎り止たず

いいなず思ったら応揎しよう