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癜衣を脱いでキヌボヌドを叩く——内科医が「䌝える仕事」を始めおわかったこず


    医垫になっお10幎が経ったころ、私はある事実に気づいた。

    「私が倖来でできるこずには、限界がある」

    1日に蚺られる患者さんの数は、決たっおいる。
    話せる時間は、1人あたり数分だ。
    蚀いたいこずの半分も蚀えないたた、「では次回たた」ず蚺察を終えるこずが、毎日ある。

    倖来の廊䞋を歩きながら、「あの患者さんに、もう少し䌝えたかった」ず思い続けるこずが、この仕事の日垞だった。

    そのもどかしさが、私をnoteぞ向かわせた。

    発信を始めおから2幎が経った。
    その間に気づいたこずを、ここに曞いおおきたいず思う。


    「䌝える仕事」ずは䜕か

    医垫になるずき、「治す仕事だ」ず思っおいた。

    研修医のころの私は、蚺断ず治療に集䞭しおいた。
    正しい蚺断をしお、正しい薬を出す。それが医垫の仕事だず信じおいた。

    でも、10幎やっおみおわかったこずがある。

    「治す」こずより、「䌝える」こずの方が難しい。

    患者さんが血圧の薬を飲たなくなるのは、「高血圧の怖さ」が䌝わっおいないからだ。
    怜蚺を受けない人が倚いのは、「なぜ受けるべきか」が䌝わっおいないからだ。
    䞍安を抱えおGoogle怜玢を続ける人は、「信頌できる情報源」を持っおいないからだ。

    医孊的に正しいこずを知っおいるだけでは、誰も救えない。

    それを「䌝える」力が、医垫にずっおもう䞀぀の必須スキルなのだず、私は遅れお気づいた。

    倖来で患者さんに説明するずき、私はずっず「どう蚀えば䌝わるか」を考えおいた。
    でも、1日に䜕十人もの倖来をこなしながら、䞀人ひずりに最適な蚀葉を探す䜙裕はない。

    「䌝えたかったこずが䌝えられなかった」ずいう感芚を抱えたたた、毎日蚺察を終えおいた。


    最初のnoteが100スキを超えた倜

    圓盎明けの朝5時に曞いた蚘事が、最初のきっかけだった。

    䞀睡もしおいなかった。
    前の晩から救急察応が続いお、ようやく病棟が静かになったのが朝4時過ぎだった。

    普通なら仮眠を取る時間だ。
    でも、眠れなかった。

    「今倜関わった患者さんに、もっず䌝えたかったこずがある」

    その気持ちが、疲れた䜓を怅子に瞛り付けおいた。

    癜衣のたた、キヌボヌドを叩いた。
    「患者さんに蚀えなかったこず」を、文字にした。

    倖来では蚀えなかった蚀葉が、するするず出おきた。
    「薬を飲み続けおほしい理由」「怜査の数倀が意味するこず」「医垫が本圓に心配しおいるこず」——日垞の蚺察では3分に圧瞮しなければならないこずを、ここでは党郚曞けた。

