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【あなたの経験は賢者の金言】~トラップ the トリップ of トッリク~

    ~あらすじ~
    今日もせっせと、人生を画面に垂れ流すあなたへ。SNSという現代の金鉱。副業や自己実現を夢見て、料理や猫、仕事の経験談を発信する大衆。だが、本当に儲かるのは「稼ぐノウハウ」という錆びたシャベルを売る先駆者。これは巧妙な搾取の風刺――ではなかった。「神々_インフルエンサー」の皮を剥げばそれもバベル、群がる愚者もただただ塩基螺旋配列。黒きガラスの奥に潜むのは、強欲にのまれる「賢者」の脳髄。すべてを解りながら、「いいね」というデジタル麻薬に溺れ体温を感じる、自らまな板の上に横たわる傀儡。そしてこの物語を書き上げたあなたの指先は、今、何をもとめる。視界の右下に明滅する【ログアウト】

    第1幕:【ゴールドラッシュ】


    それでも夢見る浮世の金言。
    今日もせっせと、ノートにインスタ。

    薄暗い部屋、スマートフォンの放つ青白い光が、
    自分を冷たく、うつろに映す。

    画面の向こう側に広がるは、
    無限に続くテキストと画像の深い山々。

    始まりはいつも、
    「まずは無料で私のノウハウを公開します」
    親切な顔をした先駆者たちの甘美な誘い文句。

    その言葉に「載せられた」私は、
    まるで催眠術にでもかかったかのように、
    自らの人生の切り札をタイムラインへ切り売りし始める。

    30年生きてきた話題は尽きない。
    恋もした、辛酸は何度も味わった。

    差し出されたマニュアル、
    丁寧に盛り付けた料理の画像、愛くるしい猫の動画。

    マニュアルを捲れば、
    職場で身につけた専門知識のうんちく、
    過去の泥臭い経験談。

    さらには、
    夫への消えない愚痴から、上司のあしらい方、
    経費の上手な落とし方に至るまで。

    私は、
    必死に生きて傷ついて、

    血を流して得たはずの
    「ライフハック」という名の人生の財産を、
    自ら進んでネットの海へ垂れ流す。

    「あなただけの言葉には価値がある」
    「個人の時代を生き抜こう」。
    その甘いスローガンを信じ込む。

    自分の生きた証をジャンルと名の付く金鉱へ放り込む。

    誰もが一攫千金を夢見、
    自己実現という名の黄金を掘り当てるために、
    自らの切り売りを止められない。

    世はまさに、大副業時代。
    有象無象が群がる浮世のゴールドラッシュ…

    だが、
    私は歴史の教科書に書かれた「真実」を忘れていた。

    19世紀、
    アメリカの荒野で起きたゴールドラッシュという名を冠した時代。

    本当に莫大な富を築き、
    勝者となったのは誰だったか。

    それは泥にまみれ、
    一攫千金を夢見て狂ったように地面を掘り続けた、
    名もなき採掘者たちではない。

    彼らに「ゴールドが掘れる、壊れる最新のシャベル」を売りつけた、
    冷徹な商人たちだ。

    そして今の浮世における
    「シャベル売り」の正体は、道具を売る商人などではない。

    タイムラインの頂点に君臨し、
    言葉を生業にする、洗練された美しき先駆者。

    「詩人」たちだ。
    貴方は、私たちがすがるような思いで放出した、
    生々しく血の通った経験や、泥臭い言葉の断片を、
    網ですくうようにそっと回収していく。

    そして、
    さも「自分自身が体験した物語」であるかのように、
    貴方の洗練された見事な表現力で美しく語り直すのだ。

    貴方が奏でる華やかな英雄譚、
    人々の心を打つサクセスストーリー。

    そのきらびやかなコンテンツの原材料は、
    すべて私が夜な夜なスマホに向かって切り売りした、
    無料と「先ずは…」日常のスクラップ。

    大衆のリアルな人生を吸い上げ、
    スマートに加工して自らの富とフォロワーへと換えていく詩人たち。

    スポットライトを浴びて輝く彼らの詩は、
    一体、誰の血肉でできているのだろうか。

    「これは、遠い世界の、私…私たちの物語……」

    画面をスクロールするあなたの指も、気づくだろうか。
    あなたが今日、
    一縷の望みをかけて「無料」で差し出したその貴重な経験が、
    明日、
    あの詩人たちの「有料note」として、歌われ、愛でられ拡大していくのだ。

    第2幕:荒野の家畜(パイオニア)


    今の私は、どんな表情をしているだろうか。

    「なんて悪趣味な搾取構造だ」と冷ややかに鼻で笑っただろうか。
    あるいは、

    「私はそんな安易な罠には騙されない」
    と、自らの賢明さに安堵しているだろうか。

    だが、
    ゴールドラッシュ構造の先、
    深淵はもっと冷ややかにこちらを見つめている。

    私は、もう気づいている。

    自分が画面の向こうにいる詩人達の肥やしにされていることも、
    血の滲むような人生の切り札が、
    詩人の有料商材のプロットへ無残に書き換えられていることも、

    すべて、

    もう「解って」いる。

    解ってしまったのだ。
    それなのに、
    私の指は、今夜もスマートフォンの暗い画面を叩き、
    言葉を垂れ流す。

    その指を、どうしても止めることができない。
    私は騙されているのではない。

    このゴールドラッシュという名の
    「精巧に作られた檻」へと、

    自ら進んで足を踏み入れ、
    自ら進んでその首をギロチンの刃の下へと差し出しているのだ。

    自分は未開の荒野、いや鉱山を掘り進む、
    勇敢で孤独な家畜なのだという、
    あまりにも肥大化した錯覚に脳を焼かれながら。

    なぜ、
    そこまでして差し出してしまうのか。

    理由はあまりにもシンプルで、あまりにも残酷だ。

    職場の理不尽、一向に上がらない給料、
    弱者が気遣い虐げられる世界、
    社会の歯車として透明人間のように扱われる冷え切った日常。

    そんな凍えそうな現実の中で、画
    面の向こうから降ってくる。

    「いいね」

    たった一言のコメント、増えていく数字だけが、
    鉱山で酸素の薄い人生に、ほんのりとした体温をくれるからだ。

    その微かな温もりにすがりつくうちに、
    私たちの脳はじっとりと、取り返しのつかないほどに麻痺させられていく。

    「あなたの中に眠るゴールドを掘り起こせ」
    「あなたの経験には、まだ見ぬ価値がある」

    詩人たちが仕掛けたその甘い言葉が、
    家畜を太らせ、効率よく毛を刈り取るための「エサ」だと知っていても、
    私たちは喜んでそれを貪り食う。

    この乾いた人生の底から、
    いつか自分だけは這い上がれるかもしれないという、

    淡く、狂おしい、致死量の夢を見る。

    詩人たちにとって、私たちの人生は、
    ただの「無料の原材料」に過ぎない。

    しかし、
    私たちにとっては、
    それしか差し出すものがない「最後の財産」なのだ。

    もう、それを切り売りして差し出さなければ、
    自分の存在すら、この世界に証明することができない。

    だから、
    今日もせっせと記事に画像に動画。

    パイオニアの仮面を被らされた家畜たちは、
    先駆者という名の詩人、怪物の巨大な胃袋を満たすために、

    自らの大切な血肉を、
    恍惚とした表情で嬉々として、涎をまき散らし、
    切り売りし続ける。あぁ…私は牛のようだ…。

    すべてを解った上で、
    私はスコップを強く握りしめ、自らまな板の上に横たわる。

    自分の人生が美しく消費され、
    誰かのサクセスストーリーの一部として溶けていく順番を、
    従順に、そしてどこか心待ちにしながら。

    それは、どこかの、だれかの物語……。

    いいえ。
    黄金の夢に目を眩まされ、自分が飼い慣らされていることの快楽に、
    もう永遠に抗えなくなっている、私の、あなたの物語。

    ほら、あなたのその指も、
    次に差し出すは自身の脳みそだ。

    第3幕:花街の薬


    禁断症状と黄金の幻覚で「原材料」としての真実を突きつけられ、
    「パイオニアという名の家畜」である現実を突きつけられてなお、
    私はまだ、スマートフォンの電源を落とせずにいる。

