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「これで4回目です」。一晩かけて「はじめに」を書き直した理由【全文公開】

    実は今朝、一晩かけて書き直したばかりの「はじめに」を、担当編集のOさんに送りました。
    これで、4回目の書き直しです。 もちろん誰に指示されたわけでもありません。昨日、完成したはずの原稿を一人声に出して読み返していた時、どうしても自分自身が許せなくなってしまったのです。

    「これ、ただの編集者の苦労話になってないか?  今まさに不機嫌で苦しんでいる人の、本当の救いになるのか?」

    25年本を作る側にいて、何百もの「はじめに」に立ち会ってきました。が、いざ自分が書く側になると、これほどまでに足掻くことになるとは思いませんでした。
    そんな僕の「足掻き」を、なんと三笠書房さんの公式noteがさっそく取り上げてくださいました。

    若手編集者さんの瑞々しいリアクションに、僕自身も背中を押されました。まさに「共同プロジェクト」として、熱いライブ感が生まれています。
    実績を並べた綺麗な言葉はいりません。
    「なぜ、50代の重苦しい毎日を、気分ひとつで変えられると言い切れるのか?」
    その答えを、自分のカッコ悪さも、脂汗をかいた夜のことも含めて、すべてさらけ出して伝えたい。
    そう思って、自主的にすべてをひっくり返し、キーボードを叩き直しました。
    今朝、Oさんから「即OK」をいただいた、まさに出来立てほやほやの原稿です。 魂を込めて書き直した、この本の「結論」を読んでみてください。

    ================================

    【はじめに】 50代の「気分」は最強の武器である

    毎朝、目が覚めた瞬間から、なんとなく体と気持ちが重くてだるい。
    特別、体の調子がわるいわけではないし、つらいことや大変なことがあったわけでもない。仕事も家庭もそれなりにこなせている。
    なのに、なぜか機嫌が良くない。気力が湧かない。やる気が起きない。
    「自分の人生、本当にこれでいいのか」「このまま枯れていくだけなのか」そういう感覚が、ずっと頭の隅に残っていて離れない。
    そんな毎日を過ごしていませんか。
    「50代なんてこんなもん」「ただ疲れているだけ」と言い聞かせては、自分の気持ちに蓋をし、見て見ぬふりをする。
    かつての私も、その「なんとなく」の正体がわからず、出口のない迷路をさまよっていました。
    しかしある時、視点を変えて自分自身を見つめ直してみたのです。すると、答えは拍子抜けするほどシンプルなものでした。
    原因は、加齢でも、仕事の行き詰まりでも、家族関係でもありません。

    「不機嫌」が、習慣になってしまっていたのです。

    こう言うと、「そんなことはわかっている。不機嫌が原因なら、機嫌を良くすればいいだけだろ」。そう言いたくなる気持ち、わかります。痛いほどよくわかります。
    ただ、50代の不機嫌は、気合いで良くなるほど生易しいものではありません。そしてそれに気づいている50代はきっと多いはず。
    なぜなら、私たち50代はこれまでさんざん「自分の機嫌」を置き去りにして、誰かのために生きてきました。仕事のため、家族のため、世間体のため、将来の備えのため……
    もうそろそろ他人のために生きるのをやめて、「自分の機嫌」を最優先して生きてみませんか。
    今、私たちが手にすべきなのは、安易な精神論ではありません。
    余計な敵を作らず、欲しいチャンスを確実に掴み取って、残りの人生をハッピーに生きる「武器としての気分」なのです。

    1200万部を作っても、自分の「不機嫌」には勝てなかった


    私は編集者として25年間、各界のトップランナー2000人以上と仕事をし、600冊以上を手がけ、累計1200万部の実績を積み上げてきました。令和で最も売れているミリオンセラー『人は話し方が9割』も編集しました。
    その私が、断言します。
    その数字も肩書きも、自分の「不機嫌」の前では、まったく無力でした。
    今でこそ、本を出したい人の企画に伴走する仕事をしていますが、47歳でフリーランスになった直後は悲惨でした。ご祝儀の依頼が一段落すると目に見えて仕事は減り、貯金を切り崩す日々が続きました。

    ただ、客観的に見れば、すぐに路頭に迷う状況ではありません。それでも私は、毎日夜中の3時に飛び起き、冷や汗でパジャマを濡らしては、「このままでは一文無しになる」という悪夢にうなされました。
    なぜあんなに怯えていたのか。
    理由はたった一つ。自分の状況を必要以上に悪く見積もっては、勝手に「不機嫌」になり、自ら人と運とお金を遠ざけていたからです。
    20代の営業マン時代も、そうでした。
    月末の目標達成が厳しく、公衆電話越しに上司から逃げ場のない詰問を受けた私は、耐えきれず受話器を叩き切って逃げたことがあります。
    30代で編集者になっても、感情をコントロールできませんでした。
    部下をきつく叱って泣かせたり、役員と言い争いになった時には、目の前で企画書をビリビリに破り捨てられたこともあります。
    「言いすぎた」「やりすぎた」と自分を責めながらも、またカッとなって怒る。その繰り返しでした。

