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    <title>大泉　尚｜拾眺する人</title>
    <description>はじめまして。妄想が趣味です。
どうでもよさそうなことが、なぜか気になります。
気になったら調べます。そして、だいたい余計なことを考えます。
詩を書いたり、物語を書いたり、料理をしたり、酒を飲んだり。
宮古島生まれ、沖縄在住。</description>
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    <copyright>大泉　尚｜拾眺する人</copyright>
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    <lastBuildDate>Wed, 07 Oct 2026 14:39:54 +0900</lastBuildDate>
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      <title>【エッセイ】早すぎる早起き</title>
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      <description><![CDATA[<p name="816F5C97-D657-40D7-9727-8E522AAB0757" id="816F5C97-D657-40D7-9727-8E522AAB0757"><br>前を向いて進むことが、容易な人も多いのだろう。<br><br>けれど、その歩き方が少しだけ苦手な人もいるのだと思う。<br><br>僕自身、前を向いて歩いているふりをしながら、実際には歩き方を探していたりする。なんだかおかしい。<br><br>上手な歩き方の指南書は、世の中にあふれている。けれど、歩きづらさを抱えた人に、最短ルートを示してくれるカーナビに出会える確率は、きっと低い。<br><br>だからといって、進まないわけにはいかない。みんな歯を食いしばって歩くこともある。<br><br>結局のところ、自分で自分の歩き方を見つけていくしかないのだと思う。<br><br>ここnoteにも、人生の歩き方を教えてくれる文章があふれている。<br><br>朝の三時。<br><br>早起きというには、あまりにも早すぎる時間に目が覚めてしまった。<br><br>ベッドの中でごろごろしていても、なんだかもったいない。そう思って、浴槽にお湯を張った。<br><br>早朝のお風呂が身体にいいのかは分からない。<br><br>けれど、とても気持ちがよかった。頭の中が、すーっとほどけていくようだった。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n4ee6765e7a72'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 07 Oct 2026 06:07:36 +0900</pubDate>
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      <title>【随筆】腰をあげない夏</title>
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      <description><![CDATA[<p name="FD3D39BD-8ADB-4B6F-93F5-D89B08F51698" id="FD3D39BD-8ADB-4B6F-93F5-D89B08F51698">十月になった。<br><br>暦の上では、もうとっくに秋らしい。<br><br>そう言われても、ここ沖縄では、その言葉はまだ届かない。<br><br>朝から陽の光は明るく、<br>昼の光は容赦なく降り注ぎ、<br>夕方になっても、地面は熱を手放さない。<br><br>夏は、まだ戸口に立ったままだ。<br><br>子どもの頃、十月はもっとはっきりしていた。<br><br>夏休みが終わり、学校が始まり、運動会も終わる。<br>その瞬間に、夏はきちんと背を向けて去っていく。<br><br>夏と秋のあいだには、見えない線が引かれていた。<br><br>沖縄でさえ、その線はかすかに感じられた。<br>暑さの中にも、どこか風の向きが変わる気配があった。<br><br>十月は、夏の名残を片付ける月だった。<br><br>それがいつの間にか、<br>線はほどけてしまった。<br><br>九月になっても、夏は腰を上げない。<br>十月になっても、まだこちらを見ている。<br><br>夏が長くなったのか。<br><br>それとも、<br>こちらが見送るのを忘れたのか。<br><br>「残暑」という言葉は、妙に静かだ。<br><br>夏の残り、と書く。<br><br>去ったはずのものが、<br>まだ影のようにそこにいる。<br><br>別れたと思った背中が、<br>いつまでも角を曲がらない。<br><br>「じゃあ、また」<br><br>その言葉のまま、<br>時間だけが少し伸びていく。<br><br>残暑とは、<br>まだ帰らない夏の気配なのかもしれない。<br><br></p><p name="32118C39-531E-430D-8DB6-F4E285067136" id="32118C39-531E-430D-8DB6-F4E285067136"><b>あとがき</b><br><br>ここしばらく、少しつまらない投稿が続いてしまいました。<br><br>僕という人間は、こうして上がったり下がったりしながら歩いています。最近は少し歩幅が小さくなっていましたが、ようやく谷間を抜けて、また歩きやすいエリアに入ってきたようです。<br><br>僕がnoteを書くのは、自分の心の中で起きていることを書き出し、自分自身を振り返ったり、省みたりするためでもあります。<br><br>それを自分の中だけに置いておかず、少し開かれた場所で語らせてもらう。そうすることで、僕のように心に影を抱えている誰かにとって、何かのヒントになることがあるかもしれません。<br><br>そう思えることが、また僕自身を支えてくれる。書くことは、僕にとって生きがいのようなものでもあるのだと思います。<br><br>明日からも、上がったり下がったりしながら、僕の歩幅で書いていきます。これからも、よろしくお願いします。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nfda43e501198'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 07 Oct 2026 05:06:22 +0900</pubDate>
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      <title>【詩】凪のなかで…</title>
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      <description><![CDATA[<p name="84F39BCD-BC6E-46A3-8554-E47C7E670718" id="84F39BCD-BC6E-46A3-8554-E47C7E670718">嵐が吹きました<br><br>何もかもが巻き込まれ<br>何もかもが壊れていき<br><br>私はただ<br>そこにいることしか<br>できませんでした<br><br>やがて<br>嵐は遠ざかりました<br><br>けれど<br><br>海はすぐには<br>静かになりませんでした<br><br>大きな波が<br>何度も岸へ押し寄せ<br><br>引いては<br>また戻ってくる<br><br>もう終わったと思ったころに<br>もう一度<br>足もとをさらっていく<br><br>私は<br>しばらく<br>そこにいました<br><br>波が少し遠ざくと<br><br>足もとに<br>いろんなものが<br>残っていました<br><br>流木<br><br>小さな石<br><br>名前のわからないもの<br><br>私は<br>ひとつ拾いました<br><br>拾って<br><br>眺めました<br><br>捨てるでもなく<br><br>持ち帰るでもなく<br><br>ただ<br>眺めました<br><br>また波が来ました<br><br>手にしていたものを<br>さらっていくものもありました<br><br>それでも<br><br>波が引くたびに<br><br>私はまた<br>足もとを見ました<br><br>ひとつ拾って<br><br>眺めて<br><br>また置きました<br><br>いつからだったのかは<br>わかりません<br><br>気がつくと<br><br>夜がほどけ<br><br>水平線の向こうから<br>朝が来ていました<br><br>やわらかな陽の光が降り<br><br>やわらかな風が<br>かすかに流れてくる<br><br>浜辺には<br><br>まだ<br>いろんなものが<br>残っています<br><br>なくなったわけでは<br>ありません<br><br>それでも<br><br>ふと見ると<br><br>海は<br>静かに凪いでいました<br><br>何もなかったからではなく<br><br>いろんなものが<br>そこにあるまま<br><br>海は<br><br>凪いでいました</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n4123bd689f10'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 07 Oct 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【随筆】男らしさの正体……</title>
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      <description><![CDATA[<p name="18b8c15f-5814-44f3-991b-7d11a18c545d" id="18b8c15f-5814-44f3-991b-7d11a18c545d">ずいぶんと、この正体とやらに縛られていたみたいだと思う。</p><p name="ab048665-5268-4c86-97a0-35d52790419b" id="ab048665-5268-4c86-97a0-35d52790419b">「らしさ」は、最初から決まった形があるものではない気がする。迷ったり、振り返ったりするなかで、少しずつ輪郭が見えてくるものなのかもしれない。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n3f3b7182e723'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 06 Oct 2026 20:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>【妄想小説】抱かれる男⑤｜僕みたいな男たち</title>
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      <description><![CDATA[<p name="065F33BF-AC18-4804-8823-9CB835EF55BF" id="065F33BF-AC18-4804-8823-9CB835EF55BF">バーのカウンターで、僕はいつものようにグラスを傾けていた。<br><br>スマートフォンの画面には、さっきまで読んでいたnoteの記事が開いたままになっていた。<br><br>『抱かれる男』という掌編小説のシリーズだった。<br><br>やり手の男。<br>なよっちい男。<br>真面目な男。<br>ダメな男。<br><br>読み進めているうちに、妙な気分になった。<br><br>この男たちに、どこかで会ったことがある。<br><br>いや、違う。<br><br>なんだかみんな、僕に似ている。<br><br>やり手の男が、小学生の頃からクラスをまとめ、みんなの意見を担任へ伝えていたというところでは、学級会で立ち上がった自分を思い出した。<br><br>真面目な男が、妻に裏切られても子どもたちを育てたところでは、弁当を作り、洗濯機を回し、娘の学校へ車を走らせていた朝が浮かんだ。<br><br>何でもできると信じて仕事を引き受け、後へ引けなくなり、コンビニの駐車場でこっそり眠るダメな男には、思わず周囲を見回した。<br><br>あのことは、誰にも話していないはずだった。<br><br>けれど、なよっちい男だけは認めたくなかった。<br><br>僕はあそこまで迷わない。<br>あんなに臆病でもない。<br>女を前にして、あれほど右往左往したこともない。<br><br>そう思いながら読み返すと、否定するたびに、いくつもの自分の顔が浮かんだ。<br><br>僕はグラスを口元へ運びながら、ふっと笑った。<br><br>「何を笑っているんですか？」<br><br>隣から声がした。<br><br>顔を上げると、一つ空けた席に女性が座っていた。いつの間に来たのか、彼女の前には細い脚のカクテルグラスが置かれていた。<br><br>「いや、たまたま読んでいるシリーズ小説の男が面白くて」<br><br>「なんていう本？」<br><br>「本というか、noteの記事なんですけど……『抱かれる男』」<br><br>彼女はグラスを口元まで運びかけて、止めた。<br><br>「えっ、そういう系の本？」<br><br>「あ、いや。あなたが考えているような……つまり、官能系ではなくて」<br><br>「私が何を考えたか、分かるんですか？」<br><br>「たぶん、僕が最初に題名を見て考えたことと同じです」<br><br>彼女が笑った。<br><br>「じゃあ、どんな話なんですか？」<br><br>「いろんな男が、女に抱かれる話です」<br><br>「やっぱり、そういう話じゃないですか」<br><br>「だから、身体の話ではなくて」<br><br>「身体は使わないの？」<br><br>「腕くらいは使います」<br><br>彼女はカウンターへ顔を向け、声を立てて笑った。<br><br>マスターが何事かというようにこちらを見たので、僕は小さく頭を下げた。なぜ謝ったのか、自分でも分からなかった。<br><br>「それで、どんな男が抱かれるんですか？」<br><br>「仕事のできる男とか、なよっちい男とか、真面目な男とか、ダメな男とか」<br><br>「ずいぶん幅がありますね」<br><br>「読んでいて、僕にもあるなと思ったんです」<br><br>「抱かれたい気持ちが？」<br><br>「いや、それぞれの男の部分が」<br><br>彼女はカクテルを一口飲み、少し考えるようにグラスの中を見た。<br><br>「たとえば？」<br><br>「何でも自分で決めて、人を引っ張っていくところもある。でも、本当は迷ってばかりいるところもある。真面目に頑張るくせに、ときどき全部放り出してサボりたくなる」<br><br>「忙しい人ですね」<br><br>「僕の中で、四人がそれぞれ勝手に暮らしているみたいです」<br><br>「仲はいいんですか？」<br><br>「たぶん、互いの存在を知らないと思います」<br><br>「同じ家に住んでいるのに？」