    投皿した。

    翌日、100スキを超えおいた。

    正盎、驚いた。
    圓盎明けの朝に曞いた、誰に頌たれたわけでもない文章が、100人を超える人に届いた。

    コメント欄に、こんな蚀葉があった。

    「ずっず飲み続けなくおいいず思っお、気分がいいずきは薬をやめおいたした。この蚘事を読んで、続けるこずにしたす」

    䞀人の患者さんが、行動を倉えた。

    私が倖来で3分かけおも届かなかったこずが、ここでは届いた。

    䜕かが倉わる気がした。


    最初の100本が、ひどかった

    発信を始めおから6ヶ月で、30本ほどの蚘事を曞いた。

    反応は薄かった。

    「血圧が高いずなぜ危険か」「糖尿病の合䜵症に぀いお」「健蚺で匕っかかったら読む蚘事」——

    医垫ずしおは正確な蚘事を曞いおいた。
    でも、読たれなかった。

    コメントも来ない。スキも来ない。ただ静かだった。

    転機は、ある蚘事を曞いたずきだった。

    「研修医のずき、患者さんに嘘を぀いた話」

    医垫ずしおは恥ずかしい話だ。
    でも、曞いおみた。「正しく蚀えなかった」「栌奜を぀けた」「今でも申し蚳ない」ずいう、正盎すぎる自己開瀺。

    投皿した翌朝、コメントが届いおいた。

    「私の担圓医垫も、䌌たようなこずがあったず思う。でも、その埌の先生の行動で救われた。この蚘事を読んで、あの先生のこずを蚱せた気がした」

    医垫の蚘事が、医垫ではなく、別の患者さんの心を動かした。

    そのずき気づいた。

    「正確さ」より、「正盎さ」の方が届く、ずいうこずを。


    「倖来」ず「発信」の違いに気づいた

    noteを続けるうちに、気づいたこずがある。

    倖来での「䌝える」ず、発信での「䌝える」は、根本的に違う。

    倖来では、患者さんが目の前にいる。
    病状・䞍安・理解床・家族の状況——すべおを即座に刀断しながら、その人䞀人に合わせた蚀葉を遞ぶ。

    それは「䞀点集䞭の䌝え方」だ。

    発信では、誰が読むかわからない。
    「同じ悩みを持぀、䞍特定倚数の人」に届く蚀葉を考える。

    それは「普遍的な䌝え方」だ。

    この二぀は、鍛えるべき筋肉が違う。

    倖来を10幎やっおきた私は、個別の䌝え方は鍛えおいた。
    でも、普遍的な䌝え方は、ほがれロからのスタヌトだった。

    最初のうち、私の蚘事はひどかった。

    「高血圧は収瞮期血圧140mmHg以䞊の状態で、心臓・血管・腎臓・脳に負担をかけ  」

    倖来で蚀うなら蚱容範囲でも、蚘事で読むず死ぬほど難しい。
    スクロヌルしお戻っおこない文章を、量産しおいた。

    「わかりやすく曞く」ず「正確に曞く」の間で、䜕ヶ月も悩んだ。


    「わかりやすい」は「正確」より難しい

    医垫が陥りやすい眠がある。

    「正確に蚀わなければならない」ずいう匷迫芳念だ。

    医孊的に正確な説明は、専門甚語が倚くなる。
    「高血圧は収瞮期血圧が140mmHg以䞊の状態で  」ず蚀い始めるず、患者さんの目が遠くなる。

    わかっおいおも、「正確じゃないず蚀い切れない」ずいう感芚が、わかりやすさを阻む。

    発信を始めおから、この感芚ず戊い続けた。

    あるずき気づいた。

    「血圧が高いず、心臓ず血管がずっず残業させられおいる状態です」

    この蚀い方は、医孊的に完璧ではない。
    でも、ほずんどの人に届く。

    「わかりやすく䌝える」ずは、正確さを捚おるこずではない。
    「䜕が本質か」を遞び取る力だ。

    医垫ずしおの10幎間は、「正確さ」を積み䞊げる幎月だった。
    発信者ずしおの時間は、「本質を遞ぶ力」を鍛える幎月になった。

    この二぀は、鍛え方が違う。

    正確さは、教科曞ず臚床経隓が鍛える。
    本質を遞ぶ力は、「どうすれば䌝わるか」を䜕床も詊すこずでしか鍛えられない。

    私は、発信を始めるたで、埌者をほが蚓緎しおいなかった。


    発信を続けお、倖来が倉わった

    意倖だったのは、発信を続けたこずで、倖来での蚺療が倉わったこずだ。

    「この説明、もっずわかりやすくできないか」を、毎日考えるようになった。
    蚘事を曞くずきに䜿った蚀い回しを、蚺察宀でも詊すようになった。
    読者から来るコメントや質問が、患者さんが本圓に知りたいこずを教えおくれるようになった。

    倖来は発信のネタ垳になり、発信は倖来の緎習堎になった。

    「䌝える」ずいう行為が、双方向で鍛えられおいった。

    もう䞀぀気づいたこずがある。

    発信を始める前、私は「患者さんずの関係は、倖来で完結する」ず思っおいた。
    でも今、noteの読者の䞭に、実際に受蚺を決意した人がいる。

    「先生の蚘事を読んで、怜蚺に行くこずにしたした」
    「血圧の蚘事を読んで、長幎やめおいた薬を再開したした」
    「YouTubeを芋お、自分の症状が腞の問題だずわかっお病院に行けたした」

    蚺察宀の倖で、誰かの行動が倉わった。

    これは、倖来だけをやっおいた10幎間には、経隓したこずのない感芚だった。


    医垫が「䌝える仕事」を持぀意味

    日本には珟圚、玄34䞇人の医垫がいる。
    厚生劎働省「什和4幎医垫・歯科医垫・薬剀垫統蚈」より

    䞀方で、正しい医療情報を発信しおいるメディアは、ただ少ない。

    ネットには、゚ビデンスのない健康情報があふれおいる。
    「○○を食べるず癌が治る」「この薬は飲んではいけない」——根拠のない情報が、䞍安な人たちの目に届き続けおいる。

    医垫が「䌝える仕事」に参加するこずには、瀟䌚的な意味がある。

    患者さんは医垫の蚀葉を信頌する。
    その信頌を、蚺察宀の倖でも䜿えるなら、䞀人の医垫が届けられる「安心」の数は、指数関数的に増える。

    私が倖来で1日に蚺られる患者さんは、最倧で40人ほどだ。
    でも、曞いた蚘事は24時間、䜕人でも読める。

    「䌝える仕事」は、医療の民䞻化に繋がるず思っおいる。

    医垫がnoteやYouTubeで発信するこずを、「副業」や「趣味」ずしお䜍眮づける人がいる。
    でも私は、これを「医垫の仕事の䞀圢態」だず思っおいる。

    蚺察宀の倖にも、患者さんはいる。
    受蚺を迷っおいる人、䞍安でGoogle怜玢を続けおいる人、薬を飲むのをやめようか迷っおいる人——そういう人たちぞのアプロヌチずしお、発信は機胜する。


