失敗したくないだけ
自分は、別に成功したいわけじゃない。
誰かにすごいと思われたいわけでもないし、上に行きたいわけでもない。
拍手されたいわけでも、羨ましがられたいわけでもない。
ただ、自分の中には、「失敗したくない」という感情だけがずっとある。
成功したい人間は、前に進める。
でも失敗を恐れている人間は、立ち止まる。
自分はたぶん、ずっと後者だ。
失敗しちゃいけない。
間違ってはいけない。
迷惑をかけてはいけない。
期待を裏切ってはいけない。
そんな言葉ばかりを、自分の中で繰り返している。
だから何かを始める時も、まず「うまくいかなかった時」のことを考える。
やる前から逃げ道を探して、傷つかない方法を考えて、なるべく安全な選択肢を選ぼうとする。
本当はやってみたいことがあっても、「失敗したらどうしよう」が先に来る。
誰かに否定されたらどうしよう。
馬鹿にされたらどうしよう。
期待外れだと思われたらどうしよう。
そんなことばかり考えて、気づけば何もできなくなっている。
でも厄介なのは、自分でも「ここまで怯えなくていい」と分かっていることだ。
人間なんだから失敗くらいする。
間違えるのも当たり前だ。
頭では理解している。
それでも怖い。
怖いから確認を繰り返す。
怖いから準備をやめられない。
怖いから、人より何倍も時間をかける。
怖いから、自分を追い込む。
そしてその結果、自分で自分の首を締めている。
もっと気楽に生きればいいのに、と思う。
多少失敗しても笑えばいいのに、と思う。
別に世界が終わるわけじゃないのに、とも思う。
でも、それができない。
たぶん、自分の中では「失敗」はただの出来事じゃない。
自分の価値そのものを否定される感覚に近い。
失敗した瞬間、「やっぱり自分はダメなんだ」と思ってしまう。
だから怖い。
ただそれだけなんだと思う。
いつからこうなったのかは分からない。
気づいた時にはもう、「ちゃんとしていなければいけない」が身体に染みついていた。
ちゃんとしなきゃ。
間違えちゃダメ。
ミスしちゃダメ。
期待に応えなきゃ。
そんなふうに生き続けるのは、正直かなり窮屈だ。
常に緊張している。
常に何かに追われている。
休んでいても、心は全然休まらない。
それでも、自分はこの生き方をやめられない。
失敗を恐れることで、なんとか自分を保ってきたからだ。
怖がることで、慎重になることで、ここまで来たからだ。
だから手放せない。
この苦しさを捨てたいと思う反面、これを失ったら自分が崩れてしまう気もしている。
たぶん、自分は「失敗しないように生きる」ことに慣れすぎた。
でも最近、それって「生きている」というより、「壊れないように耐えている」に近いんじゃないかと思う時がある。
何かを楽しむためじゃなく、
何かを得るためじゃなく、
ただ傷つかないためだけに生きている感じ。
それはきっと、かなり息苦しい生き方なんだと思う。
それでも明日もまた、自分は確認を繰り返して、間違えないように必死になるんだろう。
やめたいのに、やめられない。