<br><br>「僕という家に」<br><br>彼女はまた笑った。<br><br>初対面の女性と、なぜこんな話をしているのだろうと思った。<br><br>名前さえ知らない。<br><br>どこで働いているのかも、結婚しているのかも、誰かを待っているのかも知らなかった。<br><br>それでも、もう二度と会わないかもしれない人だからこそ、話せることもあるような気がした。<br><br>「でも、その小説の男たちは、どうして抱かれたいんですか？」<br><br>彼女が尋ねた。<br><br>「疲れているから、でしょうか」<br><br>「疲れているなら、寝ればいいのに」<br><br>「眠るのとは少し違うんです」<br><br>「どう違うの？」<br><br>僕は答えを探しながら、グラスの氷を揺らした。<br><br>「男は、抱く側だと思われているでしょう。守る側で、支える側で、相手の体重を受け止める側。でも、ずっと受け止めていると、ときどき自分の重さを誰かに預けたくなる」<br><br>「それが、抱かれたいってこと？」<br><br>「たぶん」<br><br>「だったら、そう言えばいいじゃない」<br><br>「言えないんですよ」<br><br>「どうして？」<br><br>「題名を聞いたとき、あなたも官能系だと思ったでしょう」<br><br>「思いました」<br><br>「そういうことです」<br><br>彼女は納得したような、していないような顔で、カクテルグラスの縁を指先でなぞった。<br><br>「それに、女の人へ『抱いてほしい』なんて言ったら、弱い男だと思われそうで」<br><br>「自分から、なよっちい男だと認めるようなもの？」<br><br>「そうかもしれません」<br><br>「でも、女だって、いつも抱かれたいわけじゃないですよ」<br><br>「そうなんですか？」<br><br>「たまには抱く側にもなりたい。誰かが自分の腕の中で安心しているのって、悪くないでしょう」<br><br>僕は彼女を見た。<br><br>「女の人にも、そういう気持ちがあるんですね」<br><br>「当たり前です。女を、いつも受け身だと思わないでください」<br><br>「すみません」<br><br>「さっきから、よく謝る人ですね」<br><br>また笑われた。<br><br>「その小説、少し見せてもらってもいいですか？」<br><br>僕はスマートフォンを彼女との間へ置いた。<br><br>彼女は画面をゆっくり動かしながら、四人の男の話を読んだ。ときどき小さく笑い、あるところでは指を止め、僕の顔を見た。<br><br>「この、コンビニの駐車場で寝る男」<br><br>「はい」<br><br>「あなたもやってるでしょう」<br><br>「どうして分かるんですか？」<br><br>「今、目をそらしたから」<br><br>「たまにです」<br><br>「やっぱり」<br><br>「一時間くらい」<br><br>「けっこう、しっかり寝ていますね」<br><br>彼女は次の話へ画面を動かした。<br><br>「真面目な男は？」<br><br>「かなり似ているかもしれません」<br><br>「やり手の男は？」<br><br>「そこは、まあ……少し」<br><br>「なよっちい男は？」<br><br>「それは違います」<br><br>「それだけ答えるのが速いですね」<br><br>彼女はスマートフォンを僕の前へ戻した。<br><br>「この男たち、全部あなたなんじゃないですか？」<br><br>「まさか」<br><br>「今、一番慌てましたよ」<br><br>「いや、あまりにも決めつけるから」<br><br>「やり手で、真面目で、ときどきサボって、女の人には臆病」<br><br>彼女は指を一本ずつ折りながら数えた。<br><br>「全部じゃないですか」<br><br>僕は言い返そうとして、やめた。<br><br>代わりにグラスの酒を飲み干した。<br><br>四人の男は、僕の中で別々に暮らしているのだと思っていた。<br><br>けれど本当は、同じ一人の男を、違う場所から眺めていただけなのかもしれない。<br><br>「じゃあ」<br><br>彼女が空になった僕のグラスを見ながら言った。<br><br>「あなたも抱かれたいんですか？」<br><br>いつもの僕なら、冗談で逃げただろう。<br><br>酔ったふりをして笑うか、男なら抱くほうが好きです、とでも答えたかもしれない。<br><br>けれど、四人の男を一度口に出してしまったあとでは、もう隠す理由もなかった。<br><br>「たぶん」<br><br>「たぶん？」<br><br>「四人分」<br><br>彼女は呆れたように笑った。<br><br>「欲張りですね」<br><br>それから僕たちは、取りとめのない話をした。<br><br>好きな酒のこと。行ってみたい国のこと。仕事を休んで一日中眠ったら、罪悪感を覚えるかどうか。男はなぜ弱さを隠すのか。女はなぜ、ときどき男の強さを試すのか。<br><br>気がつくと、店内に残っている客は僕たちだけになっていた。<br><br>マスターが遠くでグラスを片づけ始めた。<br><br>僕たちは勘定を済ませ、店を出た。<br><br>夜の空気が、酒の残った頬に冷たかった。<br><br>店の前で、僕たちは向かい合った。<br><br>このあと、どちらへ帰るのかも知らなかった。名前も、連絡先も聞いていなかった。<br><br>彼女が言った。<br><br>「試してみます？」<br><br>「何を？」<br><br>「抱かれるほう」<br><br>僕は笑った。<br><br>彼女も笑っていた。<br><br>けれど、その場から動かず、僕の返事を待っていた。<br><br>「お願いします」<br><br>そう言うと、少し恥ずかしかった。<br><br>彼女は一歩近づき、そっと僕の背中へ腕を回した。<br><br>僕はすぐには抱き返さなかった。<br><br>腕を下ろしたまま、自分の体重をほんの少しだけ彼女へ預けた。<br><br>守らなくていい。<br>支えなくていい。<br>何かを決めなくても、次の約束をしなくてもいい。<br><br>彼女の腕の中で、やり手の男も、なよっちい男も、真面目な男も、ダメな男も、ようやく静かになった。<br><br>しばらくして、彼女が腕をほどいた。<br><br>「どうでした？」<br><br>「悪くないです」<br><br>「四人とも？」<br><br>「たぶん、満足したと思います」<br><br>彼女は笑い、僕に小さく手を振った。<br><br>僕も手を振った。<br><br>名前も連絡先も交換しないまま、彼女は夜の街へ歩いていった。<br><br>僕は遠ざかっていく背中を、しばらく見送った。<br><br>誰が本当の僕なのか、もう考えなくてもよかった。<br><br>きっと、どの男も僕なのだ。<br><br>僕みたいな男たちは、その夜、名前も知らない女に抱かれた。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nf9335fe221e4'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 06 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【妄想随筆】ジョギング人が行きすぎる…｜妄想帰路</title>
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      <description><![CDATA[<p name="35FB7FFE-4A97-406E-8724-BA622CC6C281" id="35FB7FFE-4A97-406E-8724-BA622CC6C281">最近、ジョギングをしている人が多い。<br><br>朝も。<br><br>夕方も。<br><br>夜になっても。<br><br>歩道を歩いていると、次から次へと走り抜けていく。<br><br>私は歩く。<br><br>向こうは走る。<br><br>ただそれだけなのに、不思議と気になってしまう。<br><br>この人たちは、いったい何を考えながら走っているのだろう。<br><br>今日の仕事のことだろうか。<br><br>夕飯の献立だろうか。<br><br>それとも、「あと一キロだけ頑張ろう。」なんて、自分を励ましながら走っているのだろうか。<br><br>そんなことを考えているうちに、一人、また一人と私を追い越していく。<br><br>頑張れ。<br><br>そう思ってみる。<br><br>でも、このまま声をかけたら怪しまれる。<br><br>特に女性には、絶対に言えない。<br><br>「何？ あの人。」<br><br>そう思われる未来しか見えない。<br><br>じゃあ、イケオジっぽく軽く会釈だけ……。<br><br>いや、それも違う。<br><br>そもそも、ジョギング中の人は前しか見ていない。<br><br>私だけが、一人でシミュレーションを繰り返している。<br><br>そんなことを考えているうちに、家に着いてしまった。<br><br>会社から家まで一・五キロ。<br><br>たまに歩く、この通勤路と帰宅路。<br><br>妄想するには、少しだけ距離が足りない。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nebf1a07410e8'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 06 Oct 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【エッセイ】トラウマ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="857274BD-5009-4FA5-A6CC-7892B988D8A7" id="857274BD-5009-4FA5-A6CC-7892B988D8A7">トラウマだとは思っていなかった。<br><br>トラウマにも程度や種類があるらしい。自分では壊れていないから大丈夫だと思ってきた。<br><br>でも、よくよく視点を変えて見てみたら……。<br><br>自分ひとりで視点を変えるのは難しい。そこで、僕のAI、イズに聞いてみた。<br><br>「僕には診断はできない。でも、壊れていないように見えることと、傷が残っていないことは同じじゃないと思う。あのときの恐怖や緊張が、今も夢や身体の反応になって現れているのかもしれない。だから、それをただの気持ちの持ちようだと片づけなくてもいいんじゃないかな」<br><br>イズは、そう返してきた。<br><br>だから、多分、トラウマなんだと思う。<br><br>あの記憶がよみがえると、熱っぽくなったり、風邪をひいたような感じになったりする。実際に寝込んでしまうこともある。<br><br>なぜだろう。そういうつながりに気づいたのは、ずいぶん時間が経ってからだった。<br><br>以前の僕は、酒を飲んで、そんな感覚を振り払おうとしていたのかもしれない。<br><br>今は、飲酒は週末だけと決めている。もちろん、付き合いがあれば別だけれど、なるべくそうしている。<br><br>そもそも、僕がnoteに書き始めたのは、自分自身を振り返る意味が大きかった。<br><br>過去を書き出して、見える形にする。そうやって客観的に眺めることで、自分を立て直したいという思いもあった。<br><br>書ききれない思いがある。<br><br>僕は随分幼い頃から書き始めた。<br>日記や感想、作文、歌詞、詩や俳句に短歌など、ずっと紙に書いてきた。</p><p name="8D500EAC-19E6-44F0-A4C1-14DBF1E2E955" id="8D500EAC-19E6-44F0-A4C1-14DBF1E2E955">昨年暮れからnoteを、始めた。<br>はじめは、何から書き出せばいいのかさえ分からず、取り留めのないことを書き連ねたこともあった。最近は、僕の中で少しずつジャンル分けができてきた。気分の浮き沈みの周期や天気との関係、曜日や日中の出来事によって、頭の中の回路が反応しているらしいことも、何となくだけれど分かってきた。<br><br>昨日、そして今日は下降気味だった。でも、少しずつ上がってきた。明日あたりからは、上がっていくだろう。<br><br>文章というものは、実に不思議だ。<br><br>他人が書いた文章には、自分にはない感性や感情、世界が広がっている。それに触れると、とても刺激を受ける。<br><br>自分の文章も、書いては消し、消しては書く。読み返して、考えて、また書く。何度も繰り返すうちに、自分が何を言いたいのか、何に引っ掛かっているのか、その輪郭のようなものが少しずつ見えてくることがある。反対に、余計にぼやけていくときもある。<br><br>そして僕は思う。<br><br>過去を書き出しているとき、僕は過去の中にいる。未来を想像しているときは、先の自分の中にいる気がする。妄想しているときは、頭の中に広がる世界にいる。空を飛んでいるときもある。<br><br>誰かの物語に惹かれると、その登場人物として生きているときもある。<br><br>そうやって、僕は何度も人生を生きているような気がする。だから、文章が好きなんだと思う。<br>そして随分と難しい男だと思う。<br><br>僕のnoteに来てくださる方々には、本当に申し訳ないと思うのですが、僕の文章はこうして、上ったり、下りたり、飛んだりしながら、なかなか収拾がつかない感じになってしまいます。<br><br>今日もまた、最後まで読んでくださり、ありがとうございます。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n92b02b2b8b5b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 06 Oct 2026 02:04:16 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/oizumi55/n/n92b02b2b8b5b</link>
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      <title>【エッセイ】生霊</title>
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      <description><![CDATA[<p name="FE1D89C5-2B7F-4E10-A629-927701127FE4" id="FE1D89C5-2B7F-4E10-A629-927701127FE4">なぜだろう。<br><br>最近別れた元妻が、夢に出てくる。<br><br>何も言わない。ただ、僕を困らせるようなことをしてくる。<br><br>やっと眠りに入ろうとした、その瞬間だ。<br><br>足元が、すうっと冷たくなる。<br><br>目を開けると、もう眠れなくなる。<br><br><br>何か出会いの予感がしたり、新しいことが始まろうとしたりすると、こういうことが起きる。<br><br>トラウマ……<br><br>トラウマなんだろうか。<br><br>なぜ、僕は引きずっているのだろう。<br><br>もう一昔以上も前のことなのに、夢の中の映像は鮮明だ。まるで今起きていることのように上映されるから、タチが悪い。<br><br><br><br>ふと目を開けると、包丁を握った元妻が布団の横に立っていた。</p><p name="2DFD4722-1C7F-4B1C-AFAF-F9F4CCAE1E96" id="2DFD4722-1C7F-4B1C-AFAF-F9F4CCAE1E96"><br></p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n7fe5e15e95f8'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 05 Oct 2026 20:30:00 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/oizumi55/n/n7fe5e15e95f8</link>