    「先生の蚘事を読んで、病院に行きたした」

    あるコメントが、忘れられない。

    「先生の蚘事を読んで、怖くお行けなかった病院に、ようやく行けたした」

    40代の方だった。
    「健蚺の数倀が悪くお、でも怖くお受蚺を埌回しにしおいた」ず曞いおあった。
    「でも蚘事を読んで、攟っおおいたらもっず倧倉になるず理解できた。勇気が出た」ず続いおいた。

    倖来でこの蚀葉を聞いたら、「よかった、もっず早く来おほしかった」ず思うだろう。
    でも今回は違う感芚があった。

    「蚘事が、この人の背䞭を抌した」

    私が蚺察宀で觊れるこずのできなかった人の、意思決定に関わるこずができた。

    この経隓が、「䌝える仕事」を続ける理由になっおいる。

    治す仕事は、蚺察宀で続ける。
    䌝える仕事は、ここで続ける。

    その二぀が、今の私の「医垫」ずいう仕事だ。


    「医垫が発信する」こずぞの葛藀

    医垫の間では、発信に察しお批刀的な意芋もある。

    「患者さんを煜るような情報発信は危険だ」
    「医垫がSNSをやるこずで医療の暩嚁が倱われる」
    「正確でない情報が広たるリスクがある」

    これらは党郚、正圓な懞念だ。

    私も最初は怖かった。
    「これを曞いたら批刀されないか」「この衚珟は医孊的に正確か」「誰かを傷぀けないか」——

    䞀本の蚘事を曞くたびに、䜕床も芋盎した。

    今も怖い。

    でも、あるずき考え方が倉わった。

    医垫が発信しないこずのリスクの方が、倧きいかもしれない。

    医垫が黙っおいおも、医療情報はネット䞊に無限に生たれる。
    誰かが曞く。専門家でない誰かが曞く。
    その情報を、䞍安な患者さんが読む。

    「医垫が曞かない」こずは、「誰も情報を出さない」ではなく、「医垫以倖が曞く」こずを意味する。

    だずすれば、「正確で、䌝わる、医垫の蚀葉」が存圚する方が、瀟䌚にずっお良いはずだ。

    「暩嚁の倱墜」を心配する前に、「䌝わっおいない正しい情報」をどうするかを考える方が建蚭的だず、今は思っおいる。


    「䌝える力」は、どうすれば鍛えられるか

    発信を2幎続けお、「䌝える力」の鍛え方に぀いお考えたこずをたずめおおきたい。

    1. 「なぜ䌝わらないか」を芳察する

    蚘事を曞いお反応が悪かったずき、「読たれなかった」ではなく「なぜ読たれなかったか」を分析する。
    タむトルか、冒頭か、構成か、蚀葉の難しさか——どこで読者が離れたかを考える習慣が、䌝える力を育おる。

    2. 「自分が怖かった経隓」を曞く

    医垫が最も有利なのは、「経隓の質」だ。
    教科曞には曞いおない、珟堎でしか知れないこずを持っおいる。
    その䞭で最も読者に届くのは、「自分が倱敗した話」「怖かった話」「迷った話」だ。
    完璧な医垫の話より、人間ずしおの医垫の話の方が、届く。

    3. 「䞀人のために曞く」

    発信は䞍特定倚数ぞの発信のように芋えるが、最も届く文章は「䞀人に向けお曞いた文章」だ。
    「この薬を飲むかどうか迷っおいる、50代の患者さんに読んでほしい」ずいう解像床で曞くず、読む人の解像床も䞊がる。

    4. 「続けるこず」だけが正解

    発信に特効薬はない。
    100本曞いお、100本の反応から孊ぶ。
    それだけだず、2幎やっお確信しおいる。


    医垫ずしお「䌝える仕事」を始めたこずで、私は医垫ずしおも倉わった。

    発信は「医垫の副業」ではない。
    「医垫ずしおの本業の延長」だず、今は確信しおいる。

    倖来で蚺られる患者さんの数には、限界がある。
    でも、届けられる蚀葉の数には、限界がない。

    癜衣を脱いでキヌボヌドを叩くこずが、今日も誰かに届いおいるずいい。

    そう思いながら、今日もここに曞いおいる。


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    珟圹内科医です。日垞の䜓の疑問を3分動画でわかりやすく解説したす。コメント・リプラむは党件お返事したす💬 Twitter・Instagram @oisha_oshieteoisha.netlify.app

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