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似合うか、好きか


母いわく、私の小さい頃の見た目は(ここは強調したい……)

男顔で、色が黒く、鼻が低くて、いわゆる「かわいい子」とは程遠い、かわいくない子だったらしい。

なので似合う洋服やヘアスタイルがかなり限られていた。

色が白く、優しい顔立ちで、なんでも似合う4つ上の兄の洋服を選ぶときに、おさがりになったとき私に似合いそうなものを選んでいたのだとか。

兄のおさがりなので、当たり前だが男の子のものになる。

男顔かもしれないが、やっぱり女の子。

物心がつく頃には、おさげやポニーテール、ピンクや赤、フリフリのレースやリボン、スカートに憧れていた私だったが、ぜんぶ却下。

理由は単純。

似合わないから。

似合う、似合わないもわからないお年頃。

当然、赤やピンクへの憧れはなくならない。

母は仕方なく、パジャマだけはピンクや赤を買ってくれた。

そんな刷り込みがあったおかげで、小学校高学年以降は学校の制服とピアノの発表会以外でスカートを着ることはなかった。

もちろんピンクや赤、パステルカラーは厳禁。

着たいという気持ちも起きなかった。

私は赤やピンク、女の子らしい洋服は着てはいけないと、自分でも決めていたようだ。

これは32歳で結婚して実家を出るまで続き、結婚後もこの呪いからなかなか抜け出せなかった。

50代に入ってから、ある日たまたま気に入って買ったインド綿100%のスカートを自宅で着るようになった。

最初はいつも通りブルー系。

スカートを買っただけ成長だ。

次にふと思い立ち、オレンジのスカートを買ってみた。

似合うかどうかはわからなかったが、おかしくはなかった(はず……)。

見慣れないのが新鮮で、すっかり気に入り、ビリビリに破れるまで着倒した。

そしてついに、憧れ続けたピンクに手を出してみた。

やっぱり見慣れない。

でも、多分似合っている気がして、ちょっとうれしかった。

歩いている人を見ていると、私から見たら「あれ?」と思うような服を着ている人もいる。

子どもでも、「その組み合わせはなかなかだな」と思うことがある。

でも、みんなとても満足そうなのだ。

好きな服を着ているからだろうし、似合うと思って着ているからだろう。

私は「似合わない服を着たらみっともない」という刷り込み、いや呪いが強すぎて、選べる洋服の幅が本当に狭かった。

似合うより、好きを基準にしていたら、もっと違ったかもしれないなと思う。

ちなみに、色が黒いという理由でブラウンやベージュも母から厳禁とされていた。

最近はベージュにも手を伸ばしてみている。

そのうち、土の色みたいなテラコッタ色のブラウンを着てみたいと思っている。

#創作大賞2026 #エッセイ部門

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