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「やっとこの日がきた。」1.5か月待った初給料の日|ハードウェアおが

    はじめまして。おがといいます。
    仕事はハードウェアエンジニア一筋
    20年以上です。

    これまでの転職回数は、
    正直多い方だと思います。
    一度離れた会社に、もう一度戻った経験
    もあります。
    キャリアとしては、決して綺麗な一本道
    ではありません。

    この実際あった経験を下記に示します。

    第1章 ラスト出社日。そして新しい一歩へ


    前の会社を退職した日のことは、
    今でもはっきり覚えている。

    いつも通っていた駅。
    毎日乗っていた電車。
    何気なく歩いていた通勤路。

    毎日当たり前のように繰り返していた
    景色なのに、その日は少し違って見えた。

    「もうここを通ることはないんやな。」

    そう思うと、不思議と感慨深かった。

    特別なことをしていたわけじゃない。

    毎朝眠たい目をこすりながら駅へ向かい、
    電車に乗って、会社へ行く。

    そんな当たり前の日常が、
    その日をもって終わる。

    実際にその日を迎えるまで、
    自分がどんな気持ちになるのか
    想像もできなかった。

    会社に着くと、最後の仕事を一つ
    ひとつ片付けた。

    お客様対応。
    引き継ぎの最終確認。
    机の整理整頓。
    退職に必要な書類の記入。

    そして、お世話になった人たちへの挨拶。

    一人ひとりに声をかけていく。

    「ありがとうございました。」

    たった一言だけど、そこには
    色々な思いが詰まっていた。

    楽しかったこと。
    しんどかったこと。
    終電ギリギリまで残業した日。
    量産立ち上げでバタバタした日。

    色々な景色が頭の中をよぎった。

    本当なら、それで終わりだった。

    でも急遽、飲み会に誘ってもらった。
    「少しだけ参加します。」

    そう言って顔を出したはずが、
    気づけば4時間。

    同じ時間を過ごした仲間と笑いながら
    話をしていると、寂しさと感謝が入り
    混じった、何とも言えない気持ちになった。

    仕事の話もあれば、

    「新しい会社どうなん?」
    「また落ち着いたら飲もうや。」

    そんな何気ない会話もあった。

    そして最後に言ってもらった、
    「頑張ってや。」

    という一言。

    シンプルだけど、すごく嬉しかった。

    改めて思った。

    「この人たちと一緒に仕事を
    してきたんやな。」

    ありがとうという気持ちと、
    新しい場所に向かうワクワク。

    その両方があった。

    家に帰ると、奥さんに一言だけ伝えた。

    「今日で終わったよ。」

    すると返ってきたのは、

    「お疲れさま。」

    という、たった一言。

    でも、その一言で少し肩の力が抜けた。

    子どもたちはいつも通り。

    特別な反応をするわけでもなく、普段通りに過ごしている。

    でも、その何気ない日常が妙にありがたく感じた。

    転職って、自分だけの出来事じゃない。

    家族も一緒に、新しい生活に踏み出しているんだと思った。

    こうして、一つの区切りが終わった。

    そして、新しい一歩が始まった。

    ⸝

    第2章 転職して最初にぶつかった壁

    新しい会社に入ると、思っていた以上に
    「分からないこと」ばかりだった。

    まず最初にぶつかったのは、
    仕事以前の問題。

    パソコンのセットアップ。
    慣れないメールソフト。

    管理者権限がなく、必要なソフトも
    自分では入れられない。

    「あれ?これも申請?」
    「これも権限いるん?」

    そんなことの連続だった。

    転職あるあるとは分かっていた。

    でも実際にやってみると、地味にしんどい。

    一つ解決したと思ったら、
    また次の問題が出てくる。

    「あ、こういうことか。」

    そう思いながら、一つずつ対応していた。

    そして、もう一つ大変だったこと。

    それは、人の名前を覚えること。

    相手は、一人の新人を覚えればいい。

    でもこちらは、周りの全員を覚えない
    といけない。

    しかも名前だけじゃない。

    「この人は何を担当している人なのか。」

    「どんな時に相談すればいいのか。」

    そこまで理解しないと仕事が回らない。

    40代になって、また新人になる。

    正直、最初は少し戸惑った。
    新卒の頃なら、分からなくて当たり前。

    でも今は違う。

    経験があるからこそ、
    「こんなこと聞いていいんかな。」

    と考えてしまう。

    前職のやり方を押し付けていないかな。

    変にベテランぶって見えてないかな。

    逆に、何も分からない人と思われて
    いないかな。

    そんなことを考えてしまう。

    でも、転職を何度か経験してきて、
    一つだけ分かったことがある。

    それは、
    「分からないことを、分からないと
    言える人の方が強い。」

    ということ。

    知ったかぶりをして間違える方が、
