メインコンテンツへスキップ
見出し画像

夜更けのバス停で言われた「祈らせてください」

    これはもう30年以上前の話。
    当時よく利用していた阪急伊丹駅前で、市バスを待っていた時のこと。

    夜が遅いにも関わらず、結構たくさんの人がバスを待って列を作っていた。早く来ないかなーと首を長くして待っていると、静かに近づいてくる女性。気配を殺してすーっと私の顔の前に手のひらを近づけて、ひと言。

    「あのー。祈らせてください。」

    はぁ?

    なんじゃこいつ。ヤバい宗教?

    多分声には出さなかったと思う。ギリギリ踏みとどまったけど、MAXの不信感は、完全に顔に出てたはず。

    もちろん、全力で毅然と断った。

    「結構です。」

    「そうですか。」と立ち去ったけど、他のバス待ちの人たちをローラー作戦で総当たりしていった。当時はまだスマホも無かったので、その女性の行動をじーっと見ていた。何人もに断られ、見た目にはっきりわかるほど肩を落としていたが、何を思ったか、ふっとこちらを向いて、明らかに私に照準を合わせて近づいてきた。

    え?
    何?
    何なん?
    めっちゃ怖いんやけど?

    と思っていたら、先ほどの女性が目の前に立って、さっきよりキリっとした声で、再び

    「祈らせてください。」

    というので、

    「いや、結構です。」

    と断ると、急になよっとして、

    「おばちゃんね、あと一人祈らせてもらったら、今日のノルマ達成するの。だから祈らせてくれる?」


    何ですとー?
    祈りってノルマがあるん?
    どういうこと??

    人は、あまりに想定外のことを言われると、言葉を失ってしまうのだ。唖然として二の句が継げない私に、後ろに並んでいたおっちゃんが、

    「あんたな、人が嫌がることして、何が祈らせてください、や。そんな宗教誰も信じひんで。」

    お、おっちゃん、ナイス!

    私がおそらく心の底で思っていたであろうことを、ズバッと言ってくれて、その女性は立ち去って行った。

    あの後、ノルマ達成できたんかな?

    そんなこんなで、私は新興宗教が苦手です。

    あなたへのおすすめ