
蘇って、 読み替える 《ヨミガエリ》
ポッカリと空いた虚無を誤魔化すつもりで、
ずっと前に作ったプレイリストを再生した。
ガヤガヤとうるさい週末の雑音を紛らわしながら、
読書に没頭すつもりで選んだ。
あまり深く考えずに、久々に聴いてみようと選んだプレイリスト。
再生した途端に目の前の活字はボヤけ、当時の感覚が蘇ってきた。「あ〜懐かしい」と呼べるような記憶ばかりでは無い。虚無を誤魔化すつもりでは選ばないはずのそれを聴いてしまった。
ある期間の印象的な想いを連想するプレイリスト。お気に入りの曲を選曲したリストのはずなのに、蘇るのは様々な情緒。アルバムの写真を眺めるよりもずっと、強烈で感情をかき乱す。ジャンルの異なる楽曲が当時の自分の本音を吐き出している。
心地良いのに…苦しくて…
懐かしいのに…戻りたくなくて…
叫びたいのに…届かない
無知な自分が辿った愚かな事実を否定したくないし、生き直せたらなんてちっとも求めていないのに、自分の選んできたそれぞれの岐路が今の自分を成している現実を嘆いているようにすら感じる。
せめて自分自身は自分の選択を尊重して、
後悔しているなんて思いたくないのに。
それでもそのプレイリストを停止する事が出来ずに
しばらくの間、視線の定まらない瞳で空を泳いだ。
いつの間にか終わっていたのか、外の雑音が耳につき引き戻された。
そのまま先ほどのプレイリストを繰り返し再生し、
手に持った本のページを捲る。
まるでその本の世界のBGMにでもしてしまって,
記憶を書き換えてしまおうとするかのように。
記憶の奥底にしまわれた五感を伴う情緒が
引きずり出される 単なる懐かしさとは別の何かを
読み替える事を期待して。