    後で大きな問題になる。

    だから勇気を出して聞く。

    「すみません、これ教えてください。」

    その一言が、実は一番大事だった。

    それでも最初は孤独だった。

    周りはすでに関係性ができている。

    雑談もある。
    笑いもある。

    でも自分だけは、その文脈が分からない。

    「あれ、この人誰やったっけ。」
    「何の話をしてるんやろ。」

    そんなことを思いながら、何となく
    話の流れに乗る。

    転職した人なら、一度は経験したこと
    があると思う。

    でも不思議なもので、日を重ねるごとに
    少しずつ変わってくる。

    顔と名前が一致してくる。
    「おはようございます。」
    と向こうから声をかけてもらえる。

    仕事以外の話も少しずつできるようになる。

    そういう小さな変化が、自分が新しい
    環境に馴染み始めている証拠なんだと思う。

    転職のたびに感じる。
    最初の一か月は、本当に長い。

    でも、その一か月を越えると、
    少しずつ景色が変わり始める。

    だから今回も、自分に言い聞かせていた。

    「焦らんでいい。」
    「一歩ずつで大丈夫。」

    そう思いながら、毎日会社へ向かっていた。

    ⸝

    第3章 仕事は分からないことだらけ


    仕事が始まると、次は別の壁にぶつかった。

    それは、

    「どれが最新の図面か分からない。」
    ということだった。

    図面はある。
    むしろ、たくさんある。

    でも似たような図面が何種類も
    存在していて、どれが今の量産品に
    使われているものなのか分からない。

    改訂履歴もある。
    ファイルもある。

    でも、「これ、実際の現場で使ってるの?」
    という疑問が出てくる。

    図面上は最新版でも、現場では違うもの
    を使っているかもしれない。

    逆に、一見古く見える図面が、
    現場では正式版ということもある。

    だから図面を見れば見るほど迷う。
    じゃあ現物を見よう。

    そう思って実機を見る。

    でも今度は、
    「この現物って試作品?」
    「量産品?」
    「改造後?」
    と、新しい疑問が出てくる。

    図面を見て、現物を見て、また図面に戻る。

    そんなことを何度も繰り返した。

    正直、解がない問題を解いているような
    気分だった。

    でも、ここで焦ってはいけない。

    「たぶんこれやろ。」

    で進めてしまうと、後で大きな
    認識違いになる。

    だから今は、一つずつ確認する。
    一つずつ整理する。

    遠回りに見えるけど、それが一番
    近道なんだと思っている。

    言うなれば、
    自分の中のデータベースを作っている最中。

    そんな感覚だった。

    そして、その流れで始めたのが、
    実験室の整理整頓だった。

    計測機器がどこにあるのか分からない。

    ケーブルも混ざっている。
    「あれどこやったっけ?」

    を一日に何回も繰り返す。

    これはもったいない。

    そう思って、まずは全部出して
    分別することにした。

    使うもの。
    使わないもの。
    計測機器以外のもの。

    それを透明ケースに入れていく。
    最初は地味な作業だった。

    でも、やってみると効果は想像以上だった。
    探す時間が減る。
    探すストレスが減る。

    頭の中まで整理されていく感じがした。

    整理整頓って、単に綺麗にすること
    じゃない。
    未来の自分が困らないための仕組み作り。
    そして、一緒に働く人が困らないための
    環境作り。

    整理収納アドバイザーの勉強をしていた時は、まさか仕事で活きるとは思わなかった。

    でも今なら分かる。

    仕事ができる環境を作ることも、
    仕事の一部なんだと。

    そんなことを考えながら、今日も
    図面と向き合い、計測機器を整理し、
    一歩ずつ自分の中のデータベースを
    増やしている。

    第4章 それでも支えてくれた人たち


    転職して感じたのは、大変なことばかり
    じゃないということだった。

    分からないことが多くて、頭の中が
    いっぱいになっている時でも、
    周りを見れば手を差し伸べてくれる人
    がいた。

    ある日、通勤の話をしていた時だった。

    会社の最寄駅から会社まで、
    それなりに距離がある。

    歩けない距離ではない。

    でも毎日となると、時間もかかるし、
    夏は普通に暑い。

    そんな話をしていたら、職場の方が
    声をかけてくれた。

    「使ってない電動モビリティあるから、
    しばらく使う?」

    正直、かなり驚いた。

    転職してまだ間もない自分に、
    そんな風に声をかけてくれるとは
    思っていなかった。

    もちろん、ありがたく借りることにした。

    そして現物とご対面。
    最初の感想は、
    「思ってたより……汚れてるな。」
    いや、汚れているというレベルじゃない。

    ほぼ新品らしいけど、見た目は北斗の拳の
    世紀末で砂嵐にさらされ続けたような
    状態だった(笑)