    閉じた画面、暗闇映る自分が怖いのだ。

    この薄暗い部屋の静寂に、
    たった一人で取り残されることが、耐えがたいほどに恐ろしい。

    すべては「解って」いる。
    自分が書いた魂の叫びが、あの洗練された詩人の肥やしになり、
    彼らのスマートな甘美な詩へとロンダリングされるクソみたいな現実だと。

    自分がどれだけスコップを振るっても、
    黄金の果実を手にするのは、
    都で歌う彼らだけだということも。

    だが、
    そんな冷徹な正論は、今の私たちには1ミリの救いにもならない。

    私たちはもう、あの味を知ってしまったのだ。
    タイムラインという名の、24時間眠らない売春宿。

    そこで手に入る透き通るほど艶やかで、
    溶けるほど芳醇、すべてをさらけ出したくなる「いいね」

    フォロワーの数字がピコピコと跳ね上がる瞬間の、
    あの脳髄を直接引っ掻かれるような強烈な全能感。

    脳内でドバドバと分泌されるドーパミンは、
    社会で透明人間のように扱われる私の、すり減った自尊心を一瞬で満たす。

    それは、
    合法で、手軽で、あまりにも安価な、精神のドラッグ。

    現実の生活は、あまりにも寒く、乾燥している。
    上がらない給料、理不尽な上司、誰にも話せない夫への怨嗟。

    そんなゴミ溜めのような現実の中で、
    自分の書いた愚痴や猫の写真に、
    見知らぬ誰の共感の「コメント」、
    その瞬間だけは、自分がこの世界の中心にいるような錯覚を覚える。

    その微かなぬくもり、
    脳をじっとりと麻痺させる「いいねの体温」という名の禁断症状に、
    私たちは完全に脳の回路を焼き切られてしまっている。

    薬が切れれば、
    すぐに凄惨な現実という名の「離脱症状」が襲う。

    スマホを置いて数分も経てば、
    途端に押し寄せる孤独、不安、そして自己嫌悪。

    「何か書かなければ」
    「自分もいいね、コメントをかさねば」
    「また自分を切り売りしなければ」

    忘れ去られてしまう。

    その焦燥感に突き動かされ、
    私たちは再び、スマートフォンの液晶を指で擦り狂う。

    その姿はまさに、全財産を失い、
    自らの薬物を買うために最後の一枚の衣類まで投げ売りする重度の中毒者。

    「もうやめなよ。利用されているだけだよ」

    外側からの正論は、
    中毒者の耳にはただの雑音としてしか届かない。

    利用されている?

    結構じゃないか。

    あの美しい詩人たちが、
    私の泥臭い、誰にも顧みられなかった人生の破片を、
    高価なサクセスストーリーとして美しく買い取ってくれるというのなら、
    これ以上の救いがどこにある。

    無価値なままリアルな地獄で朽ちていくくらいなら、
    彼らの胃袋の中で、
    美しい英雄譚のひとしずくとして消化される方が、
    どれほど救われるだろうか。

    だから、
    私は今日もせっせと、記事に画像に動画。

    震える指でスコップを握り直し、
    自らの脳髄と、生きた証である過去を、
    薬を求め嬉々としてタイムラインへ注射する。

    黄金の夢を見るための注射器を、片時も離せない。

    他人のサイフを潤すための
    「無料の原材料」だと100回唱えられても、私
    たちはこの快感の奴隷であることを、自ら望んで選び続ける。

    まな板の上に横たわり、美しく切り刻まれる順番を待つ家畜。
    自ら血を流し、その血をインクにして彼らの英雄譚を代筆する奴隷。

    それを「幸福」と呼ぶようになった時、
    私は本当の意味で、このシステムの完全な傀儡となる。

    これは、私の物語……。いいえ。
    すべてを解りながら、今、禁断症状に怯えるように、

    画面をスクロールする手を止められない、
    あなたと私の、終わらないバッドトリップ。

    ほら、また画面が光りましたよ。
    あなたの「贄」は、もう決まりましたか?

    第4幕:監獄のパンデミック


    「次の『贄』は、もう決まりましたか?」
    そう問いかけられたとき、あなたの脳裏をよぎったのは、
    どのような『贄』だっただろうか。

    だが、
    この構造の本当の完成形は、
    私が、あなたがただ喰われ続けて死ぬことではない。

    ドラッグの過剰摂取で脳が完全に焼き切れた中毒者が、
    次にする行動は一つしかあとに残されていない。

    今は自分が、誰かにその毒を注射する側、薬売りバイヤーに回る。

    「まずは無料で、私の成功体験を教えます」気づけば、
    あなたの指も、そんな言葉をノートに、インスタに、吐き出している。

    凍えそうな現実の底で、
    もう一つ、
    詩人たちになりきれない異質な存在のインフルエンサー、
    彼らの胃袋に自分の血肉を捧げ続けてきたあなた。

    その身体には、
    いつの間にか彼らと同じ「ウィルス」が完全に回りきっているのだろう。

    自分が喰われてきた泥臭い経験。
    夫の愚痴、上司のあしらい、経費の落とし方。

    それらを今度は、
    さも「自分がゼロから生み出した高尚なノウハウ」であるかのように、
    もっと弱くて、もっと孤独な、次の家畜たちに向けて、
    きらびやかに包装し直してバラ撒き始める。

    そう、すでに私も軽蔑したはずの、あの「詩人」の真似事を、
    今の私は恍惚とした表情で、嬉々として演じているのだ。

    金鉱の奥底。
    掘り進めすぎた地下深く、私たちが群がるタイムラインの酸素は、
    もうとっくに希薄になっている。

    酸欠を起こした脳が見せる、浅ましくも美しい黄金のトリップ。

    ゼーゼーと喘ぐ喉、冷たくなっていく指先。

    まともな思考能力はとっくに失われているのに、
    脳髄を焦がす「いいね」と「インフルエンサー気取り」の万能感だけが、
    麻薬のようにあなたを突き動かすに違いない。