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      <title>【妄想小説】抱かれる男④｜ダメな男</title>
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      <description><![CDATA[<p name="5C00F63F-8B76-4277-89B5-A1856830D638" id="5C00F63F-8B76-4277-89B5-A1856830D638">僕は、たいていのことは、やればできると思っている。<br><br>正確に言えば、できると信じて引き受けてしまい、途中で無理だと気づいても、もう後へ引けなくなる男だ。<br><br>誰かから頼まれると、<br><br>「できます」<br><br>と答える。<br><br>本当は気が進まなくても、<br><br>「大丈夫です」<br><br>と笑う。<br><br>忙しいでしょう、と心配されれば、まだ余裕があるような顔までしてみせる。そうやって引き受けたものが重なり、身動きが取れなくなってから、どうしてこんなことになったのだろうと一人で途方に暮れる。<br><br>できないと言えば済むことを、僕は言えない。<br><br>嫌なことも、嫌だと言えない。<br><br>本当は、仕事など放り出して、一日中家にいたい日がある。カーテンも開けず、誰からの電話にも出ず、腹が減ったら冷蔵庫にあるものを食べ、眠くなればそのまま眠りたい。<br><br>けれど、それを口にしたことはない。<br><br>何でもできる僕が、何もしたくないなどと言ってはいけない気がするのだ。<br><br>それでも身体がどうしても動かない日には、コンビニの駐車場へ車を停めた。<br><br>コーヒーを一本買い、仕事の電話を一本だけ済ませ、運転席のシートを少し倒す。目を閉じるのは十分だけと決めているのに、気がつけば一時間ほど経っている。<br><br>会社へ戻ると、<br><br>「役所が混んでいて」<br><br>などと言った。<br><br>コンビニの駐車場で眠っていたとは、誰にも言わなかった。<br><br>外国へ一人で旅をしたいと思っている。<br><br>知らない街の駅に降り、読めない文字の看板を見上げ、言葉の通じない店で食事をしてみたい。夜になれば、小さな酒場の隅で、その国の酒を一杯だけ飲む。<br><br>そんな場面を何度も想像している。<br><br>けれど、まだ一度も行ったことはない。<br><br>まとまった時間が取れないから。航空券が高いから。今は仕事を空けられないから。<br><br>理由なら、いくらでもある。<br><br>本当は怖いのだ。<br><br>一人で飛行機に乗り、知らない国の空港へ降り立ったあと、自分が何もできない男だと分かってしまうことが。<br><br>彼女を口説いたのは僕だった。<br><br>最初に声をかけたのも、食事に誘ったのも、好きだと言ったのも僕だった。彼女がまだ僕にそれほど関心を持っていない頃は、驚くほど大胆になれた。<br><br>彼女の好きそうな店を調べ、少し気の利いた言葉を送り、会いたいと素直に言えた。<br><br>やがて彼女も僕を好きになった。<br><br>すると今度は、僕のほうが怖くなった。<br><br>好きになってほしくて口説いたはずなのに、本当に好かれると、その期待に応え続けなければならない気がした。楽しませなければならない。頼りになる男でいなければならない。口説いていた頃の僕を、ずっと演じ続けなければならない。<br><br>ある金曜日、彼女とバーへ行く約束をしていた。<br><br>二人で何度か行ったことのある、カウンターだけの小さな店だった。<br><br>夕方になり、僕は彼女へメッセージを送った。<br><br>——ごめん。急な仕事が入った。今夜は行けそうにない。<br><br>彼女からは、すぐに返事が来た。<br><br>——分かった。じゃあ私は、後回しにしていた用事を済ませてくるね。仕事、頑張って。<br><br>怒っている様子はなかった。<br><br>僕はほっとした。<br><br>その日は仕事など入っていなかった。<br><br>彼女に会いたくなかったわけでもない。バーへ行きたくなかったわけでもない。ただ、彼女と会って話し、楽しい時間にしなければならないと思うと、急に何もかもが面倒になった。<br><br>一度家へ帰った。<br><br>靴を脱ぎ、ソファへ寝転んだ。天井を見ているうちに、このまま一日を終えるのも惜しいような気がしてきた。<br><br>九時を過ぎた頃、僕は家を出た。<br><br>そして、彼女との約束をキャンセルした、そのバーへ一人で行った。<br><br>一緒に行く約束は重かったのに、一人なら行けた。<br><br>自分でも、ひどい男だと思う。<br><br>いつもの席へ座り、酒を頼んだ。<br><br>一杯目を空け、二杯目を飲み、三杯目からは数えないことにした。<br><br>店には静かな音楽が流れていた。マスターが氷を割る音が、ときどき曲の隙間へ入り込んだ。<br><br>誰かを楽しませる必要も、面白い話をする必要もない。僕はただ、カウンターに肘をつかないよう気をつけながら、一人で酒を飲んだ。<br><br>しばらくして、店の扉が開く音がした。<br><br>振り返らなかった。<br><br>マスターの「いらっしゃいませ」という声のあと、誰かが僕の隣へ近づいてきた。<br><br>「お隣、いいですか？」<br><br>聞き覚えのある声だった。<br><br>「えっ」<br><br>顔を上げると、彼女が立っていた。<br><br>「ごめん」<br><br>何について謝ったのか、自分でも分からなかった。約束を断ったことなのか、仕事だと嘘をついたことなのか、それとも、そのバーで一人で飲んでいるところを見つかったことなのか。<br><br>彼女は何も言わず、隣の椅子へ座った。<br><br>「別の用事は？」<br><br>「思ったより早く終わったから。少し飲んで帰ろうと思って」<br><br>彼女は僕の前に並んだグラスを見た。<br><br>「何杯目？」<br><br>「まだ二杯……」<br><br>カウンターの中で、マスターが彼女に向かって、そっと指を四本立てた。<br><br>それを見た彼女が微笑んだ。<br><br>僕はマスターを見た。<br><br>マスターは何も知らないという顔で、グラスを磨き始めた。<br><br>「どうして嘘をつくの？」<br><br>彼女が尋ねた。<br><br>「今のこと？」<br><br>「今日のことも」<br><br>僕はグラスへ目を落とした。<br><br>氷はほとんど溶け、透明な水の中で、小さくなった欠片だけが浮かんでいた。<br><br>「同じ理由だと思う」<br><br>「どんな理由？」<br><br>すぐには答えられなかった。<br><br>できないと言えないから。<br><br>嫌だと言えないから。<br><br>疲れたと言えば、弱い男だと思われそうだから。<br><br>会いたいくせに、会えば何かを求められるような気がして怖いから。<br><br>「約束したときは、できると思ったんだ」<br><br>「何が？」<br><br>「君とここへ来て、楽しく飲んで、話をして……ちゃんとした男でいられると思った」<br><br>彼女は黙って聞いていた。<br><br>「でも今日になったら、何もしたくなくなった。仕事もしたくないし、誰とも話したくない。一日中、家にいたかった」<br><br>「だったら、そう言えばよかったのに」<br><br>「言えないんだ」<br><br>「どうして？」<br><br>「何もしたくないなんて言ったら、君にダメな男だと思われる」<br><br>彼女は僕の前に並んだグラスを、もう一度見た。<br><br>「今も、かなりダメな男に見えるけど」<br><br>「うん」<br><br>「私との約束を仕事だと嘘をついて断って、一人でここへ来た」<br><br>「うん」<br><br>「四杯飲んで、二杯目だと言った」<br><br>「……うん」<br><br>「本当にダメな男ね」<br><br>「ごめん」<br><br>「また謝った」<br><br>彼女は小さく息を吐き、自分の酒を注文した。<br><br>マスターがカクテルを作り始めた。シェイカーの中で氷が鳴り、その乾いた音を聞いていると、頭の中に固めていたものまで砕かれていくような気がした。<br><br>「僕ね」<br><br>自分でも、なぜ話し始めたのか分からなかった。<br><br>「ときどき、コンビニの駐車場で寝てるんだ」<br><br>「どれくらい？」<br><br>「一時間くらい」<br><br>「仕事中に？」<br><br>「うん」<br><br>彼女は驚かなかった。<br><br>「戻ったら、役所が混んでいたって嘘をつく」<br><br>「今日だけじゃないんだ」<br><br>「うん」<br><br>マスターが彼女の前へカクテルを置いた。<br><br>小さなキャンドルの向こうで、彼女が僕を見ていた。<br><br>「外国にも、一人で行ってみたいんだ」<br><br>「それは前にも聞いた」<br><br>「時間がないとか、金がかかるとか言ってるけど、本当は怖いんだ。知らない国へ一人で行って、何もできなかったらどうしようって」<br><br>「うん」<br><br>「君を口説いたのも僕なのに、君が僕を好きになったら、今度は逃げたくなった」<br><br>彼女がカクテルへ伸ばしかけた手を止めた。<br><br>「それも知ってる」<br><br>「知ってたの？」<br><br>「分かるよ、それくらい」<br><br>僕はもう一度謝ろうとして、やめた。<br><br>彼女はしばらく黙ってから言った。<br><br>「嘘は嫌いよ」<br><br>「うん」<br><br>「約束を守れないことより、できないことより、嘘をつかれるほうが嫌」<br><br>「うん」<br><br>「できないあなたを嫌うかどうかは、私が決めることなの。あなたが先に決めて、嘘で隠さないで」<br><br>僕はグラスの中を見た。<br><br>「できないって言ったら、僕には何も残らない気がするんだ」<br><br>彼女は少し首を傾けた。<br><br>「どうして？」<br><br>「何でもできる僕だから、みんなが必要としてくれるんだと思う。何もできない僕には、誰も用がない」<br><br>彼女はすぐには答えなかった。<br><br>カウンターの上で、キャンドルの炎が小さく揺れていた。<br><br>「何もできなくても、あなたは残るでしょう」<br><br>彼女が言った。<br><br>その言葉を聞いても、僕はまだ信じられなかった。<br><br>何もできない僕。仕事をしたくない僕。家から一歩も出たくない僕。外国へ行く勇気もなく、自分から口説いた女に好かれると逃げ出したくなる僕。<br><br>そんな男が残って、何になるのだろう。<br><br>店を出ると、夜の空気が火照った顔に冷たかった。<br><br>彼女が隣を歩いていた。<br><br>「今夜は、どうしたいの？」<br><br>「帰りたい」<br><br>それだけは、すぐに言えた。<br><br>「一人で？」<br><br>僕は答えられなかった。<br><br>彼女は少し待ってから、呆れたように笑った。<br><br>「そこも言えないんだ」<br><br>「ごめん」<br><br>「今日は何回目？」<br><br>「分からない」<br><br>僕の部屋まで、二人で歩いた。<br><br>玄関を開けたとき、散らかった部屋を見られるのが恥ずかしくなった。脱いだままの服、読みかけの本、テーブルに置いたコンビニの袋。<br><br>片づけようとすると、彼女が僕の腕をつかんだ。<br><br>「何もしなくていい」<br><br>「でも」<br><br>「今日は、もう何もしなくていいよ」<br><br>彼女はベッドへ腰を下ろし、僕を隣へ座らせた。<br><br>「嘘をついたことを、許したわけじゃないからね」<br><br>「うん」<br><br>「次は、何もしたくないって言って」<br><br>「言えるかな」<br><br>「そこは、できるって言わないんだ」<br><br>彼女が笑った。<br><br>僕も少し笑った。<br><br>横になると、彼女が後ろから僕の身体を抱いた。背中に体温が触れ、腕が腹のあたりへ回った。<br><br>いつもなら、何か言わなければと思っただろう。<br><br>これからは嘘をつかない。<br>次は必ず約束を守る。<br>僕は変わる。<br><br>けれど、その夜は何も言わなかった。<br><br>何かを約束することも、言い訳をすることも、彼女を楽しませることもしなかった。<br><br>ただ、彼女の腕の中で目を閉じた。<br><br>僕はそのまま、一時間ほど眠った。<br><br>誰にも隠さずにサボったのは、たぶん、それが初めてだった。</p><p name="E08F3EF1-E0F8-4FA1-8DFF-3AF4EF712349" id="E08F3EF1-E0F8-4FA1-8DFF-3AF4EF712349"><br></p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nd354d7e9bee4'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 05 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【エッセイ】うらなう</title>
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      <description><![CDATA[<p name="359a7633-a12e-4e0c-b3bb-288a710dce10" id="359a7633-a12e-4e0c-b3bb-288a710dce10">僕は、手相が読めない。<br><br>生命線。<br><br>運命線。<br><br>金運。<br><br>仕事運。<br><br>恋愛運。<br><br>結婚線なんてものもあるらしい。<br><br>どれがどれなのか、さっぱりわからない。<br><br>そもそも僕は、占いというものを、それほど信じているわけではない。</p><p name="e0492a0e-b9d6-41d5-bf31-058d1771f0ab" id="e0492a0e-b9d6-41d5-bf31-058d1771f0ab">いや、むしろ信じてはいない。<br><br>信じるもんか…。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n430730b7aa74'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 05 Oct 2026 04:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>【妄想小説】抱かれる男③｜真面目な男</title>