    人には「感情整理の本」を何冊も作りながら、当の本人は自分の不機嫌一つ扱えない。その矛盾に、誰よりも絶望していたのです。
    そう言うと、
    「いい大人が、気分で仕事をするな」
    「感情をコントロールするのが大人のマナーだ」というお叱りの声が飛んできそうですね。
    わかる、わかります。私もずっと、「いい社会人、いい親、いい人生」という正解に縛られて生きてきました。
    感情を殺してサイボーグのように「品行方正」の枠に自分を押し込めて生きること。それこそが人生の目標を達成する唯一の道だと信じ、自分の気分をさんざん置き去りにしてきました。
    しかし、あえて言わせてください。
    その「正しさ」に縛られた生き方の先に、幸せはありません。
    私たちが今、手にするべきなのは、「真面目さ」でも「正しさ」でもなく「いつも上機嫌でいる」という名の、少し「ずる賢い生存戦略」なのです。

    感情は「コントロール」しなくていい


    『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんをはじめ、「いつも機嫌のいい成功者たち」を間近で観察し続けた結果、ある共通点に気づきました。
    彼らは、感情のコントロールが特別うまいわけではありません。ただ、「心の高度」が、常に一定の高さを保たれていたのです。
    飛行機は、ある高度まで上がると気流に左右されなくなりますよね。
    私たちの「気分」も同じです。感情という「天気」を変えようとするのをやめて、心の高度そのものを底上げしてしまう。すると、多少の雨風があっても、心は勝手に「いい状態」へと戻ってきます。
    これは心理学でいう「幸福のセットポイント(設定値)」の話です。一時的に落ち込んでも、私たちの心は、結局その値に戻ろうとする性質があります。
    つまり、「不機嫌を無理に直そう」とするのをやめること。
    「いい気分の設定値」を少しずつだけど確実に底上げして、徐々に高度を上げていく。それだけで、人生は面白いほど変わり始めます。

    「気分のいい人」になった瞬間、扉が開いた


    高度が安定してから、私の人生は確実に、そして「ずる賢く」変わり始めました。
    「いつか一緒に仕事がしたい」と思っていた著者から、連絡が届く。年下の編集者に「教えてほしい」と頭を下げたら、出版企画が次々と通るようになる。家族を「見張る」のをやめたら、食卓に笑顔が戻り、子供や妻が自然に話しかけてくる。
    想像してみてください。
    正論を振りかざして周囲をドン引きさせる「有能だけど不機嫌なベテラン」と、失敗を笑い飛ばして場を和ませる「機嫌のいいベテラン」。
    どちらにチャンスが集まり、どちらが豊かな後半戦を歩むか。答えは明らかですよね。
    気分がいいだけで、あなたの味方はどんどん増え、仕事もお金も運も舞い込むようになる。
    これほどコストパフォーマンスの高い生存戦略は、他にありません。

    この本が伝えること


    西オーストラリア大学の研究によれば、人間が最もバランスよく力を発揮できるピークは「55〜60歳」です。50代は本来、可能性に満ちた「ゴールデンタイム」なのです。
    にもかかわらず、多くの人が「嫌な仕事だけど、定年までなんとかがんばろう」「あと5年、やり過ごせば退職金が入る」と、不機嫌な檻の中で時間を消費してしまっています。
    この本は、無理に前向きになろうと言う本ではありません。
    「いい人」「正しい人」を卒業して、自分の気分を最優先しましょう、という本です。
    「いつも機嫌のいい人」になって、図々しいほどハッピーに、人生を謳歌する。そのための、具体的で、少しずる賢い45の習慣をお伝えします。
    もう一度断言します。
    あなたがやるべきことは、たった一つ。
    自分の「いい気分」を、何より優先すること。
    それさえできれば、人生の後半戦は必ずうまくいきます。 さあ、重い荷物を一度下ろして、ページをめくってみてください。
    この先に広がるのは、これまでで一番自由で、一番機嫌のいい毎日ですよ。

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    作家・編集者。1970年生まれ。PHP研究所を経て47歳で独立。編集した本は『人は話し方が9割』など600冊超、累計1200万部。2000人超の一流著者の観察から「人生は能力より気分の高度で決まる」という本質にたどり着く。50代から人生の操縦席を取り戻す考え方を発信中。

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