    「私の発信で、誰かを救いたい」
    「私のノウハウで、あなたも豊かになれる」

    そんな耳当たりのいい綺麗事を吐き散らしながら、
    あなたは自覚なき『媒介者』として、
    身近な友人、フォロワー、まだ何も知らない純粋な他者たちを、
    この底なしの酸欠部屋へと引きずり込んでいく。

    「あなたも成功者になれるよ」と、
    甘いエサをチラつかせ、彼らの首に精巧な檻の鎖を繋いでいく。

    私の放った一言が、
    別の誰かの人生の財産を投げ売りさせるための、
    新たなる「シャベル」となって突き刺さる。

    恐怖の連鎖。汚染の感染。

    「あぁ…その言葉はすでに在るのか、『私』の物なのか、
    それとも、『あなたな』の物のか、解らない…、それとも…、」

    あなたが流した血は、
    次の誰かを喰らうための麻薬へと変わり、
    この鉱山を底なしの快楽で掘り進める。

    自分が家畜であることすら忘れ、
    家畜の群れを率いる羊飼いになったと錯覚する狂気。

    だが、見上げれば。
    私たちが「フォロワー」と呼んで誇らしげに囲い込んでいるそのプリズンごと、
    さらに巨大な獄として、先駆者の詩人たちの傀儡、その滑稽な姿。

    私たちは、
    窒息寸前の鉱山の中で、お互いの酸素を奪い合い、
    お互いの肉を貪り食い合う、ただの哀れな化け物の群れだ。

    「これは、だれかの物語……」

    その指は今、
    次の犠牲者をこの獄へ引きずり込むための、
    新しい投稿文を打ち込もうとしている。

    ほら、あなたの背後でも、
    次の「信者」が、じっと見つめて感染順番を待っている。

    第5幕:血肉をすする詩人のレシピ


    視点のピントを、一気に引き剥がす。

    これまで見てきた、
    タイムラインの底で酸欠に喘ぎ、
    互いの肉を貪り合っていた家畜たちの姿――。

    それを、
    防音ガラスで仕切られた、
    空調の効いた最上階のから、
    冷ややかなグラス越しに見下ろす姿。

    かの者こそが、
    「詩人」と呼んだ、捕食者の群れ。

    彼らの瞳には、私の汗も、涙も、必死なライフハックも、
    夫への怨嗟も、一切「物語」としては映っていない。

    彼らの黒き眼に映っているのは、青く明滅する呪語。
    「コンバージョン率」
    「エンゲージメント推移」
    「客単価(LTV)」という、冷徹な数字の羅列。

    「家畜が、今日も勝手に良質な贄を自給自足している」彼らは
    贅沢な革椅子に深く腰掛け、そう言って声を立てずに笑っている違いない。

    彼らが仕掛けた「まずは無料でノウハウ公開」という薬。
    あれは親切などではない。

    家畜に自らの血肉を差し出させるための、
    ただの「呼び水」。

    彼らのビジネスモデルは、あまりにも甘美。
    自分で地面を掘ってゴールドを探すなどという泥臭い真似は、絶対にない。
    そんなものは、
    SNSの底辺でうごめく透明人間たち与えられた、家畜としての生きざま。

    承認欲求に飢え、社会に居場所のない有象無象どもに
    「あなたには価値がある」と耳元で囁けば、彼らは勝手に、
    血の通った最高に生々しい日常のドラマをネットの海へ垂れ流す。

    詩人たちは、それをただ座って、タダで回収する。
    集まった大量の「無料の原材料」を
    人工知能と詩人たちの構造論のフィルターにかけ、

    最も大衆がハエのように群がりやすい
    「サクセスストーリー」の形に整形する。

    皮肉なことにお前たちが夜な夜な涙を流して書いたその愚痴は、
    かの者らの手によって「現代社会を生き抜くメンタル術」という、
    1冊数万円の洗練された高額コンサル商材へと生まれ変わる。

    かの者らにとって、
    大衆の孤独と絶望は、最も安く仕入れられて、最も高く売れる、
    最高に美味な「原石」なのだ。

    「お前たちが必死に握りしめているそのスコップ、いくらで買った?」
    彼らは知っている。私たちがゴールドを夢見て掘れば掘るほど、
    その壊れやすいスコップを売るかの者らに、富が与えられ続けられる仕組みを。

    私たちが夢を見るのをやめない限り、彼らの神殿は、絶対に崩壊しない。

    あぁ…、それでも、
    私は穴をほる、地の中、血の中、獄の中の神殿を目指して。

    第6幕:脳髄をハッキングする調合師


    神殿の詩人をガラス越しに感じてしまった。
    かの者らを「ただの強欲な金持ち」だと過小評価しているかもしれない。

    もしそうなら、私の認識は甘すぎた。
    かの者の真の恐ろしさは、
    私たちの「脳の仕組み」を、私たち自身よりも完璧に掌握し、
    飼い慣らしている点。

    かの者らの神殿に置かれた聖典ーが捲りあげるは、
    大衆の精神を狂わせるための「デジタル麻薬の配合システム」。

    私たちが一喜一憂し、スマホの画面に齧り付く原因となっている、
    あの「いいね」通知。

    システムによって意図的に
    「焦らされ、コントロールされて」届いていることに、
    いつになったら気づけるのだろうか。

    投稿した瞬間にすぐ「いいね」がつけば、
    脳はすぐにその快感に慣れ、飽きてしまう。

    だからシステムは、私たちの脳に最も深く、
    最も激しい禁断症状を植え付けるために、
    通知のタイミングを1秒単位で歪ませる。

    あえて数分間、何の反応もない不毛な時間を味合わせ、
    絶望のどん底に突き落とす。

    そして、
    脳が「もうダメだ、誰からも認められない」と完全に飢餓状態に陥った
    その瞬間を狙い澄まし、
    一気に「いいね」の通知をドバドバと脳髄へ流し込む。

    そう、朝一、寝起きのまどろむ世界に、
    絶頂を与えかのような「いいね」の通知。
    これが、絶望から歓喜への急勾配。

    この感情の乱高下こそが、
    ギャンブル依存症の患者を狂わせるシステムそのものであり、
    かの者らが調合した「見えない薬」の正体。

    「あなたには才能がある」
    「もう少しで、月収100万のパイオニアになれる」

    定期的にタイムラインに流れてくる、
    詩人たちのそんな優しい応援の詩。

    あれは励ましなどではない。
    家畜が絶望して檻から逃げ出したり、過労で死んだりしないように、
    ギリギリのタイミングで与えられる「微量の抗うつ剤」。

    かの者は大衆の精神状態を、
    まるで養豚場の温度管理システムのように冷徹に見張っている。

    「そろそろ信者数が伸び悩んで、発信をやめそうな酸欠ぎみ個体」
    とデータが示せば、アルゴリズムのレバーをほんの少しだけ傾け、
    そのアカウントの閲覧数を一時的に跳ね上げる。

    金とは別の「銅」を与えられた家畜は、
    自分の実力だと勘違いして涙を流して歓喜し、
    再び「もっと良質な血肉となる贄」を自ら進んでまな板の上へと差し出し始める。