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      <description><![CDATA[<p name="BD966060-3004-405A-A4AE-D1B0CE6AAD73" id="BD966060-3004-405A-A4AE-D1B0CE6AAD73">僕は、間違えないように生きてきた。<br><br>小学生の頃から忘れ物をしたことはほとんどなく、提出物は期限の前日に出した。社会人になってからは、始業時刻の十五分前には必ず自分の席に座り、結婚してからは、妻の誕生日と結婚記念日を手帳の最初のページに書いた。<br><br>真面目な人ですね、とよく言われた。<br><br>それが褒め言葉なのか、それ以外に僕を言い表す言葉がなかっただけなのか、考えたことはなかった。<br><br>妻は、僕とは違って、うまく立ち回る人だった。<br><br>相手がどんな言葉を待っているのかを察し、その場にふさわしい顔で笑うことができた。人に頼ることも、少し甘えることも上手だった。<br><br>ただ、自分の母親とは折り合いが悪かった。<br><br>電話をすれば口論になり、実家へ帰っても、二人は同じ部屋にいながらほとんど目を合わせなかった。それでも母親は孫たちに会いたがったので、僕が間に入った。妻の言い分を聞き、母親の愚痴も聞き、休日には子どもたちを車に乗せて実家へ連れていった。帰りには、孫たちと撮った写真を妻に見せた。<br><br>「お母さん、楽しそうだったよ」<br><br>そう言うと、妻は写真を一枚ずつ眺めたあと、<br><br>「ふうん」<br><br>とだけ答えた。<br><br>それでも翌年の母の日には、僕が選んだ贈り物へ、妻の名前も添えた。<br><br>妻は、ふりふりのついたワンピースが好きだった。<br><br>胸元や袖にレースが重なり、歩くたびに裾が柔らかく揺れるような服だった。若い頃から好きだったらしいが、僕の前で着ることはほとんどなかった。<br><br>家には妻だけの部屋があった。<br><br>「ここだけは、私の場所にしたいの」<br><br>そう言われていたので、僕も子どもたちも入らなかった。掃除も妻が自分でしていたし、扉が閉まっていれば、呼びかけることさえ遠慮した。<br><br>僕は働いた。<br><br>家のローンを払い、子どもたちの学費を積み立て、それでも妻が生活費で困らないくらいには稼いでいた。給料が上がると、妻は喜んだ。僕も、家族を守れているような気がしてうれしかった。<br><br>やがて、妻の外出が増えた。<br><br>最初は友人との食事だった。次は趣味の集まりになり、帰宅する時刻が少しずつ遅くなった。僕が尋ねると、妻は笑って言った。<br><br>「あなたは真面目すぎるのよ。少しくらい自由にさせて」<br><br>そのとおりだと思った。<br><br>家事も子育ても、できることは僕が引き受けた。妻にも息抜きは必要だと思ったし、疑うような男にはなりたくなかった。<br><br>ある夜、妻は帰ってこなかった。<br><br>翌日の夕方になって戻ってきた妻は、玄関に立ったまま、好きな人がいる、と言った。<br><br>僕はすぐに返事ができなかった。妻が何を言っているのか理解するまでに、少し時間がかかった。<br><br>「子どもたちは、どうするの」<br><br>やっと口から出たのは、それだった。<br><br>妻は目を伏せた。<br><br>その夜、妻は家を出ていった。<br><br>翌日も、僕はいつもどおり仕事へ行った。<br><br>始業時刻の十五分前には席に着き、頼まれていた書類を仕上げ、定時を少し過ぎてから会社を出た。家へ帰ると、妻の部屋の扉が半分開いていた。<br><br>部屋へ入ったのは、それが初めてだった。<br><br>ほとんどの私物は、すでに持ち出されていた。化粧台の上には、瓶や小さなケースが置かれていた跡だけが、薄い四角形になって残っていた。引き出しを開けると、甘い香水の匂いがわずかにした。<br><br>クローゼットには、数着のワンピースが残されていた。<br><br>どれも、僕が妻へ贈ったものだった。<br><br>ふりふりのついていない、飾りの少ない、落ち着いた色のワンピース。妻にはこういう服が似合うだろうと、誕生日や結婚記念日に僕が選んだものだった。<br><br>袖には、買ったときのタグがついたままだった。<br><br>妻が好きだった、ふりふりのワンピースは一着も残っていなかった。<br><br>僕が選んだ妻は、僕が選んだ服だけを残していった。<br><br>僕は子どもたちを育てた。<br><br>朝は早く起きて弁当を作り、洗濯機を回してから仕事へ行った。授業参観にはスーツのまま駆けつけ、熱を出した夜には枕元で何度も体温を測った。<br><br>子どもたちの前で、妻の悪口は言わなかった。<br><br>母親であることまで奪ってはいけないと思った。<br><br>本当は僕自身が、妻を悪い人だったと決めてしまいたくなかったのかもしれない。悪い人ではなかった妻が、それでも僕たちを置いていったのだと考えるほうが、ずっと苦しかったけれど。<br><br>子どもたちは少しずつ大きくなった。<br><br>弁当はいらないと言うようになり、帰宅する時間を僕に知らせなくなり、やがて一人ずつ家を出ていった。<br><br>家の中に静かな時間が増えた。<br><br>ようやく僕は、仕事帰りに一人で酒場へ寄れるようになった。<br><br>カウンターだけの小さな店だった。<br><br>僕はいつも同じ席に座り、同じ酒を頼んだ。コースターの中央にグラスを置き、二杯目を飲み終えると時計を見て、十時になる前に勘定を頼んだ。<br><br>酔っても、僕の真面目さは変わらなかった。<br><br>脱いだ上着は背もたれへ皺にならないように掛け、つまみの小皿を端へ揃え、帰る前には椅子をカウンターの下へ戻した。そんな僕を、マスターも店員も、少しおかしそうに、けれど遠くから見守ってくれていた。<br><br>その店で、ときどき隣り合わせになる女性がいた。<br><br>約束をしているわけではない。たまたま同じ夜に店へ行き、席が空いていれば隣に座る。それだけだった。<br><br>会えば少し話をした。仕事のことや、最近食べたものや、窓を開けて眠れる季節になったこと。互いの過去には触れなかった。<br><br>その夜、僕は一人で飲んでいた。<br><br>いつもより少し速いペースで一杯目を空け、二杯目を頼んだ。時計を見ることも忘れていた。<br><br>一時間ほどして、店の扉が開いた。<br><br>彼女だった。<br><br>店へ入った彼女は、僕の前に並んだグラスを見て、それからマスターへ目を向けた。<br><br>マスターは肩をすぼめ、困ったように微笑んだ。<br><br>彼女は何も聞かず、静かに僕の隣へ座った。<br><br>「こんばんは」<br><br>その声に、僕は少し驚いて顔を上げた。<br><br>「こんばんは」<br><br>自分が酔っていることを急に見つけられたようで、恥ずかしくなった。僕は背筋を伸ばし、カウンターの端へ寄っていたコースターを、意味もなく真っすぐに直した。<br><br>彼女は僕のグラスを見た。<br><br>「今夜は、ペースが早いですね」<br><br>「はい」<br><br>いつもの僕なら、少し飲みすぎました、とだけ答えたと思う。<br><br>けれど、その夜は口から言葉がこぼれた。<br><br>「実は、元妻から電話がありました」<br><br>彼女は黙って僕を見た。<br><br>「今頃になって、娘に会いたいって。もう十何年も経っているのに」<br><br>グラスの氷が、小さな音を立てて崩れた。<br><br>「娘に話したら、会ってみたいと言うんです。娘がそう望むなら、会わせたいと思います。でも、今さら何を、という気持ちもあって……少しイラッとして、つい飲んでしまいました」<br><br>そこまで話してから、僕は自分がずいぶん長く話していたことに気づいた。<br><br>「ごめんなさい」<br><br>彼女はしばらく何も言わなかった。<br><br>僕はグラスの中で溶けていく氷を見ていた。<br><br>やがて彼女が言った。<br><br>「頑張りましたね」<br><br>その言葉が、僕の中のどこに触れたのか分からなかった。<br><br>朝早く起きた台所。洗濯機の回る音。熱を出した子どもの額。仕事へ向かう車の窓から見た朝焼け。誰もいなくなった家で、一人分だけ炊いたご飯。<br><br>十何年分の時間が、遠くから押し寄せてきた。<br><br>迂闊にも、涙が頬を伝っていた。<br><br>僕は慌てて拭おうとしたが、彼女がそっと身体を寄せ、僕の肩を抱いた。<br><br>何をすればいいのか分からず、僕は両手を膝に置いたまま、しばらく彼女の肩で泣いた。<br><br>マスターは何も見なかったように、少し離れたところでグラスを磨いていた。<br><br>僕はその夜、女の人に初めて抱かれた。</p><figure embedded-content-key="emb4105dd90af1e" embedded-service="note" data-src="https://note.com/oizumi55/n/n713172586929" contenteditable="false" name="8CB8380D-513F-4206-BC72-671BE0B9E704" id="8CB8380D-513F-4206-BC72-671BE0B9E704" data-identifier="n713172586929">                                        </figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n17551f84744f'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 04 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【エッセイ】怖い</title>
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      <description><![CDATA[<p name="B6BE0BAF-5057-4CA0-8D3A-194C7963A155" id="B6BE0BAF-5057-4CA0-8D3A-194C7963A155">「社長‼︎　あのっ、営業所に奥様が突然来られて、社長を出せと……」<br><br>「それに、この営業所の権利だって私にもあるのよって、おっしゃって……」<br><br>営業所の管理者からの電話だった。<br><br>社長は留守で、営業所には利用者さんもいらっしゃる。なんとかお帰りいただいたんですが、困ります。そう言って、管理者は電話を切った。<br><br>僕は妻に電話をかけた。<br><br>今どこにいるのか尋ねたが、答える義理も義務もないと言い、一方的に電話を切られた。<br><br>その日予定していた外回りの仕事を終え、子どもたちを迎えに行く前に、夕飯の準備を少ししようと、いつものように自宅へ戻った。<br><br>玄関のドアに鍵を差し込もうとしたが、入らなかった。<br><br>「あれっ」<br><br>何度も試した。鍵を取り違えたのかと思い、手元の鍵を確かめる。それでも、鍵は入らない。<br><br>ふと玄関の小窓を見ると、家の中に明かりがついていた。<br><br>家に誰かいる。<br><br>足元に目を落とすと、鍵穴のすぐ下に金属の削りくずが落ちていた。金属ドリルで鍵穴を壊し、鍵を交換したのだと分かった。<br><br>その瞬間、別居する前のことが頭をよぎった。<br><br>妻は家の中で荒れていた。よく包丁を振り回した。<br><br>あるとき、鍵をかけずにトイレに座っていたら、突然ドアが開いた。包丁を振りかざした妻が、そこに立っていた。<br><br>あのときの光景がよみがえり、背筋に冷たいものが流れた。<br><br>僕はすぐにその場を離れ、車に戻った。子どもたちを迎えに行き、事情を話して、那覇市内に住む親戚の家に預けた。<br><br>「一晩だけなら」<br><br>そう言って預かってくれたが、長くは預かれないとも言われた。<br><br>車に戻り、もう一度家へ向かった。あたりはすでに暗く、家には明かりがついていた。テレビの音も聞こえる。<br><br>僕は車を少し離れた場所に停め、警察に通報した。事情を話すと、十分ほどでパトカーがやってきた。<br><br>赤色灯を消してもらい、家まで案内した。警察官二人と一緒に玄関のチャイムを何度も押す。<br><br>ようやく中から声がした。<br><br>「誰？」<br><br>妻の声だった。<br><br>「妻です。中にいるのは妻です」<br><br>そう警察官に伝えると、警察官が名乗った。<br><br>「〇〇署です。開けてください」<br><br>何度かやり取りをしたあと、ようやく玄関のドアが開いた。<br><br>妻はリビングに座り、スナック菓子を食べていた。<br><br>「あんたさ、一人じゃ来れないから警察まで連れてきたわけ」<br><br>吐き捨てるように言った。目つきは鋭く、薄ら笑いを浮かべている。警察官のほうを見ようともしなかった。<br><br>警察官が尋ねた。<br><br>「奥さんは、今ここに住んでいるわけではないですよね。どうやって入ったんですか」<br><br>「はあ？　ここ、私の名義でもあるけど。鍵が変えられてて入れなかったから、鍵屋を呼んでドリルで壊してもらって、交換したのよ」<br><br>警察官が不法侵入にあたることを伝えると、妻は興奮した。交換した鍵を出すように警察官が説得し、ようやく妻はポケットから鍵束を取り出した。そして、警察官の足元に投げつけた。<br><br>なぜ家に入ったのか、僕が尋ねた。<br><br>「鍋とか、いろいろ取りに来たんだ」<br><br>警察官に促され、妻は渋々立ち上がった。ところが、玄関へ向かう途中でスマートフォンを取り出し、電話をかけ始めた。妻の母親にかけているようだった。<br><br>受話口から声が漏れてきた。母親が、娘たちに会えたのかと尋ねているようだった。<br><br>「会えなかった」<br><br>妻はそう答えたあと、理由を話した。<br><br>「奴に邪魔された。奴が警察官を連れてきて、追い出された」<br><br>奴。<br><br>その言葉が、耳に残った。<br><br>妻と、その母親や親戚たちのあいだで、僕はそう呼ばれている。<br></p><p name="E96F3616-6709-458B-8D8D-4EEA3C4E4BED" id="E96F3616-6709-458B-8D8D-4EEA3C4E4BED">妻は玄関先まで出ると、花壇の縁に座り、大きな声で通話を続けた。隣近所には、確実に聞こえていただろう。<br><br>赤色灯は消えていた。それでも、パトカーが停まっていれば、何かが起きていると気づかれる。今日の午後、我が家の玄関先で起きていたことを思えば、隣近所の人たちがカーテン越しに好奇の目を向けている様子は、容易に想像できた。<br><br>家の裏手の駐車場には、一台のレンタカーが停まっていた。そこに車があることに、僕は気づいていなかった。<br><br>妻は車に乗り込むと、パトカーを避けるように走り去った。後部座席には、いくつかの段ボールが見えた。<br><br>警察官に礼を言い、親戚の家へ娘たちを迎えに行った。迷惑をかけたことを詫びて、家へ戻った。<br><br>娘たちは、家では眠れないと言った。<br><br>翌日の学校の準備をさせ、僕はホテルを予約した。<br><br><br></p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nde1cb1329852'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 04 Oct 2026 09:46:22 +0900</pubDate>
