【育児ログ】年中娘、初めてのお弁当
今日は娘氏、人生で初めての遠足の日であった。
娘はこの日を指折り数えて待っていた。行き先は一駅先にある動物園で、家族で何度も行ったことがある場所ではあるけれど、やはり友だちと一緒に行くのは格別なのだろう。
しかし何を一番楽しみにしていたかというと、母、つまり私の作るお弁当である。
最初はたかをくくっていた。
ワーママゆえ、未就学時代にお弁当を作る機会は数えるほどしかなかったが、兄が小学校に上がってからはそこそこ学童のための弁当を作っている。
まぁいつも通りやればよかろうと思っていた矢先である。娘が言った。
「こぎみゅんのおにぎりにしてね!」
こぎみゅん……!?
こぎみゅんとは、おにぎりになりたい小麦の妖精の女の子である。叶わぬ夢に涙がちょちょぎれる。
ところが先日、マクドナルドのハッピーセットでそんなこぎゅみんの「おにぎりメーカー」なるものが登場。こぎゅみんの夢が叶った! いやおにぎりになりてーんだよ、おにぎりメーカーじゃないのよ、などファンのあいだで賛否両論を巻き起こしたらしい。
そんなこぎゅみんのおにぎりメーカーを使ったキャラおにぎりを作れというご所望。
おにぎりメーカーで形を作るところはともかく、キャラってことは海苔を切った目をつけたり、ハムのお口をつけたりするわけでしょ? やったことがない。
さらに娘は追い討ちをかける。
「あとナポリタンでしょー、あとにんじんの入ってない卵焼き」
おにぎりとナポリタンってあなた、ダブル炭水化物じゃないの。たんぱく質もない!
しかしそこは人生初の遠足である。
できる限り要望に答えて、楽しかったな、おいしかったなという思い出が残ってほしいではないか。
「あっ、プリキュアのカマボコも入れてね♥」
プリキュアのカマボコとはこれである。
兄の年中当時のお弁当リクエストは、せいぜいアンパンマンポテトくらいだったのに……と遠い目をしながら、ケータイのメモ機能に必要な食材を書き連ねた。
遠足まで一週間を切ったある日のこと、娘と一緒に保育園から帰ってきた旦那がこそっと言った。
「にぃちゃん(娘のこと)、お弁当にはフルーツが入ってると思い込んでるよ。お弁当のフルーツ何かなぁって言ってた」
寝耳に水すぎるんだが?
息子はフルーツ全般があまり好きではない人で、かろうじて食べられるのは給食のバナナとリンゴ。家では食べない。
そして私は弁当にフルーツ反対派である。なぜなら、かつて幼稚園の頃に母が作ったお弁当に入っていたフルーツが、ぬるくて美味しくなかったから。冷たいものは冷たく、温かいものは温かく。ここまで書いてお気づきの方もいると思うが、そもそも私はそんなにお弁当が好きなわけではない(会社で食べるお弁当はレンチンする)。
娘のお弁当にもフルーツをいれるつもりはなかったのだが、まぁこれは好みの問題なので、入れてほしいなら入れようじゃないか。
「いちごかなぁ、シャインマスカットかなぁって言ってたよ」
「強欲!」
そんなわけで、凍らせた缶詰のみかんとパインを入れた。
前日問題になったのは、件のかまぼこである。ママ友にプリキュアかまぼこの話をしたところ、こう尋ねられた。「かまぼこって火通す?」
私は戸惑い、「えっ、そのままのつもりだったけど……」と答える。しかし、考えれば考えるほど不安になってきた。いや、かまぼこ別に生ものじゃないし。でもそんなこと言ったら作り置きのおかずだって生ものじゃないけど、レンチンしてから詰めるよな? 開けた直後のをいれれば大丈夫なの?
調べてみると、某かまぼこメーカーさんいわく「そのまま入れてOK」。じゃあ大丈夫か?と思ってみるが、あちこちに散乱する「要冷蔵品だから長時間の移動は不安」「真夏は怖い」の情報。
……ああ、お母さん何故でせうね。ソースのしっかりした情報より、SNSの多数派の声に押されてしまうのは。
陰謀論者の生まれ方を目の当たりにしたような気もするが、かまぼこを加熱して失うものは何もないので、ひと手間かけてから入れることにした。さっと煮る、というのがかまぼこ的に一番よく見かける加熱法だが、水分が逆に傷みにつながりそうなので除外。卵焼きのフライパンの端っこで焼いてもいいかと思ったが、ポチタン(プリキュアかまぼこに描かれている妖精)に焦げ色がついたら文句を言われそうなのでこれも除外。とすると残りはレンチンだ。1分くらい加熱すれば、中心まで温まるはず。
そして今日、私は満を持して5時起きした。
おにぎり用の米を早だきし(タイマーにかけると水が腐ることもある、と見たので、冷蔵庫で浸水)、卵焼きをハート型に加工し(切る方向がわからず残骸がいくつもできたが、残基2でなんとかなった)、ナポリタンを作った。
使おうとしていた鮭フレークが若干古い?という不安に苛まれ(開けたら1週間程度しか持たないなんて嘘だろ? うっかりたくさん入っている瓶を買ってしまったよ)、途中で24時間営業スーパーへ買いに行くというトラブルはあったものの、無事炊いた米に真新しいフレークを混ぜ、おにぎりメーカーをシャカシャカ。海苔とハムを切って(意外とフリーハンドでいけたが、なんかコレジャナイ顔になってしまったよ)顔を作り、なんとかあと少しでフィニッシュ、というところに到達。
以前兄のお弁当用に買っておいたナゲットの残りと、かまぼこをレンチンすれば完成!
かまぼこをレンジにinし、40秒ほど経った頃であろうか。「チリチリチリ…」という不穏な音がする。少なくともかまぼこからは聞いたことのない音である。
ビビって即座に扉を開けると、そこには表面シワシワで、かなりお年を召された印象のポチタン、じゃなかったかまぼこが鎮座しておられた。
ええええええ……。
皆さん知っていましたか。かまぼこを過剰にレンチンすると、チップスになるんですって。
人生はまだまだ、知らないことで溢れています。
子どもにとっては家に帰るまでが遠足だが、親にとってはお弁当を作って送り出すまでが遠足だ。お疲れ、乾杯。
かくして無事に遠足はとりおこなわれ、保育園の玄関には、ニコニコとお弁当を食べる写真が飾られていた。
「お弁当、おいしかった! ぜんぶたべた!」
とご満悦の娘を見るとやっぱり嬉しい。
何が美味しかった?と聞くと「ハートの卵焼きとかまぼこ」。
(卵焼きはさておき)かまぼこ!!!
キャラおにぎりとナポリタンという二大力作をさしおいて!!
来年の私へ。来年、秋に行われる卒業親子遠足のために、忘れないようここに知見を残します。
かまぼこは、20秒レンチン。現場からは以上です。
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主に息子のミルク代になります……笑。