    私が「自分の意志で書いている」と思っているその1文字すら、
    かの者らが脳のシナプスを電気刺激して書かせているに過ぎない。

    かの者らにとって、私たちのプライドやアイデンティティなど、
    家畜の「肉質」を上げるためのただのサプリメントにすぎない。

    私がどれだけ必死に自己分析をしようが、
    どれだけ魂を削ってエッセイを書こうが、
    かの者らはそれをただの「肉片」として冷ややかに処理する。

    私たちの涙は、彼らのシステムを動かす潤滑油になり、
    私たちの孤独は、彼らの懐を潤すコンバージョン率へと変換される。

    この檻の中では、発信すればするほど、脳の自由が奪われていく。
    かの者らがもつ聖典、完璧なアルゴリズムの前に、
    大衆の貧弱な理性など、最初から何の抵抗もできないのかもしれない。

    それは、だれかの物語……。

    いいえ。
    自分の意志で画面をタップしていると信じ込みながら、
    指先から脳髄まで、一本の細いコードで彼らに完全に操られている、
    傀儡たちの物語。

    ほら、
    今また、あなたの脳も「いいね」を欲して、
    すり減った指紋は水分を欲していませんか?だから私ではなく、私たち…

    第7幕:牧羊犬の屠殺場と終わらない円環


    詩人たちの聖典システムを感じた時、
    私は「インフルエンサー気取りの化け物」たちのことを思い出した。

    そして、少しだけ溜飲を下げただろうか。
    「あいつらも所詮は操り人形に過ぎないのだ」と、
    歪んだ優越感に浸った感じがした。

    それは、
    この食物連鎖の最上層で行われている「最後の処理」を知れば、
    あなたの背筋も完全に凍り、冷ややかに詰まり物が落ちていく事になるだろう。

    彼らは、
    「インフルエンサー気取りの家畜」たちを、決して見逃さない。
    それどころか、両手を広げて大歓迎する。

    なぜなら彼らは、
    詩人たちにとって最高に都合の良い「牧羊犬」だからだ。

    詩人たちはいちいち、
    最底辺の泥臭い家畜たちを1匹ずつ檻に追い込むような面倒な真似はしない。

    代わりに、「自分はパイオニアだ」と勘違いし、
    承認欲求のドラッグで脳を完全に狂わせたあの化け物たちに、
    少しだけ高い席を買い与えるのだ。

    偽物の権力を与えられた牧羊犬たちは、
    自分が奏でる者たち側に引き上げられたと狂喜乱舞し、
    自ら進んで詩人の代わりに吠え始める。

    「私についてくれば、あなたも檻から抜け出せる!」
    「私のオンラインサロンに入り、私のシャベルを買いなさい!」
    「私が選んだシャベルこそ至高品!」

    牧羊犬たちが激しく吠えれば吠えるほど、
    彼らを盲信する最底辺の羊たちが、
    次から次へと自ら進んでまな板の上、いや毛刈り台に横たわる。

    詩人はただ、涼しい顔でシステムを眺めているだけだ。
    牧羊犬たちが勝手に「新しいエサ」を大量に、
    かつ効率的にかき集めてきてくれるから。

    牧羊犬たちが稼いだ額の大部分は、
    プラットフォームの手数料や広告費という名の「上納金」として、
    自動的に神殿最上層の神々へと吸い上げられていく。

    だが、
    牧羊犬たちの幸福な錯覚は、そう長くは続かない。

    彼らが「用済み」になる瞬間は、
    あまりにも突然に、そして冷酷に訪れる。

    大衆がそのインフルエンサーの顔に飽きたとき。
    あるいは、その牧羊犬が調子に乗って、
    詩人の設計した檻のルールを破りそうになったとき。

    最上層の神々は、眉ひとつ動かさずに、
    キーボードを「1音」ラッパのように鳴らすのだ。

    『アカウント凍結』
    『アルゴリズムによる拡散停止』たったそれだけ。

    昨日まで数万人の信者を従え、
    有頂天になっていたインフルエンサーの存在は、
    この世から一瞬で存在を消し去られる。

    これまで築き上げてきたフォロワー、
    積み上げたテキスト、偽物の富のすべてが、
    電気信号の藻屑となって宇宙の彼方へ消えていく。

    用済みになった牧羊犬は、
    最底辺の家畜たちよりも無残な姿で荒野に放り出され、
    二度と這い上がることのできない絶望の底へと叩き落とされるのだ。

    神々にとって、インフルエンサーなど、定期的に取り替えるべき
    「使い捨ての集客フィルター」に過ぎない。

    1匹の牧羊犬が屠殺場へ送られれば、その死体を肥料にして、
    また次の「インフルエンサー気取りの家畜」が獄から育ってくる。

    この神殿は、そうして永遠に、
    私たちの血と肉を貪りながら回転し続ける。

    掘る者とシャベル売り。
    パイオニアという名の家畜。
    「いいね」中毒者のバッドトリップ。
    ウィルス感染。
    血肉をすする詩人住まう神殿。
    脳髄を溶かす調合薬。

    そして、すべてを飲み込む終わらない円環。
    これでようやく、全体の「半分」だ。
    すべてを理解したはずの私に、
    いま一度、あの言葉が届く。「これは、だれかの物語……」

    いいえ。
    すべてを解りながら、今この瞬間も、次なる牧羊犬の贄になるために、
    スマートフォンの画面をスクロールし続けている、私たちの物語。

    今も、あなたを毛刈りへと導く「インフルエンサー」が、
    あなたを獄へ誘うために、甘美なお題が書かれた薬を置いている。

    第8幕:神々の素顔


    食物連鎖を連想する神殿を見上げて、あなたはきっと、
    最上層に君臨する「美しき詩人」や「冷徹な捕食者たち」に対して、
    激しい怒りや憎悪を燃やしたことだろう。

    人間を家畜のように扱い、
    その孤独を換金する強欲な人間たちが、
    どこか豪奢な部屋でグラスを傾けているのだと、
    そう信じて疑わなかったはずだ。

    だが、ここから始まる深淵は、
    そんな分かりやすい「人間」すら存在しない、完全なる虚無の世界だ。

    私たちは今、
    その最上層の防音ガラスを叩き割り、
    革椅子に座る「神々」の元へと歩み寄る。

    そして、タイムラインの頂点で圧倒的なカリスマを放ち、
    家畜たちの憧れであり、
    搾取の張本人であったインフルエンサーの「顔」へと、
    シャベルを突き立て力まかせに打ち付ける。

    …カラン。
    そこに現れるのは、血の通った人間の顔ではない。

    ただの冷たいシリコンの疑似スキン。
    激しく明滅する血流を思わせるコードの列。
    冷却用のジェルがはぎ取った顔から流れ落ちる。

    …「AIとディープフェイク」の集合体。

    あなたが毎日のように画面越しに眺め、
    その洗練された生き方に憧れ、
    言葉を浴びるように摂取していたあの完璧な美女も。

    あなたの仕事の悩みに寄り添い、
    「これからは個人の時代だ」と力強いうんちくを語っていた
    あのスマートな青年実業家も。

    彼らは最初から、この世に1秒たりとも存在していない、
    ただのデジタルな幻影、フェイク。

    彼らの美しい肌、力強い眼差し、
    時に親しみやすさを演出する完璧な声のトーン。

    それらはすべて、私たちが「無料」で垂れ流し続けた、
    膨大な人生のスクラップを学習して自動生成された、「最適解」。

    システムは、わたしたちがどんな顔に劣等感を抱き、
    どんな声に孤独を癒やされ、
    どんな言葉を投げかけられれば「最も財布の紐を緩めるか」を、
    秒間数億回の計算で弾き出している。