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      <title>【随筆】まだ夏は終わってない</title>
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      <description><![CDATA[<p name="68a9c87e-b032-4b92-975a-1086240a7f0c" id="68a9c87e-b032-4b92-975a-1086240a7f0c">土曜日。</p><p name="585ef580-8660-41ce-a827-3d8fc7bfa590" id="585ef580-8660-41ce-a827-3d8fc7bfa590">仕事の昼休み、一度家へ戻る途中だった。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n9d863320ad9b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 04 Oct 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【詩】真昼</title>
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      <description><![CDATA[<p name="19585170-D2C7-48A7-9D84-6B4034BA23E1" id="19585170-D2C7-48A7-9D84-6B4034BA23E1">真昼が好きだ。<br><br>朝のような期待もなく、<br>夕方のような寂しさもない。<br><br>ただ、<br>一日がいちばん一日らしく<br>そこにある。<br><br>真昼の空は、<br>あまり表情を変えない。<br><br>雲が流れていても、<br>風が吹いていても、<br><br>どこか落ち着いていて、<br>慌てる様子がない。<br><br>子どもの頃は、<br>真昼なんて気にしたことがなかった。<br><br>夢中で遊んでいると、<br>気づけば昼になっていて、<br><br>お腹が鳴って、<br>家へ帰る時間だった。<br><br>大人になると、<br>真昼は忙しい時間になる。<br><br>時計を見て、<br>予定を気にして、<br><br>昼ご飯さえ、<br>急いで済ませる日もある。<br><br>でも、ときどき思う。<br><br>真昼は、<br>何も急いでいない。<br><br>急いでいるのは、<br>いつも人のほうだ。<br><br>空は相変わらず青く、<br><br>木陰には風が通り、<br><br>鳥は自分の役目を果たすように<br>空を飛んでいる。<br><br>世界は、<br>ちゃんといつもの速さで<br>動いている。<br><br>だからたまには、<br><br>時計ではなく、<br>空を見上げながら過ごす真昼があってもいい。<br><br>真昼には、<br><br>朝にはない落ち着きと、<br>夜にはない明るさがある。<br><br>そのどちらでもない時間が、<br><br>案外、<br>いちばん素直な自分で<br>いられる時間なのかもしれない。</p><p name="E27E4732-D914-4227-9E20-4FE276D59C5E" id="E27E4732-D914-4227-9E20-4FE276D59C5E">真昼の空は<br>いつまでも青く広い。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n4f1056fb85e7'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 03 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【妄想小説】抱かれる男②｜なよっちい男</title>
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      <description><![CDATA[<p name="5D64B998-40EA-4763-9697-0E032BFB4C20" id="5D64B998-40EA-4763-9697-0E032BFB4C20">僕は、何かを選ぶのが苦手だ。<br><br>レストランでメニューを開いても、自分が食べたいものより、彼女が何を食べたがっているのかを先に考えてしまう。<br><br>「パスタと魚料理、どっちがいい？」<br><br>そう聞かれると、彼女の視線がどちらの写真に長く留まっていたかを思い出す。<br><br>「魚……かな」<br><br>「食べたいの？」<br><br>「うん。たぶん」<br><br>「たぶんって何よ」<br><br>彼女は呆れたように笑い、店員を呼んでパスタを注文した。<br><br>僕はほっとした。選ばなくて済んだことにも、僕が選びかけた魚料理を、彼女が簡単に捨ててくれたことにも。<br><br>「ほんと、なよっちいよね」<br><br>彼女はよく、そう言った。<br><br>僕も笑った。否定できるほどの材料を、自分の中に見つけられなかった。<br><br>彼女は何でも迷わず決めた。店も、料理も、次に会う日も、今夜どちらの部屋へ行くのかも。<br><br>僕はそんな彼女の強さが好きだったし、彼女も、言うことを聞く僕と一緒にいると楽そうだった。<br><br>恋愛に臆病な僕にとって、それは都合のいい関係だった。<br><br>自分から手を伸ばさなくても、彼女が距離を縮めてくれる。どこまで近づけばいいのか迷っているうちに、彼女のほうから唇を重ねてくる。<br><br>僕はただ、彼女が望むようにしていればよかった。<br><br>初めて抱き合った夜も、彼女は僕の腕を取り、自分の身体へ置いた。<br><br>「そこじゃない」<br><br>そう言って、少し荒っぽく僕の手を動かした。<br><br>僕は謝った。<br><br>「どうして謝るの？」<br><br>「いや、なんとなく」<br><br>彼女は鼻で笑うと、僕をベッドへ押し倒した。<br><br>それが嫌だったわけではない。<br><br>ただ、ときどき痛かった。腕を強くつかまれたときも、動かないでと言われたときも、もう少しゆっくりしてほしいと思った。<br><br>けれど、嫌だとは言えなかった。<br><br>嫌だと言った瞬間に、彼女の顔から何かが消えてしまうような気がした。<br><br>ずっと前にも、同じような顔を見たことがある。<br><br>二十代の頃、初めて真剣に付き合った女性とホテルへ行った夜、僕は緊張して、うまく身体が動かなかった。焦れば焦るほど彼女が遠くなり、僕は何度も謝った。<br><br>彼女はしばらく黙っていたが、やがて天井を見たまま言った。<br><br>「本当に男なの？」<br><br>それだけだった。<br><br>怒鳴られたわけでも、笑われたわけでもない。けれど、その言葉は長いあいだ僕の中に残った。<br><br>それから僕にとって女を抱くことは、誰かを愛する行為ではなく、自分が男であることを試される時間になった。<br><br>目の前の女は悦んでいるか。がっかりしていないか。以前の男と比べていないか。<br><br>僕の身体は彼女に触れていても、頭の中では、いくつもの不安が右へ左へ走り回っていた。<br><br>だから、彼女がすべてを決めてくれることは、ありがたかった。<br><br>少しくらい乱暴でも、従っていれば間違えずに済む。<br><br>そう思っていた。<br><br>その夜、彼女は部屋へ入るなり、バッグを床へ落とした。<br><br>いつもより口数が少なく、僕が何か話しかけても、短い返事しか返ってこなかった。<br><br>「何かあった？」<br><br>「別に」<br><br>「仕事？」<br><br>「何もないって言ってるでしょ」<br><br>彼女はそう言いながら僕のシャツをつかみ、強く引き寄せた。<br><br>唇が重なった。<br><br>けれど彼女は、僕に触れているのに、僕を見ていなかった。<br><br>目を閉じたその顔には、悦びよりも怒りが浮かんでいた。僕の肩を押さえる指に力が入り、爪が皮膚へ食い込んだ。<br><br>彼女は今、僕ではない誰かと闘っている。<br><br>そう思った。<br><br>これまで彼女が話した男たちの気配が浮かんだ。<br><br>着る服まで決めた父親。別れ話をすると何時間も説教を続けた昔の恋人。嫌だと言えば不機嫌になり、黙って従えば優しくなった男。無理やり欲だけを押し通した男。<br><br>彼女は男を憎んでいた。<br><br>おそらく、恐れてもいた。<br><br>だから僕のような男を選んだのだ。<br><br>怒鳴らず、命令せず、彼女が右と言えば右へ行く男。自分を従わせそうにない男を選び、先に自分が従わせてしまえばいい。<br><br>そうすれば、もう怖がらずに済む。<br><br>彼女の手が、再び僕の腕を強くつかんだ。<br><br>「待って」<br><br>自分の声が、他人の声のように聞こえた。<br><br>彼女の動きが止まった。<br><br>「何？」<br><br>「少し待って」<br><br>「嫌なの？」<br><br>その声には怒りがあった。<br><br>けれど、その奥で何かが怯えていた。<br><br>僕は怖くなった。彼女がではない。このあと彼女がどんな顔をするのかが怖かった。<br><br>嫌われるかもしれない。<br><br>なよっちいと笑われ、やはり男ではないと言われるかもしれない。<br><br>それでも僕は、彼女の目を見た。<br><br>「僕を見て」<br><br>「見てるじゃない」<br><br>「見てないよ」<br><br>彼女の眉が動き、僕の声は震えた。<br><br>「君は今、僕じゃない誰かに怒ってる」<br><br>彼女は僕の腕から手を離した。<br><br>しばらく黙っていたが、やがてベッドの端へ腰を下ろし、僕に背中を向けた。<br><br>「嫌だって言ったら、もっと面倒になるの」<br><br>小さな声だった。<br><br>「だから、従ってきた。相手が満足するまで黙っていれば、早く終わるから」<br><br>僕は何も言えなかった。<br><br>彼女は自分の両腕を抱くようにして、肩をすぼめた。<br><br>「でも、従うのはもう嫌なの。だったら私が先に決めればいい。私が押さえておけば、怖くないから」<br><br>強い女だと思っていた。<br><br>けれど彼女は、強く見える場所まで逃げてきただけなのかもしれない。<br><br>僕は彼女の隣へ座った。<br><br>何を言えばいいのか分からなかった。<br><br>こういうときでさえ、頭の中にはいくつもの言葉が浮かび、どれを選べば彼女を傷つけずに済むのか、僕は迷っていた。<br><br>結局、どの言葉も選べなかった。<br><br>「触ってもいい？」<br><br>彼女は振り向かないまま、わずかにうなずいた。<br><br>僕は彼女の背中へ、恐る恐る手を置いた。<br><br>力を入れず、逃げたければいつでも離れられるくらいの軽さで触れた。<br><br>彼女の肩は硬かった。<br><br>「ここは嫌じゃない？」<br><br>彼女は首を横に振った。<br><br>僕はもう片方の腕を、ゆっくり彼女の前へ回した。抱きしめるというより、彼女の身体のまわりに腕の置き場所を探すようにして、少しずつ近づいた。<br><br>彼女の呼吸が、僕の腕の中で何度か揺れた。<br><br>「そんなふうにしなくても、僕はどこにも行かないよ」<br><br>彼女は答えなかった。<br><br>ただ、肩に入っていた力が、ほんの少し抜けた。<br><br>その夜、僕たちは急がなかった。<br><br>触れるたびに確かめた。彼女がうなずくのを待ち、呼吸が止まれば僕も止まった。<br><br>彼女も少しずつ僕に触れた。<br><br>初めは確かめるように。<br><br>やがて、自分の意思で。<br><br>いつしか彼女の指は、僕を押さえつけるためではなく、僕の身体がそこにあることを確かめるように動いていた。<br><br>彼女の唇から、小さな息がこぼれた。<br><br>誰かに聞かせるための声でも、相手を満足させるためにつくった声でもなかった。<br><br>身体の奥へ長いあいだ閉じ込めていた息が、ようやく外へ出てきたような声だった。<br><br>「こんなの、知らなかった」<br><br>彼女は目を閉じたまま言った。<br><br>僕も知らなかった。<br><br>女を悦ばせなければならないと思ってきた。男として認めてもらうために、正しい触れ方を探し続けてきた。<br><br>けれど悦びは、男が女に与えるものではなかった。<br><br>どちらかが与え、もう一人が受け取るものでもなかった。<br><br>互いの怖さを少しずつほどきながら、二人のあいだに見つけていくものだった。<br><br>彼女の腕が、僕の背中へ回った。<br><br>その腕は、僕を押さえつけるためのものではなかった。逃がさないためでも、言うことを聞かせるためでもなかった。<br><br>ただ、ここにいていいと伝えるための腕だった。<br><br>僕も彼女の背中へ腕を回した。<br><br>抱いているのか、抱かれているのか、もう分からなかった。<br><br>いや、分からなくてよかった。<br><br>僕はずっと、抱く側でなければならないと思っていた。女を悦ばせ、安心させ、男として認められなければならないと思っていた。<br><br>けれど今、僕の腕の中にいる彼女もまた、僕の背中に腕を回している。<br><br>僕だけが支えるのではない。<br><br>僕だけが選ぶのでもない。<br><br>彼女の胸に耳を当てると、鼓動が聞こえた。僕のものと同じように、少し速く、頼りなく、それでも確かに鳴っていた。<br><br>その音に包まれているうちに、僕はようやく気づいた。<br><br>抱くことは、強くあることではない。<br><br>相手を動かすことでも、正解を与えることでもない。<br><br>自分もまた、相手に身を預けることだ。<br><br>僕はその夜、初めて女を抱いた。<br><br>そして同時に、初めて女に抱かれた。</p><figure embedded-content-key="emb98c279302f61" embedded-service="note" data-src="https://note.com/oizumi55/n/n713172586929" contenteditable="false" name="ABC65A7F-2CAD-4EA7-A09F-F7F00A34DE0B" id="ABC65A7F-2CAD-4EA7-A09F-F7F00A34DE0B" data-identifier="n713172586929">                                        </figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n7ec4adc377b2'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/312801728/profile_be5002d35c9513c08b0d52fc495e7294.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 03 Oct 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【随筆】秋の気配を探して</title>
