芋出し画像

郚屋ずゎキブリず私

あなたはゆっくりず動くゎキブリを芋たこずがあるか。


私ずゎキブリの銎れ初め

小孊生のずき、おそらく4幎生ずかだっただろうか、私はゎキブリず運呜的な出䌚いを果たした。
その頃の私は「ゎキブリ」ずいうものを芋たこずがなかった。もちろん名前は知っおいたし、みんなからの嫌われ者の虫ずいう知識はあったが、どんな倖芋なのかをほずんど知らなかった。

ずある日の倕方、私は廊䞋ず蚀うほどの長さではないが廊䞋ず呌ぶしかない堎所にいた。家の䞭のこずである。そこは電気が぀いおおらず暗かった。
壁偎にあったスむッチを抌しおパチッず電気を点ける。

「おかあさヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌん」

思わず叫んでしたった。
電気を点けるずそのすぐ近くの壁に黒く、長い觊角を持ったダツがいたのだ。私は䞀瞬で理解した。これが「ゎキブリ」だず。

その日から私はゎキブリのこずが倧嫌いになった。
䜕が嫌いなのかはよくわからないが、生理的に受け付けないずはこのこずだろう。たぶんあの觊角ず動きがどうも奜きにはなれないのだず思っおいる。

しかし、劙だ。なぜ私はゎキブリの姿を芋たこずがなかったのにも関わらず、黒いダツをゎキブリだず刀断できたのか。未だにこの謎は解決しおいない。人間のDNAかなにかにゎキブリの姿が刻たれおいるのだろうか。私にはそうずしか思えない。

共同生掻開始

お芋合い初日

時は経っお倧孊生になった。
そしお䞀人暮らしを始めた。匕っ越すずきに出た倧量の段ボヌル。すぐに捚おに行けばよかったのだが、資源ごみのごみ捚お堎が䜏んでいるアパヌトにはなく、埒歩5分ほどの所にある。めんどくさい。
朝から歩いお倧量の段ボヌルを捚おに行けるほど私は元気な若者ではない。そんなわけで3か月ほど経った頃に事件は起こった。

朝起きお、県鏡はかけずにがやけた芖界のたたトむレのドアを開けた。

スリッパの間に黒く䞞い穎が開いおいるように芋えた。なに、陥没かず思っお少し近づいた。
それは動いた。違うこい぀は穎じゃない、ダツだ。あたふたしおいる間にダツはトむレから逃げた。どこかのスキマなどに逃げられたら困るず思いゆっくり動いたが、殺虫剀を甚意しおいる隙に姿を芋倱っおしたった。

くっそヌ、どっか行ったなヌず思い䞀応探しおはみたが芋぀からなかった。探しおはみたずいっおも、䜕か物を動かしおゎキブリが出おきたらそれはそれで発狂するので、芋぀かっおほしくないず思いながら探しおいた。

結局その日はもう諊めた。もしかしたら倖に逃げたかもしれんし  ずいう䞀瞷の望みを胞に気にせず生掻するこずにした。

サプラむズデヌト

初めお顔合わせをした日から数日埌。
ズボンラックからズボンを取るず、あのずきのあい぀がズボンの圱から這い出おきた。サプラヌむズ。お前、そこにおったんかい。

びっくりするずいうよりも、はぁずため息が出た。
今日こそは仕留めなければ、ず思い、芋倱わないように気を付けながら殺虫剀を手に持぀。

なんずか薬剀は圓たっおいるのだがなかなか倒れおはくれない。
ゎキブリの生呜力の匷さを思い知る。しかし諊めるわけにはいかない。
根気匷く殺虫剀を振り撒き続ける。叩いお殺めるのはなんずなく拒吊感があっお私にはできない。殺虫剀の力を信じるのみ。

するず、぀いに倒れた。正確に蚀うず、壁を登ろうずしたずころで壁からひっくり返っお萜ちた。これはもうこちらの勝ちだず蚀っおよい。

だがここでひず぀問題が起こる。このひっくり返ったダツはどうやっお凊理すればよいのか。
掃陀機で吞うかず思ったが、ゎキブリが通った掃陀機を今埌䜿い続けるのはなんずなく気が匕けた。ずなるず拟っおごみ箱にポむするしかない。でも觊りたくはない。いかにしお觊らずに凊分するかをネットでも調べながら考える。あの、調べたずきにリアルゎキブリの写真が出おくるのが非垞に嫌です、本圓に。

そしお私は腹を決めた。
たずトむレットペヌパヌを切り取っおダツの近くに眮く。
そしおガムテヌプをダツに匕っ付けそのトむレットペヌパヌの䞊に眮く。
こうしお逃げないようにする。
そしたら䞭の透けない袋の䞭に入れる。
もちろん入れるずきはトむレットペヌパヌの端を持぀のでダツ自䜓には觊れずに枈む。こうしお長い戊いは終わりを告げた。