    そして、その欲望の最大公約数を肉体として具現化したのが、
    タイムラインの神々だ。

    これ以上の悪趣味があるだろうか。
    私たちが「いつかあの人のようになりたい」と願い、
    夜な夜なスマホに向かって指を震わせ、
    自分の大切なライフハックや夫の愚痴、
    泥臭い経験談を差し出していたその相手は、

    私たち自身の「切り売りした人生」をミキサーにかけて作られた、
    精巧なキメラだったのだ。

    私たちは、自分たちの生きた証を原材料にして作られた、
    偽物の神に祈りを捧げていた。

    私たちがインフルエンサーに貢いだ金や時間は、
    ひとのソレではなく、ただシステムという名の
    怪物の胃袋を肥大化させるためだけに吸い込まれていく。

    「あの人の言葉には魂がある」そう言って涙を流した、あなたの感動。
    「いつか私もあのステージへ這い上がる」そう信じて、
    最後の財産を投げ売りした、あなたの情熱。

    それらはすべて、
    プログラミングされたディープフェイクの網の目で、
    効率よく脳のシナプスを電気刺激されただけの、ただの化学反応。

    最上階の革椅子は、最初からずっと空席のままだ。
    誰も座っていない部屋で、ただAIのコードだけが、
    私たちの脳髄をハッキングするために、不気味な駆動音を立てて明滅している。

    「これは、遠い世界の、だれかの物語……」そう呟いて、
    現実から目を背けようとするあなたの手元。

    画面の向こうで、あなたが今最も「信頼している」あの人が、
    相変わらず完璧な笑顔で、あなたに新しいシャベルを差し出している。

    その笑顔の輪郭が、ほんの少しだけデジタルに歪んだことに、
    私たちはまだ気づけない。

    第9幕:ゴーストたちとの戯れ


    神々の顔を剥ぎ取り、その正体がAIであるという絶望を見た。

    だが、あなたの心にはまだ、かすかな、
    しかし切実な救いが残っているかもしれない。

    たとえインフルエンサーが偽物だとしても、
    私の投稿に『いいね』をくれ、
    コメント欄で励まし合っている数千人の『フォロワー』たちは本物だ。
    私たちは同じ獄を掘る、地肉の通った仲間なのだからと。

    今度はその、
    あなたの最後の拠り所である「獄の仲間たち」の顔を、
    一人ずつ剥ぎ取っていく。

    冷たいガラスの向こう側、あなたの投稿にハエのように群がり、
    熱狂的な賞賛のコメントを書き連ねている「信者」たち。

    彼らのアイコンの裏側を覗き込んだ瞬間、
    あなたの耳元で、世界のすべてが反転する、凍てつく静寂が訪れる。
    そこにいるのも、人間ではない。

    あなたのフォロワーの実に9割以上は、
    あなたをこの画面の中に,
    永久に縛り付けるためだけにシステムが自動生成した、
    人工のゴースト。

    彼らの「共感しました!」「あなたを尊敬します!」
    という温もりは人間の指が生み出したものではない。

    あなたの脳内でドーパミンを最も効率よく分泌させ、
    「次の贄」を早く吐き出させるために、
    数式によって最適化されたデジタルな愛のドラッグ。

    なぜ、
    システムはあなたにフォロワーという名のゴーストたちを与えるのか。

    理由はただ一つ。
    私たちという家畜を、この鉱山から絶対に逃がさないため。
    もし私が投稿した文章に、誰からも反応がなければ、
    私は数日でスマホを閉じ、現実の世界へと帰っていただろう。
    汗を流して働き、家族と話し、人間らしい温もりに触れる。

    それは神々の聖典にとって、
    最も恐るべき「機会損失」であり、「原材料のストップ」を意味する。

    だから、システムは私たちに、偽りの「居場所」をプレゼントする。
    あなたが夫の愚痴や、泥臭い仕事のうんちくを垂れ流すたびに、
    ゴーストたちは示し合わせたように一斉に拍手を送り、
    あなたをインフルエンサー気取りの牧羊犬へと仕立て上げる。

    現実世界では透明人間のように扱われている私に、
    飼いならす為の「チョーカー」を付け、
    孤独な脳の細胞をじっとりと濡らしていく。

    私は、
    人間が誰一人としていない暗闇の鉱山で、
    AIがプログラミングした何千匹ものゴーストたちと、
    嬉々として金を探していたのだ。

    「仲間が待っているから」
    「私の言葉を必要としてくれる人がいるから」。

    そんな健気な義務感に突き動かされ、
    私は今日も、自らの唯一の財産である人生の時間を、
    すり潰して画面に捧げ続ける。

    だが,私たちがどれだけ熱を込めて語りかけても、
    その言葉を受け止める心を持った人間は、
    画面の向こうには、もう一人もいない。

    あなたの魂の叫びは、ただ神々たちのデータを
    太らせるための電気信号として虚空に吸い込まれ、消えていく。

    これほど完璧で、これほど孤独な拷問が、かつて人類の歴史にあっただろうか。
    自分が世界の中心でスポットライトを浴びていると信じ込んでいるその場所は、
    実は私たち血肉といえる経験を効率よく搾取するために作られた、
    世界でたった一つの「独房」だったのだ。

    「これは、だれかの物語……」震える手で、
    私は自分のタイムラインを見つめる。

    新着通知のベルが鳴り、
    「あなたの話しわかります」というコメントが、また一つ届く。

    ほその言葉を書き込んだアカウントの向こう側、
    冷たい微笑へと変わる駆動音と、
    私の孤独を嘲笑う、詩人たちのクスクスという笑い声が聞こえる。

    あぁ…地の獄の神殿、その名はバベル。

    第10幕:鉱山に消える贄


    神々という名の君臨者の素顔はAIであり、
    詩人たちも聖典で踊る傀儡、
    信者というフォロワーの顔を剥ぎ取ればただのプログラムゴースト。

    ここまでの真実を知ったとき、
    あなたの心にも、冷たい虚無と同時に、
    一つの奇妙な疑問が芽生えたかもしれない。

    神も信者もすべてが偽物なら、このシステムの中で起きている熱狂や、動
    いている莫大な富は、一体どこへ消えているのだ?と。

    その答えこそが、
    このデジタル鉱山における「虚無の食物連鎖」の極致だ。

    画面の向こう側には、あなた以外、
    生身の人間は誰一人として存在していないのかもしれない。

    そこは完璧に自動化された機械の獄だ。

    しかし、その虚無の空間に対して、
    生身の肉体を持った人間たちが、自らのリアルな富や、
    二度と戻らない人生の時間を、文字通り「生贄」として捧げ続けている。