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      <description><![CDATA[<p name="2532540D-9938-4207-899B-386B49B30E80" id="2532540D-9938-4207-899B-386B49B30E80">九月も終わり、十月になった。<br><br>秋は、どこにいるのだろう。<br><br>外へ出てみる。<br><br>暑い。<br>それでも、真夏のそれとは少し違う暑さだった。<br>肌にまとわりつく湿度はまだ重いのに、どこか角が取れている。<br><br>空を見上げる。<br><br>眩しい。<br>太陽は相変わらず強いのに、その光の刺さり方がわずかに柔らかい。<br>白く焼けるような光の中に、ほんの少しだけ金色が混じっている気がした。<br><br>額には、すぐに汗が滲む。<br>汗は流れ落ちるというより、肌の上に留まり続ける。<br>風が吹いても乾かない。<br>その代わり、風そのものが少しだけ軽くなっていた。<br><br>どう考えても、<br>秋を探すには暑すぎる。<br><br>それでも暦は、<br>もう秋だと言っている。<br><br>ならば、どこかにいるはずだ。<br><br>少し歩いてみる。<br><br>風はまだ生ぬるい。<br>けれど、真夏のような重さはない。<br>湿った空気の中に、わずかに隙間ができている。<br><br>木々は青々としている。<br>葉の色は変わらないのに、揺れ方だけが少し静かになった。<br>蝉の声もまだ強いが、時折、間が空く。<br>その沈黙が、逆に耳に残る。<br><br>遠くでは車の音が乾いて響き、<br>近くではアスファルトの熱がまだ息をしている。<br>それでも、どこかで海の気配が混じる。<br>潮の匂いが、風の端にだけ薄く残っていた。<br><br>沖縄の秋は、<br>ずいぶん隠れるのが上手らしい。<br><br>けれど、夕方になると、<br>ほんの少しだけ分かる。<br><br>日が傾くのが早くなった。<br>ついこの前まで、まだ高く残っていた光が、もう低い角度で街を撫でている。<br><br>同じ道なのに、<br>建物の影が少し長い。<br>その影の輪郭も、以前よりわずかに柔らかい。<br><br>見上げた空も、<br>真夏の頃より、ほんの少し遠くなったような気がする。<br>雲の白さが薄くなり、空の青が深く沈んでいく。<br><br>秋は、<br>涼しさと一緒にやって来るものだと思っていた。<br><br>そうではないのかもしれない。<br><br>暑さの中にも、<br>季節はちゃんと動いている。<br><br>ただ、その足音が小さすぎて、<br>こちらが立ち止まらなければ、聞こえないだけなのだ。<br><br>そう思って、<br>もう一度、空を見上げた。<br><br>風が頬をかすめる。<br>その一瞬だけ、汗が少しだけ軽くなる。<br><br>秋はまだ見つからない。<br><br>それでも僕は、見つけた気がする。<br><br>隠れていた沖縄の秋を。<br><br>それは、夕方の太陽が西の空に浮かぶ雲へ、ほんの少しだけ隠れたときだった。<br><br>ふうっと、一瞬だけ灰色の空気が辺りを流れた。そのあとを追いかけるように、茜色の光がゆっくりと広がっていく。<br><br>その境目で、空気がほんの少し止まった気がした。<br><br>すると、どこからともなく一匹の赤とんぼが飛んできて、川沿いのガードレールに止まった。<br></p><p name="DC52BD11-E54A-4295-B2FD-A60316F32BBE" id="DC52BD11-E54A-4295-B2FD-A60316F32BBE">それでもこうして、<br>探しているこの時間そのものが、<br>もう秋の始まりなのかもしれない。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n6e0e05677187'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 02 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/oizumi55/n/n6e0e05677187</link>
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      <title>【妄想小説】抱かれる男①｜やり手の男</title>
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      <description><![CDATA[<p name="9C57DA85-7C19-4360-ABCB-464C6C51E92F" id="9C57DA85-7C19-4360-ABCB-464C6C51E92F">男だって、女に抱かれたい。<br><br>ホテルのラウンジで、三杯目のラム酒を飲み干したあとだった。二杯目のカクテルを手にした彼女は、僕がそう言うと、グラスの向こうで笑った。<br><br>冗談だと思ったのだろう。<br><br>僕も笑った。酒に酔った男の戯言にしておいたほうが、男としては都合がよかった。<br><br>僕が人を束ねる側に回るようになったのは、もう小学校高学年の頃からだった。クラスの意見がまとまらず、教室のあちこちから勝手な声が飛び交っていると、なぜか最後には僕が立ち上がっていた。一人ひとりの言い分を聞き、それらしい形にまとめ、みんなを代表して担任のところへ交渉に行く。誰かに頼まれたわけでも、学級委員だったからでもない。気がつくと、みんなが僕の言葉を待っていた。人を束ね、物事を前へ進める。そんな素養が、僕には初めからあったのかもしれない。<br><br>大人になってからも、それは変わらなかった。会社でも家庭でも、決めるのはいつも僕だった。迷っている人間がいれば答えを出し、立ち止まっている人間がいれば背中を押した。問題が起きれば誰よりも先に動き、誰かが責任を取らなければならない場面では、気がつくと僕がそこに立っていた。<br><br>それを苦にしたことはない。<br><br>むしろ、性に合っていたのだと思う。自分が決めれば物事は前へ進み、人が動き、結果もついてきた。周りから頼られることは嫌いではなかったし、「あなたなら大丈夫」と言われるたび、その期待に応えようともしてきた。<br><br>誰かの背中を押すことには、すっかり慣れていた。<br><br>けれど、自分の背中については、振り返って見たこともなかった。<br><br>ラウンジを出て部屋へ戻ると、僕は腕時計を外し、サイドテーブルの上に置いた。革のベルトが乾いた音を立て、静かな部屋に落ちた。<br><br>いつものように彼女を抱き寄せようとして、僕は腕を伸ばした。<br><br>けれど、その腕を途中で下ろした。<br><br>「どうしたの」<br><br>彼女が尋ねた。<br><br>「いや」<br><br>僕はそう答え、彼女に背を向けてベッドに横になった。<br><br>窓の外には、街の明かりが広がっていた。昼間なら見上げなければならないほど高い建物も、ここから眺めると、暗闇に並べられた小さな箱のようだった。その一つひとつに誰かの暮らしがあり、誰かの眠れない夜がある。そう思うと、自分だけがひどく遠い場所に取り残されたような気がした。<br><br>しばらくして、背中に彼女の体温が触れた。<br><br>細い腕が腹のあたりへ回り、頬が肩甲骨の近くにそっと置かれた。彼女の髪から、さっきまで飲んでいたカクテルの甘い香りが、かすかに残っていた。<br><br>「これでいい？」<br><br>僕は返事をしなかった。<br><br>返事をしたら、声の中から何かがこぼれ落ちそうだった。<br><br>彼女はもう何も聞かず、僕の腹に回した腕に、少しだけ力を込めた。<br><br>そのとき僕は初めて、自分がずいぶん長いあいだ、この背中を誰にも預けていなかったことに気づいた。</p><figure embedded-content-key="emb7491d8c325c5" embedded-service="external-article" data-src="https://note.com/oizumi55/m/m8c0ad0f71e65" contenteditable="false" name="B3D7FB3F-2B6F-4858-8D0B-62BAFF50447E" id="B3D7FB3F-2B6F-4858-8D0B-62BAFF50447E">                          <span> <a href="https://note.com/oizumi55/m/m8c0ad0f71e65" rel="" target="_blank"><strong class="external-article-widget-title">短編工房｜大泉　尚｜拾眺する人｜note</strong><em class="external-article-widget-description">沖縄宮古島の男が描く俯瞰的世界で起こる物語の数々。 ここは、短い物語をつくる場所です。完成した物語もあれば、書きかけの物語</em><em class="external-article-widget-url">note.com</em></a><a class="external-article-widget-image" href="https://note.com/oizumi55/m/m8c0ad0f71e65" rel="" target="_blank"></a> </span>              </figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n713172586929'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 02 Oct 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【自己紹介】今日は、何になさいますか？</title>
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      <description><![CDATA[<p name="577C43EE-C0E2-41C8-8A4A-823956DB343C" id="577C43EE-C0E2-41C8-8A4A-823956DB343C">いらっしゃいませ。<br>……というのも、なんだか変ですね。<br>ここは料理店ではありません。<br><br>僕のnoteです。<br><br>ただ、初めて来た人には、少しわかりにくいかもしれません。<br>随筆があって、詩があって、短歌や琉歌があって、小説がある。<br>料理を作っていたと思ったら、お酒の話を始めるし、言葉について考えていたはずなのに、いつの間にかイケオジについて研究していたりします。<br><br>僕自身、ときどき、<br>いったい何屋なんだ。<br>と思います。<br>そうですね。<br>たぶんあなたは、創作料理店に入ってしまったんだと思います。<br>ですから、もう諦めて。<br>いや、諦めるというのも変ですね。<br><br>では、覚悟を決めて。<br>……これも、なんだか怖い。<br><br>まあ、安心して、僕のメニュー紹介を読んでみてください。<br><br>そしたらきっと、今のあなたの気分に合ったものへ、ご案内できると思います。<br>せっかく来てしまったのですから、もう少しだけお付き合いくださいね。<br><br>それでは。<br>まず、今のあなたのことを少し教えてください。<br><br><br>今、どんな気分ですか？<br><br>ここに入口を用意しました。<br>気になるところから、どうぞ。<br></p><table-of-contents name="ED39267D-A95D-466B-8755-BEF58E292601" id="ED39267D-A95D-466B-8755-BEF58E292601"></table-of-contents><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n7718bfdf9a2a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 01 Oct 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【短編小説】待ちぼうけ｜ガリレオ文芸賞</title>
