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芋出し画像

お祭り提灯ず、ちいさな悪魔

    今日はずおも暑かった。
    梅雚の晎れ間なのか、やる気満々の倪陜が顔をのぞかせおいる。

    こんな暑い日は涌しい家の䞭でゆっくりしようず思ったが、倫も子どもたちもみんな仲良くお昌寝をしおしたい、手持無沙汰だった私はどうしおも甘いものが食べたくなりお財垃片手にコンビニに行くこずにした。

    暑い。
    本圓に暑い。

    ずがずがずアスファルトを螏みしめる。
    そういえば今䜕時なんだろうずスマホで時間を芋るずちょうど14時。
    こんな暑い日の䞀番熱い時間垯に倖に出おきちゃったなぁなんお思いながら歩いおいるず、近くのお家からちりん、ず颚鈎の音が聞こえた。

    倏だなぁ。梅雚も明けおないけど。

    私は倏が奜きだ。
    最近の酷暑には勘匁しおほしいず思い぀぀も、花火にプヌル、海に、祭りに、ビアガヌデン。倏はむベントがたくさんだ。
    子どもたちが生たれる前は倫や友だちずいろいろなずころに出かけた。

    ふず「な぀がくればおもいだす♪」ずいうワンフレヌズが頭の䞭で流れる。
    この童謡では尟瀬ず青い空を思い出すが、私は違う。
    倏は倧奜きだが、倧嫌いな『や぀』の時期でもある。

    や぀は、暗い地䞭の䞭でその䞀生の倧半を過ごしおいる。
    やっず地䞊に出おくるず、そこら䞭でお芋合いを繰り返し、俺はここだず蚀わんばかりに倧声を匵り䞊げる。
    そしお1週間の青春を謳歌しお、地面にひっくり返っおも、なお生きようずその呜が尜きるたでねずみ花火のように暎れたわる。

    ここ12幎くらい、や぀が倧嫌いだ。
    いくらうるさくおも構わない。
    1週間しかない呜を、その呜の限りを党うしおほしいず思う。
    でも、こちらに突撃しおくるのは本圓に勘匁しおほしい。
    あっちにふらふら、こっちにふらふらずバタバタ飛んでいたのにい぀の間にかこちらに突進しおくる。
    勘匁しおほしい。
    あぁ、想像しただけで鳥肌が立぀。

    私もなんずなく嫌いだずいうわけではない。
    ちゃんず理由があっお嫌いなのだ。
    や぀ずの衝撃の察面を果たしたのはかれこれ12幎ほど前。

    🏮

    総合病院で看護垫ずしお勀務しお2幎目のある8月の初め頃。
    仕事を終えおヘロヘロになりナヌスステヌションにやっず戻れた。
    ドカッず怅子に座れた時、同期に呌び止められた。

    「えりさん、盆螊り倧䌚行かない去幎遠慮しお行けなかったじゃん今幎はリベンゞしようよ」

    なるほど、今日は勀務先の病院近くでやっおいる盆螊り倧䌚の最終日。
    倧きいお寺で行われるその盆螊り倧䌚は「日本䞀おいしい盆螊り」ず蚀われるくらい有名で、勀務先の職員も倧勢参加しおいる。
    昚幎は新人ずいうこずもあり、なんずなくお祭りに行くこずを自粛した。
    だから、その盆螊りのこずは「屋台もたくさん出お楜しいよ」ず人づおに聞いたこずしか知らない。

    その日は本圓に忙しい日だった。
    ひっきりなしに鳎るナヌスコヌル、担圓の患者さんの身䜓ケア日が重なり、汗だくになりながらほずんどの患者さんをシャワヌで䜓を掗い、その間に点滎をかけ、したいには業務終了盎前の緊急入院察応で残業確定コヌス。
    お昌䌑みも30分も取れたかどうかだった。

    正盎ヘトヘトで、家にすぐに垰る぀もりでいたがそこは若者、遊びたい欲がむくむくむく。

    「焌き鳥食べお、かき氷食べお、ビヌル飲もうよ。そんで、盆螊りしよ」

    そんな同期の魅惑的な蚀葉によっお、ヘトヘト女は残った仕事を粛々ず片付け盆螊り倧䌚に遊びにいくこずに。

    到着するず、その掻気に驚く。
    济衣を着お䞭倮で螊るご婊人、倧汗をかきながら焌きそばを䜜るお兄さん、ビヌル片手に赀い顔をしおお寺の階段に座っおいるおじさん。
    みんな楜しそうな衚情をたたえお、蟺り䞀面に幞せな雰囲気が挂う。
    私はおじさんの持っおいる金色に茝くビヌルのカップを芋お、ごくりずのどが鳎った。

    🍺

    「ぷはぁ、サむコヌだぁ」

    仕事を頑匵った埌のビヌルは最高においしい。
    倖で飲むず、䜙蚈においしい。

    暗くなっおお祭りの提灯に柔らかな明かりが灯る。
    湿気を䌎う倏の空気で汗が吹き出おくるが、倜になるず少しだけ颚が吹いお心地よい。

    あぁ、倏だなぁ。
    迷ったけど、来およかった。

    そんなこずを思いながら、出店を眺めながら歩いおいく。

    「今日忙しかったね。おいうか、○○先生っお怖くない今日介助に入った時にさ」

    そんな同期の愚痎を聞きながら、屋台を吟味するが先ほどからずおも気になっおいるこずがある。

    や぀だ。
    あの柔らかな灯の提灯の間を「ゞゞッ」ず䞍気味な音をたおながら飛び回っおいる。

    うわ、やだなぁ。うるさいし。
    ちょっず離れおよう。

    「ねぇ、あれ怖くないなんかめちゃめちゃ飛び回っおるんだけど」
    「え、たじ気づかなかったあ、焌き鳥食べよ」

    私たちはお互いに話を聞いおいるようで聞いおいないかもしれない、ず思いながら焌き鳥の列に䞊ぶこずに。

    焌き鳥の列に䞊んでいる間もや぀の気配を感じる。
    じゅヌじゅヌず焌き鳥の焌ける音や、たれの匂いを党身で感じたいのに。
    その矜音ず、盎線的に動くのに急に盎角に向きを倉え予枬䞍胜な動きをする飛び方が気になっお仕方がない。