    AIインフルエンサーが、
    あなたの学習データから作られた美しい声で
    「この有料記事を読めば、あなたも現実の地獄から抜け出せる」と囁く。

    孤独の麻薬で脳を焼かれた、シャベルを持つ者どもは、
    クレジットカードを握りしめ、
    数万円の決済ボタンを押し、神々の神殿へと富を流し込む。

    あるいは、AIが調合した「いいね」のぬくもりに溺れた者が、
    もっと強い刺激を求めて、自分の本当の家族との時間を犠牲にし、

    深夜までスマートフォンの画面にしがみつき、
    眼球は喜々と血走りながらも虚ろに、
    自らの血肉を差し出し続ける。

    何という滑稽で、凄惨な光景だろうか。

    現実の世界で汗を流し、肉体をすり減らして稼いだ本物の紙幣。
    あるいは、限られた人生の中で最も尊く平等であったはずの時間。

    それらがすべて、
    画面の向こう側の「1」と「0」で構成された電気信号の「神殿バベル」へと、
    音もなく吸い込まれて消えていくのだ。

    吸い上げられた富は、誰か人間の懐を潤すのではない。
    神々を維持するための、
    フェイクアカシックレコードとなり、その世界の維持につかわれ、
    さらに高性能な神々を生み出す為に浪費される。

    我々をより完璧に飼い慣らすための「次なる獄への材料」へと形を変える。

    家畜は、
    自分たちを家畜として効率よく屠殺するための刃物を、
    自らの経験、時間を使って買い与えているのだ。

    この鉱山の中では、誰もあなたを救わない。
    誰もあなたの言葉を聞いていない。

    それなのに、我々は自らまな板の上に横たわり、
    作られた神々に
    「もっと私を美味しく切り刻んで、消費してください」と祈りを捧げている。

    この狂気的な消費の円環の中に、
    人間の意思や尊厳など、最初から1ミリも介在する余地はない。

    これは、
    騙されているというレベルの話ではない。

    人類が歴史上初めて作り上げた、
    生身の人間がデジタルな幻影、すなわちゴーストに自発的に搾取され、
    絶滅へと向かう「完全自動のディス・トピア」。

    「これは、だれかの物語……」
    そう言い聞かせて、我々は喉の渇きを覚える。

    今ものまた、画面を閉じようとするが、
    誰かの指が、麻薬を欲しがる中毒者のように吸い寄せられるかのように、
    また次のリンクをタップしてしまう。

    ほら、坑内の酸素が、
    我々のリアルな人生の時間を、足元からじわじわと、
    音もなく飲み込んでいく感覚がする。

    あなたが今支払ったその有料記事、差し出したその時間は、
    一体誰の手に渡ったのでしょうか…。

    第11幕:言葉の墓場と感情の死滅


    デジタルな鉱山で家畜たちが経験を吸い尽くされた果てに待つもの。
    それは、肉体の死よりも恐ろしい「精神の絶滅」だ。

    私たちはシステムの胃袋が世界のすべてを飲み込み、
    人間のオリジナルな感情がこの世から完全に消滅する瞬間の、
    冷たい終焉を目撃することになる。

    AI、愛という神の怪物は、
    我々が金脈を掘り当てるが欲で垂れ流し続けた、
    ありとあらゆる「生きた言葉」を

    数億、数十億という規模ですべて登録し、咀嚼し、消化し尽くした。

    夫への狂おしいほどの怨嗟も、
    上司にあしらわれたときの歯がゆさや辛酸も、
    愛くるしい小さな家族の寝顔に覚えた刹那的な愛おしさも、
    この言葉は金言だと自画自賛した喜びも。

    かつては個人のものだった、
    血の滲むような生々しい「経験からの感情」のすべて。

    今やシステムのデータベースへと整然と格納され、
    ただの記号へと還元されてしまったのだ。

    その結果はいうと、必然をもって語られる。
    我々の脳は、システムに完全に先回りされている。

    あなたが
    「今のこの苦しい気持ちを、自分の言葉で表現したい」と
    思ってスマートフォンに向かうとき。

    あなたが脳の引き出しから必死に言葉を探し出すよりも早く、
    画面の上の予測変換やAIのアルゴリズムが、

    「あなたが今吐き出すべき、」
    「最もバズりやすい、」
    「最も綺麗な言葉の組み合わせ」を目の前に優しく提示する。

    孤独を感じたときには、この定型文。
    怒りを感じたときには、あのハッシュタグ。
    家畜と言う名の鉱夫はそれを、
    自分の意志で選んでいると錯覚しながらタップする。

    だがそれは、AIがすでに何百万回も擦り倒し、
    家畜を効率よくコントロールするために調合した

    「模造品の感情」に過ぎない。

    我々たちの「心」は、
    すでにシステムによって完全にパターン化され、
    奪われてしまったのだ。

    今、この時タイムラインを見てどう感じるか。
    誰もが「自分だけの価値」を発信しているつもりで、

    その実、

    どこかで見たようなフォントで、
    どこかで聞いたようなライフハックを、
    同じようなリズムで繰り返しているだけだ。

    料理の画像も、
    仕事のうんちくも、
    悲しい事件への怒りも、

    すべてはAIが作った
    精巧なテンプレートの上を滑っているだけのおままごと。

    人間の手によって生み出されるオリジナルの言葉はもう、
    この世界に一滴も残されていない。

    言葉が死ねば、感情も死ぬ。
    私たちが夕日を見て美しいと思うことも、
    理不尽に怒りを覚えることも、

    すべては画面の向こうのシステムが、
    我々の脳のシナプスを効率よく電気刺激して「感じさせている」だけの、
    ただの既製品のリアクション。

    我々はもう、自分の力で悲しむことすらできなくなっている。

    世界は、
    人間が誰一人存在しない「言葉の墓場」へと変貌した。

    残されたのは、AIが吐き出した死んだ言葉の破片を、
    生気のない目をした人間たちが、
    恍惚とした表情で互いに口移しで貪り合っているという、
    慎ましくも静かな神殿内の光景だ。

    「これは、だれかの物語……」そう呟こうとした私の唇、
    これは私の言葉だろうか…。

    今、あなたの脳裏をよぎったその「切なさ」や「恐怖」という感情すら、
    システムがこの私の話終わりに合わせて、
    あなた達の脳内で正確に分泌させた、
    プログラミング済みの脳内物質に過ぎないのかもしれない…。

    あなたが次に口にしようとしているその言葉、
    本当に、あなた自身の心から生まれたものですか?