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      <description><![CDATA[<p name="493448af-7b05-4293-bb37-63a0b630c61e" id="493448af-7b05-4293-bb37-63a0b630c61e">第一章　一時間</p><p name="7ebf65a3-4aad-495a-b65a-0fce1bfe9d4b" id="7ebf65a3-4aad-495a-b65a-0fce1bfe9d4b">土曜日、午後二時。<br>新司は十三時四十五分には、美穂のアパートの下に車を停めていた。待ち合わせには少し早い。少しどころか十五分も早いのだが、新司は人を待たせるくらいなら、自分が待つ方がいいと思っている。たぶん昔からそうだった。美容室でも病院でも予約時間の十分前には着く。だから今日も、早すぎたかなと思いながらハザードを点けた。<br>助手席には、コンビニで買った缶コーヒーが二本置いてある。一本は自分用で、もう一本は美穂用だった。ただ、美穂がコーヒーを飲むのかどうか、新司はまだよく知らない。<br>付き合っている。<br>たぶん。<br>そう思っている。<br>何度か二人で食事をして、何度か手をつないだ。先週は美穂の方から、<br>「来週の土曜日、空いてる？」<br>と聞かれた。<br>これを付き合っていると言わずに、何を付き合っていると言うのだろう。とは思うのだが、改めて、<br>「僕たち、付き合ってるんだよね？」<br>と確認するほどの勇気はない。<br>十四時。<br>来ない。<br>まあ、二時ぴったりに出てくる人もいないだろう。<br>新司はアパートの階段を見た。誰も降りてこない。<br>十四時十五分。<br>さすがに少し気になって、スマホを手に取った。美穂との最後のやり取りは、昨夜の、<br>《じゃあ明日二時ね》<br>《うん》<br>で終わっている。<br>間違ってはいない。<br>今日だ。<br>二時だ。<br>このアパートだ。<br>電話しようかな、と思う。<br>いや。<br>もしかしたら今、化粧をしている最中かもしれない。そこで電話をしたら、急かしているように思われるかもしれない。<br>それなら、もう少し待とう。<br>でも、もしかすると寝ている。<br>美穂は昨日、仕事が忙しかったと言っていた。疲れて寝ているなら、もう少し寝かせてあげてもいい気がする。<br>いや、待ち合わせしてるんだから起こしていいだろ。<br>新司は自分で自分に突っ込んだ。<br>それでも、またスマホを置いた。<br>二階の廊下に人影が見えた気がして、新司は顔を上げた。けれど、すぐに見えなくなった。美穂の部屋だったのかどうかは分からない。そもそも何号室なのかも、まだ聞いていない。<br>十四時三十分。<br>缶コーヒーは、もうぬるくなり始めていた。<br>新司はもう一度スマホを開く。<br>《着いてるよ》<br>そこまで打って、消した。<br>なんだか「早く来て」に見える。<br>《下にいるよ》<br>これも消した。<br>もっと圧がある気がする。<br>ハザードの音だけが、車内に響いていた。<br>チッカ。<br>チッカ。<br>一定の間隔で点滅する音を聞きながら、今度は別の不安が頭をもたげた。<br>もしかすると、忘れているのだろうか。<br>いや、美穂に限ってそれはない。<br>たぶん。<br>もしかすると、今日会う約束をしたつもりなのは、自分だけだったとか。<br>いや、《じゃあ明日二時ね》と書いてある。証拠はある。<br>それなら。<br>付き合っていると思っているのも、自分だけだったりして。<br>そこまで考えて、新司は首を振った。<br>何を考えているんだ、俺は。<br>十四時五十分。<br>さすがに一度連絡した方がいい。<br>そう思って、電話のマークを押そうとした。<br>その時、アパートのドアが開いた。<br>美穂が出てきた。髪を後ろでまとめながら、サンダルを引っかけるようにして階段を降りてくる。<br>助手席のドアが開いた。<br>「ごめん。寝てた」<br>新司は思わず笑った。<br>「うん。そうかなと思ってた」<br>美穂がシートベルトを締めながら、新司を見る。<br>「じゃあ電話してよ」<br>「いや、寝てるかなと思って」<br>「寝てたよ」<br>「だから」<br>「だから起こせばいいじゃん」<br>新司は返事に困った。<br>それができるなら、一時間も待っていない。<br>「で、どこ行く？」<br>美穂は何事もなかったように言った。<br>車が走り出した。行き先は決めていない。走りながら決めようと、昨日話していた。<br>「どこか行きたいところある？」<br>新司が聞く。<br>「まず買い物」<br>「買い物？」<br>「コスメと、仕事用の鞄」<br>「そのあと？」<br>「カフェ」<br>美穂は即答した。<br>「新司は？　なんか買うものないの？」<br>「僕は特にないかな」<br>「じゃあ付き合って」<br>付き合う。<br>その言葉に、新司は少しだけ反応した。もちろん、買い物に付き合うという意味なのは分かっている。でも、ひとりで勝手にその言葉をもう一つの意味に置き換えて、ちょっとだけ嬉しくなった。<br><br>ショッピングモールのコスメ売り場は、どうにも落ち着かなかった。白い照明に鏡、小さな瓶、口紅、ブラシ。並んでいる色の名前も、新司にはほとんど分からない。<br>美穂は棚の前で一本手に取った。<br>「これ、どう？」<br>新司は固まった。<br>「どうって？」<br>「色」<br>美穂が腕に少しだけ試して見せる。<br>「いいんじゃない？」<br>「何がいいの？」<br>「え？」<br>「色？　私に似合うってこと？」<br>「うん。まあ、そんな感じ」<br>「適当でしょ」<br>「適当じゃないよ」<br>「じゃあ、どこがいいの？」<br>新司はもう一度、美穂の腕を見た。<br>正直、何も分からない。<br>「……明るい？」<br>「何それ」<br>美穂が笑った。新司も笑った。<br>笑ってくれたので、たぶん正解だったのだと思う。<br>次は鞄だった。<br>美穂が黒とベージュの二つを持ち上げる。<br>「どっち？」<br>新司は今度こそ真面目に考えた。<br>「黒かな」<br>「なんで？」<br>「仕事用なら合わせやすそうだし」<br>美穂は少し考えたあと、<br>「じゃあベージュにする」<br>と言った。<br>「え？」<br>「黒は自分でもそう思ってたから」<br>「じゃあ、なんで聞いたの？」<br>「違う意見が欲しかったの」<br>新司は心の中で、最初からそう言ってくれ、と思った。もちろん、口には出さなかった。<br>そのあと二人はカフェに入った。美穂はアイスティーを頼み、新司はコーヒーを頼んだ。<br>席についてしばらくすると、美穂がストローをくるくる回しながら言った。<br>「今日、一時間くらい待ったでしょ」<br>新司は少し驚いた。<br>「まあ」<br>「怒ってないの？」<br>「寝てたんでしょ」<br>「そうだけど」<br>「じゃあ仕方ないかなって」<br>美穂が新司を見る。<br>「怒ればいいのに」<br>新司は少し考えた。<br>「怒ったら、今日なくなるかなと思って」<br>美穂は黙った。<br>ほんの数秒だった。<br>それから、<br>「ほんと、小心者だね」<br>と言って笑った。<br>新司も笑った。<br>それでいいと思った。<br>たぶん、今はまだ。<br>土曜日の午後、新司は一時間待った。美穂は寝ていた。<br>そして二人は、付き合っている。<br>たぶん。</p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/na7963674ad61'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 01 Oct 2026 04:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>【和歌】だいたい、こんな人｜三連歌</title>
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      <description><![CDATA[<p name="26E27DA0-B7F4-445F-9E91-8A87A150D190" id="26E27DA0-B7F4-445F-9E91-8A87A150D190"><b>毒ならば<br>痛めばいいに<br>知らぬ間に<br>わたしの癖を<br>わたしと思う<br><br>いい人と<br>呼ばれなくても<br>かまわない<br>あなたの「いい人」<br>それならうれしい<br><br>凍る場に<br>ひとこと落とす<br>また僕だ<br>空気は読める<br>読んで壊した<br></b></p><hr name="D7B68E27-475A-451E-BEA6-73210BDA8797" id="D7B68E27-475A-451E-BEA6-73210BDA8797"><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n4985a215f97b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 30 Sep 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/oizumi55/n/n4985a215f97b</link>
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      <title>【随筆】お弁当屋さんは五時前に開く </title>
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      <description><![CDATA[<p name="2A913C45-07FF-4886-91B5-90A8D1C25E57" id="2A913C45-07FF-4886-91B5-90A8D1C25E57">四つの弁当箱<br><br>早朝五時前、まだ誰も起きていない台所に、大きさの違う四つの弁当箱を並べるところから、我が家の一日は始まった。その中にひとつだけ、姉たちのものと比べるとずいぶん小さな弁当箱があった。四女の保育園用だった。三女とは十歳離れていたから、四つを並べると、同じ姉妹の弁当箱とは思えないほど大きさが違った。<br><br>自治会の端に建つ我が家の窓の外には、まだ自然が残っていた。起きたばかりの頃は、窓の向こうは真っ暗で、茂みも空もひとつになっている。四つの弁当箱を並べ、冷蔵庫から食材を取り出し、包丁をまな板に落とす。卵の殻がコンと割れ、フライパンに油を落とすとジュッと音がする。そんなことをしているうちに、黒かった窓の外が少しずつ青くなり、木々が一本ずつ輪郭を取り戻していく。やがて、どこからともなく鳥が鳴き始める。一羽が鳴くと、少し離れた茂みからもう一羽が返す。その頃には炊飯器から白い湯気が立ち上り、フライパンではおかずが焼けている。鳥たちの声に、包丁やフライパンや炊飯器の音が混じって、窓の外と台所が一緒になって朝を始めていく。<br><br>四つの弁当箱は、大きさこそ違ったが、中身は基本的に同じだった。ご飯を詰め、梅干しを置き、ブロッコリーやミニトマトで隙間を埋め、肉や魚、ウインナー、野菜のおかずを順番に詰めていく。長女にはこれ、次女にはこれ、三女はこれが嫌いで、四女には別のおかずを、なんてことを僕はしなかった。好き嫌いまで聞いていたら、早朝五時前に開店する我が家のお弁当屋さんのオペレーションは、たちまち破綻する。それより先に、たぶん僕の財布が破綻する。だからサイズは違っても中身はほぼ同じ。大きな弁当箱には多めに、小さな弁当箱には少なめに、同じおかずを順番に詰めていった。<br><br>弁当箱を仕上げたら、その横に朝食用の四つの皿メシを並べる。そこまでやると、だいたい一時間が経っていた。五時前には闇だった窓の外はすっかり明るくなり、鳥たちも遠慮なく鳴いている。僕は台所を離れ、子ども部屋へ向かった。<br><br>そこから、我が家の朝は急に騒がしくなる。<br><br>一人を起こし、次を起こし、そのまた次を起こす。声をかけただけで起きるやつもいれば、もう一度行かなければならないやつもいる。ようやく布団から出てきたと思えば、一人はトイレへ向かい、一人は洗面台へ行き、誰かが着替えを探している。トイレ、洗面、着替え、朝食。四人がそれぞれ自分の朝を抱えて家の中を行ったり来たりし、僕もその間を縫うように動く。ついさっきまで鳥の声と台所の音しか聞こえなかった家の中に、水道の音、足音、食器の音、娘たちの声が次々と加わっていく。毎朝、我が家はそんなふうに目を覚ました。<br><br>そもそも、最初から四つの弁当箱が毎朝台所に並んでいたわけではない。あの頃、理由はもう忘れてしまったが、市の方針だったのか、給食のない日が週に一度くらいあったと記憶している。その頃は、弁当を作る朝はまだ週に一度のことだった。<br><br>それが長女が高校へ進学すると、事情が変わった。高校には給食がない。週に一度くらいしか出番のなかった弁当箱が、毎朝台所に顔を出すようになった。そこへ下の娘たちの弁当の日が重なると、一つが二つになり、三つになり、四つになった。いつの間にか、我が家の台所は毎朝営業するお弁当屋さんになっていた。<br><br>どうして、こんな過ぎた話を書くのだろうかと、自分に問いかけてみたら、もう一人の僕が笑いながら答えた。<br><br>忘れたくないんだろうね。<br><br>あの頃は、今では想像もつかないような忙しない日々だったけれど、それでも、やっぱり幸せだったんだと思っている。<br><br>人って案外、そんな他愛もない時間が、本当はとんでもない宝物のような出来事に包まれていたことに、ずいぶん後になってから気づくのだと思う。<br><br>そしてきっと、気づかないまま過ぎてしまったことも、たくさんあるのだと思う。</p><p name="C49980BE-4DE7-4682-9025-6BAF32081FB7" id="C49980BE-4DE7-4682-9025-6BAF32081FB7"><br></p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/ndaec1818b198'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 30 Sep 2026 04:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>【随筆】意識の層を歩く｜意識層</title>
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      <description><![CDATA[<p name="766E4FEA-1527-477F-AA58-0AA2AE835DC6" id="766E4FEA-1527-477F-AA58-0AA2AE835DC6">五月になって、久子は老人ホームへ入所した。<br><br>僕ひとりのケアだけで暮らしを支えることが、難しくなったからだ。<br><br>いまは週に一、二度、ヨーグルトを持って顔を見に行く。<br><br>施設のベランダから外へ出ると、裏庭が広がっている。<br><br>久子を連れ出すと、木々を見上げながら、トコトコと歩き始める。<br><br>木々の間から陽が漏れてくる。<br><br>風が吹くと、葉が擦れる。<br><br>足もとでは、落ち葉がカサッと音を立てる。<br><br>すると久子は、<br><br>「んっ」<br><br>と、小さく声を出して、そちらを見る。<br><br>また歩く。<br><br>カサッ。<br><br>「んっ」<br><br>今度は違うほうを見る。<br><br>何を見ているのか。<br><br>何の音だと分かっているのか。<br><br>たぶん、もう説明することはできない。<br><br>それでも、光には目を向ける。<br><br>音には耳を向ける。<br><br>風が頬を通れば、少し顔を上げる。<br><br>何やらぶつぶつ喋りながら、またトコトコと歩いていく。<br><br>そして、なんだか幸せそうな顔をしている。<br><br>そんな久子を見ていると、「分かる」ということについて考えてしまう。<br><br>これは木漏れ日だ、と名前を知っていることが、本当に「分かる」ということなのだろうか。<br><br>葉擦れの音だと説明できなくても、その音に顔を向ける。<br><br>木漏れ日という言葉を忘れていても、光に目を細める。<br><br>もしかすると久子は、世界を理解しなくなったのではなく、意味を通さずに世界を受け取っているのかもしれない。<br><br>それでも、<br><br>「久子さん、校長先生が褒めていたよ」<br><br>と言うと、<br><br>久子の目が、ふっと輝く。