
穴の中の君に贈る
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穴の中の君に贈る
君が好きな人の元へ行ったということ。その後行方知れずになったということ。私はてっきり、ハッピーに暮らしているとばかり思っていた。
けど、違ったらしい。悪魔と契約した君は、好きな人を振り向かせる代わりに、願いが叶えば悪魔に魂を渡すということだったのだ。
君は青ざめた顔で、
「かくまってくれ」
と私にすがりついてきた。私はあわてて君を穴の中にかくまった。そして、思いつく限りの対策をした。呪文を唱えて、結界をはり、見つからないようにさり気なさを装った。
ある日、一人の老人が訪ねてきた。老人は言った。
「穴の中の君に贈る」
私がハッとして穴の中を見ると。もう君は居なかった。老人の姿ももうなかった。
その代わり、私は気がついてしまった。私が穴の中に閉じ込められたということを。
「どういうことだ?」
私が騒ぐと、小さな穴から光がさしこんだ。
「うわあ!」
その光に照らされて、私はみるみると小さくなり、小さな穴になった。
こうして悪魔が一つ消えた。
(410文字)
どうもありがとうございました。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』