今日は泣かずに、手を振った
この4月から始まった「こども誰でも通園制度」を、我が家はかなり利用している。
とはいえ、利用できる保育園は毎回同じではない。
今、息子は三つくらいの保育園を行ったり来たりしている。
大人でも新しい環境は疲れるのに、1歳で毎回よくやっているなと思う。
最初の頃は、保育園に着いた瞬間から空気で察していた。
抱っこの体勢を少し変えるだけで、
「あ、ここだ」
と分かるらしい。
急に抱っこが強くなる。
服をぎゅっと掴まれる。
こちらの肩に顔を押しつけてくる。
「離れない」という意思表示だけは、まだ1歳なのにかなりハッキリしていた。
でも最近、たまに変化が出てきた。
泣かない日がある。
保育士さんに抱っこされても、そのまま少し不安そうな顔でこちらを見るだけの日がある。
先日は、抱っこを渡したあと、こちらを見ながら最近覚えた「バイバイ」をしてきた。
小さい手を、一生懸命ぱたぱた振っている。
でも、目はずっとこちらを見ていた。
笑顔はなかった。
まるで、私を観察しているようだった。
それでも、その手はちゃんと「バイバイ」になっていた。
成長したな、とも思う。
でも、その「バイバイ」が、自分と別れるために使われているのを見ると、なんとも言えない気持ちになる。
こちらも反射みたいに「バイバイ」と返したけれど、心の中では少しだけ、
「あれ、もう大丈夫なのか」
と思ってしまった。
ずっと思っていた。
「今日は軽めで頼む……」
と。
朝から全力で泣かれると普通にくる。
だから、泣かずに行けるようになったなら、本当は喜ぶべきなんだと思う。
でも実際は、嬉しさと寂しさが同時に来る。
泣かれると辛い。
でも、泣かれなくなるとそれはそれで寂しい。
我ながら、勝手だと思う。
そんなふうに、少しずつ離れていく日がある。
でも別の日、外ではまだ両手を伸ばしてくる。
仕方なく抱っこすると、首にしがみついてくる。
しかも、かなり強く。
正直、かなり重い。
47歳の腰にはちゃんとくる。
そして気づいたら、重い体をもう少しだけ抱き直していた。