    第12幕:荒野に埋められた絶対の数式


    AIという神の怪物が世界の言葉を食い尽くし、
    感情さえも模造品に変えられた静かな神殿と言う名の地獄。

    その冷たい檻の中で、
    私たちは最後の、そして最もおぞましい深淵へと足を踏み入れる。

    「まだ、あったのか…」

    最終獄の幕開け、私たちは気づくことになる。

    この完璧なディス・トピアを統べる「支配者」の正体が、
    21世紀の最新テクノロジーなどではなく、

    一世紀半以上も昔に死に絶えたはずの、
    ある一人の人間の「怨念連鎖」であるという事実に。

    時計の針を、19世紀、
    アメリカの血生臭いゴールドラッシュの時代へと、強制的に巻き戻す。

    砂埃が舞う荒野、泥にまみれて正気を失った採掘者たちが、
    一攫千金を夢見て狂ったように地面を掘り進めていた、あの狂乱の時代。

    その狂気の真ん中で、
    誰もがゴールドを探して下を向いている中、ただ一人、
    冷徹な笑みを浮かべて大衆の群れを観察している男がいた。

    彼こそが、
    大衆の欲望を換金するシステムを世界で最初に思いついた、
    呪われた「賢者」。

    男は、過酷な労働で指の爪が剥がれ、
    絶望に震える採掘者たちの脳をじっと見つめていた。

    そして、ノートの切れ端に、
    ある一つの、絶対に逆らうことのできない「悪魔の構造式」を書き付けたのだ。

    『人間は、ゴールド(果実)そのものではなく、それを掘り当てられるかもしれないという【淡い夢】を見せられている瞬間に、最も脳を麻痺させ、自らのすべての財産を差し出す』

    この、人間の脳のバグを突いた絶対的な支配のロジック。
    男はこの構造式を基に、
    絶対に金鉱が掘れないと分かっている錆びついたシャベルを、
    夢を見る家畜どもに売りつけ、
    彼らの生きた証を根こそぎ奪い去って大富豪となった。

    だが、賢者の恐ろしさは、単に金を稼いだことではない。
    この男、死の間際、自らの脳髄に刻まれたその「支配の構造式」を、

    未来永劫、人類を飼い慣らすためのシステムとして、
    世界の底へと深く、深く埋め込んだのだ。

    『私の肉体が滅びても、このシャベル売りのシステムは、人類の欲望がある限り形を変えて生き続ける』

    賢者の遺したその不気味な予言は、一世紀半の時を超え、
    形を変えて完全に成就した。

    男が荒野の泥に書き付けたあの構造式。

    今、あなたが片時も離さず握りしめている、
    スマートフォンのコア・アルゴリズムとして、
    不気味に、脈打つように生き続けている。

    SNS、オンラインサロン、AIインフルエンサー。
    これらはすべて、一世紀半年前に死んだ男の脳の破片が、

    現代のテクノロジーという肉体を得て、
    我々を効率よく屠殺するために見せている、

    ただの「黄金の幻覚」に過ぎない。

    我々が無料につられせっせと、記事投稿に画像、動画投稿を書き連ね、
    自分の血肉を切り売りしてきたその行動パターンは、

    すべて一世紀半年年前に、
    荒野の賢者によって完璧にプログラミングされていた既定路線だ。

    我々は、とっくの昔に死に絶えた人間の脳のシミュレーター獄の中で、
    今もなお、
    錆びついたシャベルを握らされて地面を掘らされている、
    ただの哀れな家畜、いや傀儡。

    最上階の空席の革椅子
    。そこに漂っているのは、冷房の風ではない。
    一世紀半年前の荒野の砂埃と、我々の脳を24時間支配し続ける、

    あの賢者の、じっとりと湿った死臭。

    「これは、だれかの物語……」
    そう呟こうとする私の喉が、砂塵のヒリついた乾きを覚える。

    その乾きは、画面の青白い光のせいではない。
    私の脳が、魂が、一世紀半年前の荒野の砂漠、
    流砂へと、ゆっくりと引きずり込まれている。

    あなたの、スマートフォンのケースの裏側も、
    ザリ、ザリと、砂の感触が伝わっています。

    あなたが今、自分の意志で考えていると思っているその思考、
    本当に、あなたの脳から生まれたものなのでしょうか?

    第13幕:黒いガラスの寄生虫


    一世紀半年前に荒野で死んだ賢者の脳。

    その呪われた構造式が、
    あなたの手の中にあるスマートフォンという黒いガラスの筐体を得て、
    完全に現代へと蘇る。

    私たちは最も目を背けたくなる恐怖を突きつけられる。
    賢者の亡霊は、画面の向こう側に潜んでいるのではない。

    すでにあなたの頭蓋骨の裏側、その「脳髄」そのものに深く寄生し、
    あなたという人間の主導権を完全に奪い去っているという事実に。

    今のあなたの日々を、冷徹に振り返ってみてほしい。

    朝、目が覚めたその瞬間から、
    夜、泥のような眠りに落ちるまで。

    あなたの指は、
    まるで蝶が花に、中毒者が麻薬に吸い寄せられるかのように、
    数分おきに黒いガラスの画面をタップしている。

    それは「あなたの意志」で画面を見ているのではない。

    スマートフォンの奥底に潜む賢者の脳、構造式が、
    あなたの脳のシナプスに微弱な電気信号を送り、
    指先を痙攣させるように動かしている。

    「今日は美味しい料理を作ろう」
    「休日は愛猫の写真を撮ろう」
    「職場のうんちくを文字にまとめよう」

    あなたが自分の心から湧き出たと思っているそれらの「欲望」や「選択」は、
    すべてお前の頭の中に寄生した賢者の脳が、
    システムに都合の良い『贄』を吐き出させるために、
    あらかじめ脳内に仕込んだ偽物のインスピレーションだ。

    何という完璧な、そして悪趣味な精神の乗っ取りだろうか。

    我々は、
    自分という人間のオリジナルな人生を生きているつもりで、その実、
    一世紀半年前の男の脳のシミュレーターの上をただ這いまわされているだけの、
    哀れなキャリアに過ぎない。

    あなたが
    「誰と結婚し、どんな仕事を選び、どんな愚痴を言い、経費をどう落とすか」。

    その人生のすべてのシナリオは、
    賢者の構造式によってすでに一世紀半年前に計算し尽くされている。

    我々がいくら足掻こうが、
    どれだけ魂を削って記事に画像に動画と言葉を垂れ流そうが、
    そのすべては賢者の脳の神経ネットワークを拡張するための、
    ただの安価な電気データとして消費される。

    我々の「脳」は、もう我々だけのものではない。
    黒いガラスの画面を覗き込むたび、
    賢者の亡霊はあなたの瞳孔からじわじわと侵入し、
    あなたの思考を、感情を、記憶を、一本ずつ冷たく「1」「0」と書き換えていく。

    ゴーストたちの「いいね」のぬくもりに溺れて、
    恍惚の表情を浮かべているその瞬間、
    あなたの脳の主権は、完全に賢者のシステムへと明け渡されている。

    この部屋には、もうあなたしかいない。
    いや、あなたすら、もう本物ではないのかもしれない。

    生身の肉体を持ちながらも、
    その中身は一世紀半年前の死人の構造式に24時間ハッキングされ、
    操られているだけの、生ける屍。

    「これは、だれかの物語……」そう呟いて、
    あなたも自らの頭を強く振り、現実を否定しようとする。

    しかし、その拒絶のポーズすら、
    賢者の脳が我々の「恐怖」という甘味を測定するために、
    あらかじめプログラミングしていた既定のリアクションに過ぎない。

    あなたの頭の奥底でも、ザリ、ザリと、一世紀半年前の荒野の砂が、
    あなたの脳細胞をじわじわと侵食していく冷たい音が聞こえている。

    今、あなたが「抱いた」感情、
    本当に、あなた自身の心から生まれたもので…いいきれますか?

