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スティーブ・ジョブズになれなかった私

明日着る服を出しておこうと思ってクローゼットを開けた。



私は服にあまりこだわりがない。体型を可能な限りごまかせて着心地がよく、悪目立ちしなければそれでいい。…こだわりがないと言う割には要求が多い気がしないでもないが、要するに個性を出すためではなく、周囲に紛れるためのものなのである。



その結果、私が持っている服(トップス)はカーキ、紺、グレーの3色しかない。今の季節に限れば紺とグレーがほとんど。しかも同じデザインの色違いだったりする。そして新しい服を買っても自分の好みに従うと似通ったものになりがち。袖や襟など、よく見ると違うのだが、多分買った本人以外には同じにしか見えない。



同じような服ばかり持っているが、昨日と同じ服では?と思われるのも嫌なので、前の日と同じ色にはならないように気をつけている。しかし、クローゼットの周辺が暗いので、これだ!と思って引っ張り出すと昨日と同じだったりする。目的の服に中々たどり着けない。キエー!周囲に紛れることを目的とした結果、もはや本人ですらも見分けがつかないのである。そんな昔話、探せばありそう。



どうせ似たような服ばかり着ているんだから、もういっそスティーブ・ジョブズのように全部同じ服にしてしまえば、このストレスから解放されるのではないか。だが小心者の私には、そこまで思い切る度胸がなかった。さっき間違えて出した服を戻し、今度こそ、と違う服を取り出す。また紺色!キエー!

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