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【連茉】暪浜、ずきどきカンボゞア。  きみず、カンボゞア。 第話


第䞀話すべおは、あの倏の「玍涌䌚」から始たった


目次


  1. はじめに日垞に玛れ蟌んだ「石ころ」のような出䌚い

  2. 第䞀章挚拶だけの、遠い距離――二床の玍涌䌚

  3. 第二章鎌倉の海颚ず、居酒屋での告癜

  4. 第䞉章ノェヌルの向こう偎にある「玠性」

  5. 第四章公甚ビザ「Official」ずいう名の刻印

  6. 第五章残り䞀幎の砂時蚈――垰囜か、それずも


はじめに日垞に玛れ蟌んだ「石ころ」のような出䌚い

人生を巊右する決定的な出䌚いずいうものは、埀々にしおドラマチックな音楜も流れず、ごくありふれた日垞の隙間に、石ころのように転がっおいるものです。
代・代・台ずそこそこ楜しい人生を歩んできたが、結婚願望もなく いや、圓時は正盎蚀っおもうこの歳じゃ無理かなずくすぶっおいた男の実話ストヌリヌです。
ある倏の日に倖囜人の玠敵な圌女ず出䌚い、そこからの人生ストヌリヌを蚘録した物語です。結婚しお3幎たった今、圌女ずの出䌚いから珟圚に至るたでの蚘録をここに残したす。
今に至るたでには蚀葉の壁や習慣、考え方の違いなど様々な問題に盎面しながらも人でなんずかやっおこれたリアルな生掻をお届けしたす。

私にずっお、それはただ「自分に䜕かが起こる」なんお期埅もしおいなかった、ある倏の日のこずでした。



第䞀章挚拶だけの、遠い距離 二床の玍涌䌚

きっかけは、勀務先の䌚瀟で開催された、これずいった倉哲もない玍涌䌚でした。 堎所は、勀務先の䌚瀟の敷地。ビヌルず枝豆、ノリの良い音楜。脂の乗った焌き鳥の匂い。
同僚たちの笑い声が響き枡る、そんな喧隒の䞭に圌女はいたした。 同じ職堎で働くパヌトさんの友人ずしお䞀緒に来おいた異囜の女性。

「こんばんわ、はじめたしおたのしんでいっおね」

亀わしたのは、その皋床の、短い挚拶だけ。 圓時の圌女は 
倧勢の日本人のなかに迷い蟌んでしたった子猫のようにおずなしい印象でした。
蚘憶の隅に匕っかかったものの、たさかその数幎埌、圌女ず䞀぀の食卓を囲み、同じ姓を名乗り、人生を共に歩むこずになるずは、圓時の私は1ミリも想像しおいなかったのです。

運呜の神様は、最初の出䌚いではあえお䜕も教えおくれない。
ただ、静かに䌏線を匵るだけなのだず、今ならわかりたす。

それから䞀幎。季節が䞀呚し、再び玍涌䌚の季節が巡っおきたした。 驚いたこずに、そこには再び圌女の姿がありたした。
宎のあず、倜の颚が少しだけ心地よく感じられた二次䌚のこず。仲間たちず連れ立っお駅前のカラオケ店ぞ向かうず、店の前で偶然、先に䌚堎を出たはずの圌女たちず鉢合わせたのです。

「カラオケ䞀緒に歌おうよ」

私たちから出たその䞀蚀で、私たちは狭いカラオケの個宀に盞垭するこずになりたした。
䞍噚甚に回されるマむク、モニタヌから流れる眩しい光。お酒の勢いに任せお亀わした他愛もない䌚話。けれど、その倜も特に劇的な進展があったわけではありたせん。
ただ、少しだけ「圌女」ずいう存圚が、私の䞖界の䞭で鮮やかな茪郭を持ち始めた――そんな倜でした。



第二章鎌倉の海颚ず、居酒屋での告癜

次䌚のカラオケから数日埌、共通の知人であるパヌトさんから、圌女が私に奜意を抱いおいるず知らされた時の衝撃は、今でも忘れられたせん。

異囜の女性から奜意を抱かれるなどミリも考えおいなかったし、その先の未来も党く想像もしおいなかったから驚きで急に意識しおしたう感芚に包たれながら、私は意を決し、䞍慣れな手぀きでスマヌトフォンを操䜜し、最初の䞀通を送りたした。

初めおのデヌトに遞んだのは、鎌倉でした。 賑やかな芳光地を避け、江ノ電の揺れに身を任せながら、叀い街䞊みを歩く。由比ヶ浜の波音を遠くに聞きながら、私たちはポツポツず蚀葉を重ねおいきたした。
鶎岡八幡宮での圌女の振る舞いに私は心の䞭である決心を固め始めおいたした。

若宮倧路を抜け、鶎岡八幡宮の鮮やかな朱色の鳥居をくぐったずきのこずだ。
倚くの芳光客が賑やかに写真を撮り、階段を急ぐ䞭で、圌女だけがふず立ち止たった。

本宮ぞず続く倧石段の䞋、圌女は静かに手を合わせ、目を閉じた。
カンボゞアは敬虔な仏教囜だ。宗掟や圢匏こそ違えど、圌女にずっお聖域に身を眮き、倧いなるものに祈りを捧げるずいう行為は、呌吞をするのず同じくらい自然で、欠かすこずのできない儀匏なのだろう。

ざわめきが消えたかのような、䞍思議な沈黙が圌女の呚りだけに流れおいた。 埮動だにせず、ただ真っ盎ぐに、けれど深い慈しみを蟌めお祈るその暪顔。
その時、圌女が心の䞭で䜕を願っおいたのかは分からない。遠い母囜の家族の無事か、それずも自身の未来か。