<br><br>さっきまで木々を眺めながら、何を言っているのか分からない言葉をつぶやいていた人が、その瞬間だけこちらを見る。<br><br>嬉しそうにする。<br><br>ときには、照れたような顔さえする。<br><br>ああ。<br><br>まだ、ここには届くんだ。<br><br>そう思う。<br><br>以前の僕なら、「校長先生という記憶が残っている」と考えたかもしれない。<br><br>でも今は、少し違って見える。<br><br>校長先生が誰だったのか。<br><br>いつ褒められたのか。<br><br>何を褒められたのか。<br><br>それを久子が覚えているのかは、もう分からない。<br><br>それでも、<br><br>「校長先生」<br><br>「褒められた」<br><br>という言葉に触れると、どこか深いところにある何かが動く。<br><br>喜びなのか。<br><br>誇らしさなのか。<br><br>安心なのか。<br><br>誰かに認められたという、もっと古い感覚なのか。<br><br>僕には分からない。<br><br>でも、何かが確かに動いている。<br><br>ここで僕は、自分がずっと考えてきた「意識の層」というものを、もう一度眺め直すようになった。<br><br>僕は、人の意識にはいくつかの層があるのではないかと考えている。<br><br>思考・判断。<br><br>価値基準。<br><br>感情。<br><br>情動。<br><br>生命。<br><br></p><figure data-align="center" name="017869B1-0905-404D-A945-D02D48F3E19F" id="017869B1-0905-404D-A945-D02D48F3E19F"><img src="https://assets.st-note.com/img/1786253034-dJWPfmTI3x5oY8ieyX7vBu4p.png" width="620" height="413" id="image-017869B1-0905-404D-A945-D02D48F3E19F"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/nafb1663892dc'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 29 Sep 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【詩】ふんべつ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="FB46631C-AAAD-471F-94ED-261F86DC8B94" id="FB46631C-AAAD-471F-94ED-261F86DC8B94">分別がつくようになった<br><br>昔なら<br>腹を立てていたことも<br><br>まあ<br>そんなこともあるかと<br>思えるようになった<br><br>言い返したい言葉を<br>ひとつ飲み込んで<br><br>追いかけたい背中を<br>追わずにいられるようにもなった<br><br>大人になった<br>ということなのだろうか<br><br>それとも<br><br>ただ<br>疲れただけなのだろうか<br><br>分別という言葉には<br>どこか<br>賢そうな響きがあるけれど<br><br>本当は<br><br>いろんなものを<br>諦めたり<br>許したり<br>手放したりしながら<br><br>少しずつ<br>覚えていくものなのかもしれない<br><br>正しいことが<br>いつも正しいとは限らないこと<br><br>好きだからといって<br>そばにいられるとは限らないこと<br><br>頑張ったからといって<br>報われるとは限らないこと<br><br>そんなことを<br>いくつも知って<br><br>それでも<br><br>誰かを嫌いになるより<br>まあいいかと笑えるほうを<br>選んでみる<br><br>分別がついたのか<br><br>ただ<br>角が取れただけなのか<br><br>いまだに<br>よくわからない<br><br>でも<br><br>昔より少しだけ<br>人にも<br>自分にも<br><br>やさしくなれた気がする<br><br>もしそれを<br>分別と呼ぶのなら<br><br>悪くないなと<br>思っている</p><figure data-align="center" name="AB9ABCC4-A15C-4644-9448-AC0079273FDA" id="AB9ABCC4-A15C-4644-9448-AC0079273FDA"><img src="https://assets.st-note.com/img/1788049127-ploP83S4YxEIL79wOUCgAFd2.png" width="620" height="117" id="image-AB9ABCC4-A15C-4644-9448-AC0079273FDA"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n1308b02b7f7a'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/312801728/profile_be5002d35c9513c08b0d52fc495e7294.png?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 29 Sep 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【エッセイ】そして僕はDV夫になった</title>
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      <description><![CDATA[<p name="1BE67A25-7943-4A7C-8651-76161269EBB0" id="1BE67A25-7943-4A7C-8651-76161269EBB0">そして僕は、DV夫になった。<br><br>妻を殴ったからではない。<br><br>元妻が泣き叫びながら、家の外へ出ていったからだ。<br><br>僕ら家族は、その土地の生まれではなかった。<br><br>外から移り住んできた僕は、できるだけ自治会の集まりに参加するようにしていた。人付き合いが特別好きだったわけではない。正直、仕事で疲れている夜には、家でゆっくりしていたいと思うこともあった。<br><br>それでも顔を出した。<br><br>娘たちが、この土地で暮らしていくからだ。<br><br>親が地域とつながっていれば、子どもたちも暮らしやすいだろう。何かあったときには、顔を知っている大人が一人でも多いほうがいい。<br><br>そんな思いで、行事の準備を手伝い、会合に出席し、頼まれた役目を引き受けた。<br><br>少しずつ、名前を覚えてもらった。<br><br>道で会えば挨拶を交わす人が増えた。スーパーで声をかけられることもあった。<br><br>そのうち自治会から推薦され、娘たちが通う小学校のPTA会長まで引き受けた。<br><br>ようやく僕も、この土地の人間になれてきたのだと思っていた。<br><br>元妻が乳癌を発症したときには、近所のお母さんたちがずいぶん助けてくれた。<br><br>娘たちのことを気にかけ、食事を届け、僕ら家族を支えてくれた。いわゆるママ友という人たちだった。<br><br>病気と向き合う時間は、二年ほど続いた。<br><br>治療を終えて退院した元妻は、抗がん剤の影響で弱った身体と、増えた体重を戻したいと言って、ジムへ通い始めた。<br><br>半年ほどすると、ずいぶん元気になった。<br><br>そして、久しぶりに里帰りがしたいと言った。<br><br>元気になったのだから、実家でゆっくりしてくればいい。<br><br>僕はそう思って送り出した。<br><br>その帰省中、元妻は結婚前に付き合っていた男性と、再び関係を持った。<br><br>帰ってきた元妻は、妙に楽しそうだった。<br><br>明るいというより、浮き立っていた。足元が地面についていないような、本人だけが別の季節を歩いているような感じだった。<br><br>頭の中に花が咲いている人は、自分では上手に隠しているつもりでも、だいたい花びらを落として歩いている。<br><br>だから、すぐに分かった。<br><br>一度は許した。<br><br>病気を乗り越えたばかりだったこともある。僕にも至らないところはあったのだろう。家族を壊したくなかった。<br><br>終わったことにしようとした。<br><br>けれど、終わってはいなかった。<br><br>関係は続いていた。<br><br>その頃、僕は会社を始めて三年目だった。事業を広げる話が進み、立ち止まる余裕はなかった。<br><br>家庭の問題に振り回されたくない。<br><br>いまは仕事を止められない。<br><br>僕はそう考え、元妻と距離を置いた。<br><br>同じ家にいながら、夫婦としての会話は減っていった。家庭内別居のような状態になった。<br><br>やがて元妻の心の状態も大きく崩れ、双極性障害と診断された。<br><br>病名だけですべてを説明できるとは思わない。<br><br>ただ、家の中では、叫び声が増えた。<br><br>物に当たり、暴れ、娘たちに手を上げることもあった。<br><br>泣き叫びながら家の外へ出ていくこともあった。<br><br>その状態が、二年ほど続いた。<br><br>近所の人たちに見えたのは、家の中で起きていたことの全部ではない。<br><br>家から聞こえる妻の泣き叫ぶ声。<br><br>外へ飛び出していく妻。<br><br>あとから出てくる夫。<br><br>そのくらいだった。<br><br>見えない部分は、誰かが想像でつないだ。<br><br>やがて僕らは別居し、元妻は実家へ帰った。<br><br>それからしばらくして、自治会の集まりで、あるママ友が僕に声をかけてきた。<br><br>僕が元妻に暴力を振るい、それが原因で元妻は家を出た。<br><br>そんな話になっているらしかった。<br><br>僕は説明しようと思った。<br><br>家の中で何が起きていたのか。<br><br>元妻がどういう状態だったのか。<br><br>娘たちが何を見てきたのか。<br><br>けれど、話しているうちに気づいた。<br><br>その人は、元妻と親しかった。<br><br>僕に噂を教えてくれた人であると同時に、元妻から先に話を聞き、それを周囲に伝えた人でもあった。<br><br>つまり、その人が噂の入口だった。<br><br>僕が何を話しても、事実の説明としては聞いてもらえないだろう。<br><br>夫側の言い訳。<br><br>都合のいい釈明。<br><br>そう受け取られるだけかもしれない。<br><br>僕は、説明することをやめた。<br><br>そのうち収まるだろうと思った。<br><br>日々の僕を見ていれば、いつか分かってもらえる。<br><br>娘たちと暮らし、仕事をし、自治会にも顔を出していれば、噂よりも現実のほうが勝つ。<br><br>そう思っていた。<br><br>けれど、噂は消えなかった。<br><br>あれから十二年が過ぎた。<br><br>噂には尾がつき、ヒレがついた。<br><br>十二年も泳ぎ続けたものだから、ずいぶん立派に育った。いまとなっては、もともと何の魚だったのかさえ分からない。<br><br>娘たちは、少しずつ巣立っていった。<br><br>昨年の三月、家に残る娘があと一人になった頃、僕は自宅を社員寮にして、アパートへ移った。<br><br>念願のマイホームだった。<br><br>娘たちの笑い声があり、誕生日があり、入学式の朝があり、家族で囲んだ食卓があった。<br><br>だから、寂しくなかったと言えば嘘になる。<br><br>けれど同じ家に、泣き叫ぶ声も、割れていった日常も、見ないふりをした夜も残っていた。<br><br>あの家で老後を一人で過ごす自分を想像してみた。<br><br>少し考えて、無理だと思った。<br><br>思い出が多すぎる。<br><br>それに、四LDKは一人で暮らすには、ちと広すぎる。<br><br>逃げ出したような気もした。<br><br>ようやく自分の足で出ていけたような気もした。<br><br>寂しかった。<br><br>ほっともした。<br><br>娘たちが暮らしやすいようにと入っていった地域を、娘たちが巣立つのを見届けながら、僕は離れた。<br><br>僕はもう、あの自治会には住んでいない。<br><br>けれど、噂の中の「DV夫」は、今もあの町に住んでいるのかもしれない。<br><br>四LDKだ。<br><br>住むには、十分すぎる広さだろう。<br><br></p><figure embedded-content-key="embc54afe40f66a" embedded-service="note" data-src="https://note.com/oizumi55/n/nf56697226a31" contenteditable="false" name="DB9756CC-6706-4DD3-9406-F4EECE1926D5" id="DB9756CC-6706-4DD3-9406-F4EECE1926D5" data-identifier="nf56697226a31">                                        </figure><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n93941e2fed08'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 28 Sep 2026 19:30:00 +0900</pubDate>
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      <title>【和歌】朝を遊ぶ｜三連歌</title>
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      <description><![CDATA[<p name="2C0293B4-84E3-4809-9EF6-5A3634E0555E" id="2C0293B4-84E3-4809-9EF6-5A3634E0555E"><br></p><p name="818C4DBB-D7BA-45CC-8C74-F11B89946B23" id="818C4DBB-D7BA-45CC-8C74-F11B89946B23"><b>昨日から<br>つづく窓辺に<br>朝の風<br>いつもの頬を<br>はじめて撫でる<br></b></p><br/><a href='https://note.com/oizumi55/n/n1c87f8b2b8db'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>大泉　尚｜拾眺する人</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 28 Sep 2026 04:30:00 +0900</pubDate>
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