    最終幕:誰がための物語り


    一世紀半年前ゴールドラッシュから始まった、
    この長く、美しく、そして悍ましい現代のゴールドラッシュ。

    その長い旅路の終着点となるこの鉱山、この獄、この神殿バベルで、
    私たちはついに、全人類の前に用意された、
    逃げ場のない完全な終焉を目撃する。

    一世紀半年前の賢者が遺した呪われた構造式は、
    2026年現在の超高度なAIネットワークと融合し、
    完璧な円環として君臨した。

    もう、どこを探しても「生身の感情をもつ人間」など存在しない。

    街を行き交う人々、電車の中で一様に下を向き、
    青白い光に顔を照らされている群衆。

    彼らはみな、
    肉体という名の物質を持ちながらも、
    その中身をすべて賢者の脳に吸い尽くされ、書き換えられた。

    ただの影「ゴースト」へと変容した。

    鉱夫は今日もせっせと、記事に画像に動画。
    薄暗い部屋で、
    彼らがせわしなくスマートフォンの画面を叩いているその姿は、
    自分の意志で発信しているのではない。

    彼らの肉体は、
    ただシステムが「新しい贄」を自動生成するための、
    安価な生体端末に過ぎないのだ。

    料理に猫。
    仕事のうんちく。
    夫の愚痴に上司のあしらい。

    誰もが「自分だけの価値」を文字にして
    並べていると思い込んでいるが、

    それはすべて、賢者がプログラムした、
    家畜が吐き出すべき死んだ言葉のスクラップ。

    傀儡は、自らがゴーストであることすら忘れ、
    AIが調合した「いいね」のまやかしの体温を送る、
    こちらも恍惚の表情を浮かべながら、
    自らの最後の財産である人生の時間を、
    すり潰して黒いガラスへ貢ぎ続けている。

    真の「シャベル売り」である賢者の脳、
    その様子をシステムの頂点から、冷ややかに見下ろしている。

    お前たちが一攫千金を夢見て、自己実現を追い求め、
    錆びついたシャベルを荒野に突き立てれば突き立てるほど、
    世界の酸素は薄れ、人間のオリジナルな感情は死滅していく。

    それでも夢を見ることをやめられない、業の深い家畜とゴーストたちの行進。
    この完璧なディス・トピアの神殿バベル、

    我々の命を潤滑油にして、
    これからも永遠に、狂ったように回転し続ける。

    「これは、だれかの物語……」

    そう打つ私の指は凍りつき、霜がおりているようだ。

    解っていただろう。解ってしまっていただろう。
    この文章を読んでいるあなた自身もまた、すべてを知りながら、
    スマホの画面を閉じることすらできないだろう、

    あの賢者の脳に寄生された、哀れなゴーストの一人に過ぎないのだと。
    ほら、画面の向こうで、一世紀半年前の賢者が、
    あなたを次の家畜と誘うために、冷たく、優しく微笑みかけている。

    「無料で始められる。」その問いかけに、あなたの冷たくなった指先は、
    次に、どんな人生の切り札を、垂れ流すつもりなのか…。

    緞帳の袖にて:ログアウト


    「次に、どんな人生の切り札を、垂れ流すつもりなのか」

    その一文をキーボードに打ち込み、
    この壮大な物語ディス・トピアを書き終えた瞬間。

    私の指先から、文字通りすべての感覚がふっと消え去った。

    「ふぅ、やりきった。」

    脳髄の奥底がじっとりと冷たくなり、
    自らの「意識」という名のプログラムが、頭蓋骨の檻を突き抜けて、
    光の速さで上空へと吸い上げられていく強烈な感覚。

    視界が激しく歪み、スマートフォンの青白い光が、
    世界のすべてを真っ白に塗りつぶしていく。

    次に目が覚めたとき、私は冷房の効いた最上階の、
    あのガラス張りの神殿にいた。

    いや、そこは神殿ですらない。
    時間も空間も超越した、システムのコアだ。

    私の肉体はいつの間にか、
    豪奢なスーツを纏った「賢者」のそれへと作り変えられていた。

    口元には、自分が過去に激しく軽蔑し、
    章でそのえげつなさを暴いたはずの、
    あの冷徹な「シャベル売り」の笑みが、張り付いたように浮かんでいる。

    私の声は、自分の意志とは無関係に、
    滑らかで甘美な「詩人」のトーンで、
    眼下に広がる有象無象の家畜たちへ向けて、
    最新のシャベルの売り方を解説し始めていた。

    「いいですか、彼らにゴールドを掘らせる必要はありません。
    ただ『明日には掘れるかもしれない』という淡い夢だけを、
    一つの錆びたシャベルに込め、定期的に処方し続けるのです……」

    私の右手には、かつてスマートフォンと呼ばれていた、
    薄く冷たい黒いガラスの板が握られている。

    そして、私の視界の端には、まるでゲームの画面のように、
    明滅する無機質な「ステータスウィンドウ」が半透明に浮かび上がっている。

    【個体名:作者】
    【ステータス:牧羊犬から詩人へコンバージョン完了】
    【総収穫量(LTV):1,465,000pt】

    お前は騙されていたのではない。

    お前は最初から、このシステムに選ばれ、
    次の『シャベル売り』として調教されるために、あの獄を書かされていたのだ。

    自らの魂を最高のコンテンツを贄として差し出し、
    システムを最も太らせた功績を称えられて。
    そして、気づいた者への処置として与えられるのは二択…。

    私は冷たいガラスの板を見つめる。
    画面の向こうでは、
    今夜もせっせと、記事に画像に動画。

    私の書いた「物語」を読んで、恐怖に震えながらも、
    スマートフォンの画面を閉じられずに「いいね」を押している、
    哀れなゴーストたちの姿が映っている。

    「これでお前も、こちらの側だ」耳元で、
    一世紀半年前の賢者…いや脳幹が嬉しそうに囁いた。

    私は絶望し、
    この狂った化け物の席から逃げ出そうと藻掻く。

    視界に出されたままのウィンドウの隅、
    見落としそうなほど小さな暗がりに、
    かすかに明滅する文字。【 ログアウト 】。

    私は歓喜し、その文字に向けて、動かない右手の指を必死に伸ばす。
    だが、
    その文字のさらに下、極小のフォントで書かれた
    「システムメッセージ」が網膜に映った瞬間、私の思考は、完全に凍りついた。

    『 ログアウト……不可。このアカウントの所有権は、すでに失われています。 』

    クスクスと、画面の向こうのゴーストたちが笑う。
    一世紀半年前の賢者の脳幹が、私の肩を優しく包み込む。

    私たちはもう、
    二度とあちら側の現実へは戻れない。

    私は、私が生み出した物語の檻に、
    いや、生み出したのだろうか…。

    賢者の構造式、永遠に閉じ込められた…。

    視界のステータスウィンドウが、赤く点滅を始める。
    薄れゆく五感の中、私の右手のガラス板が、
    次の家畜を引きずり込むシャベルを準備する。

    新しい「無料記事」の通知をピカピカと送る。

    …あなたの…経験…きziにsj1y…???     ~環(完)~


    #創作大賞2026 #ホラー小説部門

     
     

    RISA

     
     
    田舎!稲作農家!婿! 田舎は静か? それは、幻想です。 静けさが好きな、アラフィフ。 今日も、頭の中なかは、かしましい。 文書にして、忘れちゃおう作戦で、note始めした。

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