ただ、その祈りの颚景があたりにも柄んでいお、尊かった。
私はその姿を隣で芋守りながら、文化や蚀葉の壁を超えた、圌女ずいう人間の根底にある「矎しさ」に、改めお觊れた気がした。

囜も文化も、育っおきた環境も違う。
䌚話だっお日本人みたいにスラスラずできない。
けれど、隣を歩く圌女の歩調は、驚くほど心地よく私に銎染んでいたした。

蚀葉の壁を越えお䌝わっおくる、圌女の笑顔ずゆったりずした衚情、柄み切った瞳の奥にある玔粋さは 

私の心は、その海颚に吹かれながら、少しず぀、けれど確実に䞀぀の方向ぞ決たっおいったのです。

数回目のデヌト。
私たちは駅前の居酒屋にいたした。 グラスの䞭の氷がカランず音を立おお溶ける。呚囲の喧隒が、たるで遠い䞖界の出来事のように感じられたした。
私は、圌女の瞳を真っ盎ぐに芋぀めたした。

「おれ、あなたのこずがすきです。おれのかにじょになっおくれたせんか」

捕捉、結婚し、子䟛が産たれ、成長した今でも私からののメッセヌゞはすべおひらがなで送信しおいたす。圌女からは挢字でメッセヌゞが垰っおきたす。笑
䟋ずしお
私「きょうはかいぎで、かえり、おそくなりたす。」
圌女「了解です気を付けおね」

恋に、掟手な挔出はいらない。ただ、これからの日々を圌女の隣で過ごしたいずいう、食らない願い。

圌女が「うれしい」ず蚀っおくれた瞬間、私の新しい人生の幕が䞊がりたした。

・・・しかし、恋の喜びが絶頂を迎えるのず同時に、私は知るこずになるのです。 圌女の背埌に広がる「䞖界」の重みず、すぐそこに迫っおいた残酷な「タむムリミット」を。



第䞉章圌女の「玠性」

付き合い始めおしばらく経った頃、私は圌女の日垞が、私のそれずは党く異なるルヌルず䟡倀芳で動いおいるこずに気づき始めたした。
打ち明けられた圌女の玠性は、私の想像の範疇を遥かに超えおいたのです。

圌女の職堎は、圚日カンボゞア倧䜿通。 そしお、母囜に残る家族もたた、囜家の䞭枢を担う人々でした。
母芪は倖務省の芁職にあり圓時は圚䞭囜カンボゞア倧䜿通に赎任䞭、父芪は自囜で倚くの人々の瞳を救う県科医。
圌女はいわゆる、カンボゞアのトップ゚リヌトだけが属する「ハむクラス」の家系で育った什嬢だったのです。

暪浜の雑螏の䞭で、ごく普通に隣を歩く圌女が、急に遠い囜の、手の届かない宮殿の䞭にいる存圚のように思えたした。



第四章公甚ビザ「Official」ずいう名の刻印

圌女の立堎を最も象城しおいたのは、そのパスポヌトに刻印された、普通のものずは色が異なる「Official公甚」ずいう特別なビザでした。

公甚ビザOfficial Visaずは 倖囜政府の公務を遂行する者、あるいは囜際機関の職員、およびその家族にのみ発絊される特別な査蚌。日本における䞀般的な就劎ビザや留孊生ビザずは異なり、倖亀䞊の配慮に基づいた特殊な暩利が䌎う䞀方で、その身分は囜家間の玄束事ずしお厳栌に管理される。

そのビザは、圌女が単なる「滞圚者」ではなく、「囜の代衚の䞀端」ずしおここに存圚しおいるこずを静かに、そしお重々しく䞻匵しおいたした。
そしお、その特別なステヌタスには、抗いようのない「期限」が冷培に定められおいたのです。

その期限は、10幎。 圌女が日本で研鑜を積み、職務を党うするために䞎えられた歳月。
私たちが恋人ずしお歩み始めたずき、その砂時蚈の最埌の䞀粒が萜ちるたで、すでに残り䞀幎を切っおいたした。



第五章残り䞀幎の砂時蚈 垰囜か、それずも

「ビザが切れたら、カンボゞアに垰る぀もりだった。延長なんお考えもしなかった」

圌女は、静かに、けれど匷い意志を蟌めおそう蚀いたした。 圓初の圌女にずっお、日本での生掻はあくたで人生のひず぀の通過点、長いキャリアのプロロヌグに過ぎなかったのです。
任期を終えれば、母囜ぞ垰り、玄束された゚リヌトずしおの道を歩む。それが圌女に甚意された、そしお圌女自身も受け入れおいた、疑いようのない未来だったから。

けれど、そこに「私」ずいう予期せぬむレギュラヌが入り蟌んでしたいたした。

カンボゞアぞ垰れば、安定した地䜍ず愛する家族が埅っおいる。
日本に残れば、名もなき䞀人の男ずの未来がある。けれどそれは、囜家を代衚する公的な身分を蟞し、これたで積み䞊げおきたキャリアも、家族の期埅も、すべおを手攟すこずを意味しおいたした。

期限たで、あず䞀幎。 愛し合う喜びが深たれば深たるほど、タむムリミットずいう名の冷培な珟実が、私たちの圱を長く匕き䌞ばしおいきたす。
時蚈の針が刻む音は、それたでよりもずっず、重く、鋭く、私たちの倜に響き始めおいたした。

暪浜の空の䞋で始たった恋は、いた、二぀の囜の境界線䞊で倧きく揺れ動こうずしおいたした。
私たちに残されたタむムリミットはあずわずかしかありたせんでした・・・


第話 完
次回に続きたす。
ここたで読んでいただきありがずうございたした。
第話もお楜しみに

じょヌじ

いいなず思ったら応揎しよう