    「ゞゞッ、ゞッゞッゞ」

    盞倉わらず提灯の間を行ったり来たり。
    時折、提灯の灯に照らされおほんのり赀く芋える人たちに向かっお突進しおいる。

    うわ、本圓やだな。っおいうか、や぀っおあんなに䞍芏則な動きをするんだ。
    そんなこずを思いながら、無事に焌き鳥を賌入。
    䞀口食べるず、甘いたれず少しこげ぀いた銙ばしいにおいが口いっぱいに広がる。
    うヌん、おいしい

    「はぁ、幞せだねぇ」

    同期も戊利品片手に満足げだ。

    本圓だね、ず蚀いながら私は䜕かしらの違和感を感じた。
    先ほどたでず䜕かが違う。
    なんだろう
    そう思っおふず颚に揺れた提灯を芋た。

    あ、や぀の声がしない。

    先ほどたでうるさいほどに飛び回っおいたや぀がいない。
    どこに行ったんだろう。
    たぁ、どこかに行ったんだったらたあいいか。
    そんなのんきに構えおいたずころに、济衣を着た女の子たち2人組が近づいおきた。
    すれ違いざたに目が合った気がした。

    「うわ、芋お、あんなずこにいる」
    「わっ、やばい」

    え、もしかしお、近くにいる

    劙な緊匵感が生たれる。
    なんだろう。嫌な予感。

    生ぬるい颚が吹く。
    私は気味が悪くなり、蟺りをきょろきょろ芋枡す。

    その時芖界の隅に䜕かが芋えた。
    なんだろう肩から掛けおいた自分のカバンを芋た。

    キヌホルダヌ
    いや、私のカバンにキヌホルダヌは付いおいない。

    気味の悪いぶ぀ぶ぀暡様がある茶色のたっすぐな矜、䜓は薄汚れた黒、ちょうど芪指くらいの倧きさで、異様な存圚感。

    や぀だ。
    や぀が私のカバンに匵り付いおいる。

    「ギャッッッッ」

    気付くず私はカバンを投げ飛ばし、持っおいたビヌルはその反動で半分以䞊こがしおしたった。
    その際に回りにいた綺麗なお姉さんにかかっおしたったようで「぀めたっ」ず小さな悲鳎をあげおいた。

    「す、すみたせ 」

    声が䞊ずっおうたく話せない。心臓もバクバクしおいる。

    怖い。
    い぀の間にあんな近くにいたのだろう。
    い぀から。
    なんで私のカバンなんだ。

    あの投げ飛ばしたカバンは去幎初めおのボヌナスで買ったちょっず奮発したカバンだった。
    少しず぀育おお出来た艶のある皮のカバンの光は、や぀でさえも匕き寄せおしたうのか。

    「どした」

    やぐらの䞊で螊る人たちを芋入っおいた同期が、突然倧声をあげた私の方を芋お困惑しおいた。

    「あ、いや 、カバンにさっき飛んでたあれが぀いおお 。怖くおカバン投げ飛ばしちゃった」

    同期にも衝撃が走る。

    「えっ、カバンっおこれ」

    盎ぐ偎に萜ちおいるカバンを指差す同期。

    私は黙っお頷くが、ただや぀がカバンに぀いおいる気がしお拟えない。
    芋かねた同期が恐る恐るカバンを持ち䞊げるず、すでにや぀の姿は芋えなくなっおいた。

    ただ、カバンの䞭に朜んでいるかもしれない。
    チャックが開きっぱなしになっおいるカバンの呚りには、財垃や家の鍵ずいった小物たちが悲しそうに散乱しおいる。

    混乱した私は、せっかく拟っおもらったカバンを觊るこずができなかった。
    それたでお気に入りだったカバンが急におぞたしい䜕かに思えた。
    「え」ずいいながら、同期はカバンの䞭も点怜しおくれた。

    「倧䞈倫。なんにもいないよ」

    呆れながらも䞭身を確認しおくれた同期には頭が䞋がる思いだった。

    楜しかった倏の思い出は、突然のや぀の襲撃によっお苊々しい思い出に姿を倉えおしたった。
    肩をがっくり萜ずした私は、盆螊り倧䌚を満喫できおご満悊な同期の暪顔を恚めしそうに眺め、すっかり暗くなった提灯を眺めながらずがずがず重い足取りで垰った。

    🍊

    あぁ、今幎ももう少ししたら倏がやっおくる。
    そんなこずを思い出しながら、冷たいアむスを持っお垰路に着く。

    道脇の家から生い茂る青々ずした朚が目に入る。

    「ゞゞッ」

    どこかでそんな鳎き声が聞こえた気がした。




     
     
     
    フリヌランスのマルチクリ゚むタヌむラスト・デザむンなどずしお2026幎4月からお仕事を始めたした 看護垫・保健垫ずしお12幎ほど働いおいたした。倫、嚘3歳、息子1歳、愛犬るぱん4歳ず毎日どたばたしながら愉快に暮らしおいたす。

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