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【創作大賞感想】愛する人と平和への祈り─「マァァァァァム!」感想文

    私は昔から感想文を避けて生きる人生を歩んでいました。
    理由は上手く作品の良さを伝えられないと思っていたから。
    つまり、この感想文は学生時代以来の感想文、ということでヒーフゥと深呼吸。

    今回ご紹介するのは、はそやmさまの『マァァァァァム!』。

    『マァァァァァム!』というタイトルを目にしたときの正直な感想は
    「コメディ作品かな?」。
    叫ぶようなタイトルのインパクトが強く、てっきりテンション高めのギャグか、あるいはパロディ寄りの物語かと想像してしまいました。

    あらすじには、こうあります。

    無意味な戦争が終わった後、世界は激変した。
    空飛ぶオチャカナ
    畑から脱走するオヤチャイ

    「マァァァァァム!」第1話あらすじより

    戦争で何もかもが変わってしまった世界が舞台。
    現実でも、戦争や停戦のニュースが流れるたび、もしかしたらこんな世界がおとずれるかもしれないという恐怖もあり。
    でもそこは、はそやm節炸裂。恐ろしい生き物ではありますが、ネーミングが「オチャカナ」「オヤチャイ」とチャーミングです。

    主人公は戦地から夫・アグが帰ってくるのを待つ、四人の息子の母親・ボン。
    このボンが本当に可愛いのです。
    腕っぷし、戦闘力を備えた大柄の女性ですが、その心は慈愛に満ちています。アグを心から愛しているのがとても伝わります。

    ボンの子供たちもとてもいい子たちです。
    長男のユキは心優しい、本が好きな長男(その優しさは4話に。私は泣きそうでした)。
    ゾウはちょっと乱暴なところもあるけれど、ちゃんと兄弟と両親を愛しています。
    サトとユタは下の子ボーイズらしく、可愛いです。
    途中から旅に加わる犬のペスも、むちゃくちゃ愛おしい。

    アグを探しに子供たちを一時的に兄の家に預け、野戦病院へと向かうボン。
    愛する人のためにボンは必死です。
    並の兵士ですら恐れるほどの頼もしさを持っているボン。
    でもその強さは、ただ「戦うため」のものではなく、「守るため」「待ち続けるため」の強さなのだと思います。

    戦前は男尊女卑だった世界。でも、戦争で女性もたくましくなっていく。
    戦火を生きる母たちの強さも伝わってきます。

    物語はボンと、ボンを囲む四人の息子たちが「ダド」を探す旅に出るところから始まりますが、本当にはそやmさまの観察眼の鋭さが光ります。
    登場人物の描き方がとても丁寧で、それぞれのキャラクターが生き生きとしていて、読むうちに自然と家族の一員になったような気持ちになりました。

    彼らのやりとりには、時に笑いがあって、時に涙があって。
    重たいテーマを扱っていながら、どこかユーモアが感じられるのは、はそやmさまの筆致のなせる技。
    笑えるシーンがあるからこそ、辛い現実がより強く胸に迫るし、優しさが沁みてきます。

    作品全体を通して、強く感じたテーマは「愛する人を信じる力」と「平和への祈り」です。
    愛する人を信じる──それは簡単なようでいて、実はとても難しい。
    現実がどんなに残酷でも、周囲にどんなに否定されても、それでも自分の中の光を見失わない強さ。
    それは、戦うことよりも、よっぽど難しいことかもしれません。
    ボンの姿を通して、私はそんなことを思いました。

    戦うことが当たり前になってしまった世界。
    家族が突然いなくなってしまう世界。
    でも、そんな中でも、愛し合うことはできるし、希望を持つこともできる──そんな希望の種が、この物語には確かに蒔かれているように思います。

    印象に残っているセリフがあります。

    アグは自分の気持ちを素直に言い続けてきた。世の中、意地や見栄を張ったりしないでアグみたいな人間ばかりだったら、世の中はこんなにならなかっただろう。

    「マァァァァァム!」最終話より抜粋

    探し続けた優しき夫・アグが「平和の象徴」として表現されているのが、私の個人的涙腺崩壊ポイントでした。
    この家族がどうなっていくのか、世界がどうなっていくのかは分かりません。
    ですが、きっとアグやボンみたいな人たちが一人でも増えれば、本当の「復興」は近いのだろうなと思いました。

    はそやmさま、執筆お疲れ様でした。そして素敵なお話をありがとうございました!

     
     
     
    小説執筆時:緒川、それ以外のエッセイなど:オガワ|創作大賞2024・2025中間選考通過のフッ軽系モノガタリスト|夫こと菩薩はがんサバイバー(白血病)|全裸文学・豚汁文学創設者|書くことは魂をさらけ出すこと|かわいいものがすき

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