    でも、貸してもらったものだからこそ、
    気持ちよく使いたい。

    そう思って、まずは30分かけて
    ゴシゴシ洗車した。

    細かいところまで汚れを落として、
    ピカピカになった時は、何だか自分の
    気持ちまでスッキリした。

    ……そして満足してしまって、
    充電するのを忘れていた。

    完全に「あるある」である。

    後日ようやく乗ってみると、
    坂道はなかなかパワーが出ない。

    逆に下り坂は思っていたよりスピード
    が出る。
    そしてブレーキをかけると、
    「キーーーッ!」

    となかなか元気な音が鳴る。

    その瞬間、

    「これ、出川さんの
    『充電させてもらえませんか?』
    みたいやな。」

    と、一人で少し笑ってしまった。

    でも、こういう何気ない出来事が、
    転職直後の自分にはすごく嬉しかった。

    「ここにいてもいいんや。」

    そんな安心感を少しずつ積み重ねて
    くれる出来事だった。

    さらに、六月から新しいメンバーも
    入ってきた。

    勤務場所は違う。
    でも入社時期はほぼ同じ。

    いわゆる同期みたいな存在だ。

    新しい環境では、同じタイミングで
    頑張っている人がいるだけで心強い。

    「自分だけじゃない。」
    そう思えるだけで、不思議と前向きに
    なれる。

    一方で、少し寂しい話もあった。

    ようやく話せるようになってきたメンバーが、
    今月で退職するという。

    最初はお互い距離感もあった。

    でも少しずつ仕事の話をするようになり、
    雑談も増えてきた。

    「これからかな。」

    そう思っていたタイミングだった。

    だから正直、少し寂しかった。

    でも転職を何度か経験して思う。

    出会いもあれば別れもある。

    それぞれが、それぞれの場所で
    頑張っている。

    新天地でも元気にやってほしい。

    そして、またどこかで会えたらいいな
    と思う。
    転職して改めて感じた。

    仕事って、最後はやっぱり「人」なんだ。

    仕事内容や待遇ももちろん大事。
    でも、困った時に声をかけてくれる人。
    一緒に笑える人。

    「頑張ってや。」
    と言ってくれる人。

    そういう人との出会いがあるから、
    前を向いて頑張れるんだと思う。

    ⸝

    第5章 やっとこの日がきた


    そして今日。

    待ちに待った給料日だった。

    転職のタイミングもあって、
    今回は少し特殊だった。

    入社してから最初の給料日まで、約1.5か月。

    分かっていたこととはいえ、
    やっぱり長かった。

    「まだかな。」
    「あと少しか。」

    そんなことを思いながら過ごしていた。

    そして昼休み、何気なく口座を確認した。

    その瞬間。
    ちゃんと振り込まれていた。

    思わず、「おお。」
    と小さく声が出た。

    もちろん、お金は生活するために大切だ。

    でも今回感じたのは、それだけじゃ
    なかった。
    「ちゃんとここでスタートできた。」
    そんな安心感が大きかった。

    この1.5か月を振り返る。

    ラスト出社日。

    新しい職場への期待と不安。

    パソコンのセットアップ。

    慣れないメールソフト。

    人の名前を覚えること。

    図面と現物を見比べながら悩んだ毎日。

    実験室の整理整頓。

    電動モビリティを借りて、洗車して、
    ブレーキ音に驚いたこと。

    同期のような存在と出会ったこと。

    そして、ようやく仲良くなってきた
    人との別れ。

    色々な出来事があった。

    大きなことも、小さなことも。

    でも、その全部が積み重なって、
    今日につながっている。

    初給料を見た時、不思議と前の会社で送り出してくれた人たちの顔が浮かんだ。

    「頑張ってや。」

    そう言ってくれた元同僚。

    家で「お疲れさま。」と言ってくれた奥さん。

    新しい職場で助けてくれた人たち。

    自分一人の力でここまで来たわけじゃない。

    たくさんの人に支えられて、ようやく
    ここまで来ることができた。

    そう思うと、この初給料は単なる
    「給料」じゃない。

    新しい人生をスタートさせた証みたい
    なものだった。

    ⸝

    第6章 また頑張ろうと思えた日


    初給料をもらって思ったことは、
    すごくシンプルだった。

    「また頑張ろう。」
    それだけだった。

    転職したばかりの頃は、
    「早く戦力にならないと。」

    そんなことばかり考えていた。

    分からないことがあると焦る。

    人の名前を忘れてしまうと落ち込む。

    図面が分からないと、自分だけ取り
    残されているような気持ちになる。

    でも、この1.5か月を振り返ると、
    焦る必要はなかったのかもしれない。

    人の名前を覚えることも。
    仕事を覚えることも。
    図面を理解することも。
    人間関係を作ることも。

    全部、一歩ずつ積み重ねていけばいい。

    転職って、不安も大きい。

    でも、それ以上に新しい景色や新しい
    出会いがある。

    ラスト出社日には想像もしていなかった
    景色を、今は少しだけ見ることができて
    いる。

    もちろん、まだまだ戦力としてはこれから。

    悩むこともある。

    壁にぶつかることもある。

    でも、あの日退職を決断した自分に
    対しては、今こう言える。

    「ちゃんと前に進めてるで。」

    今日もらった初給料は、ゴールじゃない。

    新しい環境で、自分らしく働いていくためのスタートライン。

    そして、自分が選んだ道が間違って
    いなかったという、小さな答え合わせ
    だったのかもしれない。

    また来月も。
    またその次の月も。

    一歩ずつ積み重ねながら、自分らしく
    前に進んでいこうと思う。

    今日はそんな、少し嬉しくて、
    少しホッとした一日だった。

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