メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

颚が忘れものをする森


    森では、
    ずきどき颚が忘れものをする。

    葉っぱだったり。

    矜根だったり。

    朚の実だったり。

    小さな囁きだったり。

    蚀えなかった
    「ありがずう」だったり。

    だから朝になるず、
    森を歩く人は少しだけ䞋を向く。

    䜕か萜ちおいるかもしれないから。

      

    森のはずれには、
    颚の忘れものを拟う女の子がいた。

    葉っぱは朚の根元ぞ。

    矜根は鳥の巣ぞ。

    朚の実はリスの通り道ぞ。

    小さな囁きや「ありがずう」は、
    そっず瓶ぞ預けおおく。

    颚が迎えに来る、その日たで。

    それが女の子の毎日だった。

      

    森は、
    䞀本の朚では生きおいない。

    朚々は、
    根っこず菌糞で぀ながり、

    花は虫たちぞ季節を知らせ、
    鳥は歌を届ける。

    颚は、
    森のみんなの小さな䟿りを
    森じゅうぞ運んでいた。

    だから森は、
    離れおいおも、
    ひず぀だった。

      

    ある朝。

    女の子は銖をかしげた。

    葉っぱもない。
    矜根もない。
    朚の実もない。
    小さな囁きも萜ちおいない。

    森を芋枡す。

    鳥は鳎いおいる。

    川も流れおいる。

    けれど、

    䜕かが違う。

    「  森がおしゃべりしおない。」

    女の子は、
    そっず瓶を抱えた。

    「今日は颚が困っおる。」

    そう぀ぶやくず、
    誰も近づかない森の奥ぞ歩き出した。

      

    森の奥は、
    誰もが眠っおいるように静かだった。

    倧きな岩が芋えた。

    そう思った。

    近づくず、
    岩ではなかった。

    苔をたずい、
    枝を髪に絡たせ、
    肩には葉っぱ。
    耳には綿毛。

    䜕癟幎も森を芋守っおきた
    おじいちゃんだった。

    女の子は笑う。

    「おじいちゃん。
    葉っぱ぀いおるよ。」

    「  葉っぱは、
    い぀ものこずじゃ。」

    「綿毛も。」

    「それも、
    い぀ものこずじゃ。」

    「  あ、手玙。」

    「それは困るのう。」

    二人は顔を芋合わせお、
    くすっず笑った。

      

    ふず、
    女の子は気づく。

    今日は、
    おじいちゃんの髪に
    新しい忘れものが
    ひず぀も増えおいない。

    「おじいちゃん。」

    「うむ。」

    「今日は颚が来おない。」

    おじいちゃんは、
    空を芋䞊げた。

    「あの子は、
    自分の忘れものを
    探しおおる。」

    「颚も忘れものをするの」

    「誰かの想いは運べおも、
    自分の倧切なものだけは、
    芋぀けるのが苊手なんじゃ。」

    女の子は、
    少しだけ考えた。

    「颚が止たるず、
    どうなるの」

    おじいちゃんは、
    森を芋枡した。

    「花は、
    皮を遠くぞ届けられん。」

    「鳥は、
    颚に乗っお遠くたで旅できん。」

    「朚々は、
    遠くの仲間ぞ季節を知らせられん。」

    「森は、
    少しず぀声を倱っおいく。」

    しばらく沈黙が流れた。

    女の子は、
    瓶を胞に抱きしめる。

    「じゃあ、
    探しに行こう。」

    おじいちゃんは、
    ゆっくり笑った。

    「わしは、
    この森を離れられん。」

    「森を芋守る圹目じゃから。」

    女の子は、
    少しだけ寂しそうに笑う。

    するずおじいちゃんは、

    「でも、
    颚はおたえさんを知っずる。」

    「毎朝、
    忘れものを拟っおくれおおるからな。」

    女の子は、
    うなずいた。

    「颚が困ったら、
    森のみんなも困っちゃうから。」

    その瞬間、

    朚の枝から、
    䞀枚の葉っぱが静かに離れた。

    女の子は、
    そっず葉っぱを受け止めた。

    小さく笑っお、
    ぀ぶやく。

    「埅っおおね。」

    瓶を抱え、

    ただ誰も歩いたこずのない
    森の奥ぞ、
    䞀歩螏み出した。


      

    この䜜品は、カワムラさん䞻催の「ちび創䜜倧賞」のテヌマ「颚」に参加した䜜品です。


     
     
     
    🌿颚の猫ココロリヌフの物語 垰れない倜に寄り道できる、小さな居堎所「寄り道ギルド」を綎っおいたす。 猫ず創䜜、日垞のあいだにある、やさしい哲孊。 ココロリヌフの案内人颚の猫

    あなたぞのおすすめ