あずで知ったが、段ボヌルの攟眮はゎキブリの定䜏に繋がるらしい。教蚓教蚓。

倜のお誘い

そしおたたずある日のこず。
そろそろ寝るかヌ、ず思っおふず郚屋を芋回すず壁にダツの姿を発芋。

芋お芋ぬふりをしようかず思った、だっお私は早く寝たいのだ。寝かしおくれ、なんで寝る前にお前のこず退治せなあかんねん。
私ず䞀倜を共にしたかったんかもしれんけど、それやったら電気消しおから珟れればいいのに。

だるいわヌず思い぀぀退治に励んだ。今回もなかなか生呜力の匷い個䜓だったが、远いやっおいるうちに倖に逃げおくれたので凊理をせずに枈んだ。
次の日には倖でひっくり返っおた

䞀件萜着。

忍び寄る䞍穏な圱

前回からかなり時間が経った。
ミニミニ赀ちゃんゎキが珟れたこずはあったが、成長なさったゎキブリは党然目にしおいない。ゎキブリ察策も結構しおるしもう二床ず䌚うこずはないだろう、なければいいなず思っおいた。

バむトが終わり垰宅。い぀ものようにベッドフレヌムにもたれかかっおテレビを芋おいた。

巊斜め埌ろ、芖野の限界ギリギリのあたりに䜕か黒光りするものが芋える。
気のせいか、ず思う。

いや、気のせいではない。

振り返るずそこには、

ゆヌっくりず優雅に移動しおいるダツがいた。

あなたはこれたでの人生でゆっくり動くゎキブリを芋たこずがあるだろうか。倚くの人のむメヌゞでは、サササッず動いおは止たりたたに飛ぶのがゎキブリではないだろうか。

ベッドの䞋から堂々ず登堎するダツの心情を私は知りたかった。

さすがにこちらが身構えるず、あちらもゎキブリずしおの態床を思い出したようで、動きが俊敏になった。

今回も逃すわけにはいかないので右手に殺虫剀を持ち远いかけたわした。

しくった。

郚屋に電子ピアノを眮いおいるのだが、その䞋に隠れられおしたった。
電子ピアノの䞋のスキマに殺虫剀を集䞭噎射したが出おこない。電子ピアノを動かせばよかったのだが重くお動かせなかった。
ずいうのは蚀い蚳で、動かした瞬間にダツず察面するのが嫌すぎた。

仕方なく諊めるこずにした。今回もたた勝手に倖に逃げおくれるずいう䞀瞷の望みを胞に抱いお眠りに぀いた。

おかえりなさいたせご䞻人様

1週間ほど経っただろうか、結局ダツは出おこなかった。たあこの郚屋にいるずしおも目の前に出おこないなら別にいいかず思っおいた。

そしおある日のバむト垰り、疲れお垰宅。
私は䞀日の終わりには県鏡を掗うこずが日課になっおいる。䞀日の嫌なこずなど党お掗い流すずいうわけだ。

県鏡を倖した状態でふず郚屋の奥の方を芋た。

人間ずは䞍思議なものだ。

䞍自然に存圚する黒い圱。芖界はがやけおいるずいうのに、そこにダツの存圚を知芚したのだ。

私は県鏡をかけるのが怖かった。だっお芖界がクリアになるずいうこずは、ダツの姿がはっきりずこの目に映るずいうこずなのだから。

でも攟眮するなんおこずはできない。バむト終わりの疲れた䜓に鞭を打ち、ちゃんず凊分するこずに決めた。

県鏡をかけるずそこには背を床に぀けた状態のダツがいた。

やはり盎接は觊りたくないので玙の䞊に乗せ、ガムテヌプで固定し、バむバむした。

振り返ればダツがいる

぀い最近のこず。
授業が終わっお垰宅。

玄関で靎を脱いでちょっずしおからふず埌ろを振り返った。

「お邪魔したヌす」

たるでそんな声が聞こえるかのような軜い足取りで、おそらく倖から入っおきたダツがいた。

久しぶりすぎおこちらが驚くず、なぜかダツの方もちょっず驚いた面持ちでビクッずした。いやなんでお前が驚いおんねん。

今回もい぀ものごずく远いかけたわしたずころ、玄関から倖に逃げおくれた。別に入っおくるのはいいけど、どうせならちゃんず「入りたすよヌ」っお報告しおから入っおきおほしい。

おわりに

ゎキブリさんたちに蚀いたいこずがある。

私は分かっおいる、あなたたちに悪気はないこずを。人間にいたずらしようず思っお郚屋に出おきおいるわけではないのでしょう。

私だっお退治なんおしたくないんです。できるこずなら平和に共存しおいきたいんです。

だからお願いしたす。

もう二床ず目の前に珟れないでください

どうしおも郚屋に入りたいならアポを取っおから入っおきおください。

もしゎキブリさんたち偎からも人間に蚀いたいこずがあるならきちんず腹を割っお話し合いたしょう。

これができないなら毒入りスヌプ飲たせるぞ。

ずいうわけで、䜕卒よろしくお願いいたしたす。


いいなず思ったら応揎しよう