
1週間で捨てた新卒カードをネタにする人生
月曜日の朝3時、貸与の制服をドアにかけて逃げたところから、私の人生は格段に“オモロく”なった。
2020年4月、新卒で入った会社はコロナの大打撃を受けていた。
正社員で入社したにも関わらず時給への変更を打診されて、お人好しの私は笑いながら「考えます」とか言ってしまう。そんなことになったら気合を入れて選んだ水色の壁のアパートの家賃が払えなくなってしまうというのに。
面接の時に説明された仕事はさせてもらえず、マスクをしていない顧客のために配る“紙と輪ゴムでできたマスクもどき”を作り続けた。
マスクをしていない人が入店した瞬間に、面接の時は優しかった店長の怒号が飛ぶ。
「店長!この人肌色のマスクしてます!」という言葉は4回くらい飲み込んだ。
そんなことは我慢できたけど、2日目で気づくくらいド派手な大人のイジメには目を瞑れなかった。
助けられたらかっこよかったけど、逃げた。
たった7日で使い切った新卒カード。
大事なものを捨ててしまった気がして後ろを振り返りながら過ごしていたら、とんでもない会社に入社していた。2日で辞めた。
給料は入ってこないのに家賃は引き落とされるので、仕方なく夜勤の倉庫バイトを始めた。
ぬくぬく生きてきた私の世界にはいなかった人種の人間に囲まれてしまった。
3ヶ月で100万稼いで辞めた。
そこからいろいろなバイトを掛け持ちしてお金を稼いで、1年に4回引っ越して貧乏に戻った。
食べるものがなくてイカを釣る才能が開花したのはお気に入りのエピソードなのでここにも書いておく。
どうせ人生めちゃくちゃだし、やりたいこと全部やろうと思っていろいろなことをした。
シンガーソングライターになってTikTokの毎日投稿をして路上やライブハウスで歌ってCDを売った。
新宿で間借りの飲食店をはじめて、毎日他人のためにご飯を作ってお金がなくなって半年で潰れた。
いろんな人間の人生が知りたいと思ってマッチングアプリを研究して、4000いいねもらって月に15人とおしゃべりをした。
1番苦手な仕事をしてみようと思って営業をやってみて意外とできるけどやっぱり辛いなってことを知って辞めた。
6年経って会社に勤めて、同じ大学を卒業した友達と同じような人生に戻ってきた。
超遠回り。
おかげで人生のネタが爆増した。
新しい友達にも職場の人にも取引先にも、「この人おもしろいんだよ」って紹介してもらえるようになった。
何の話をするにもここから始まる。
「新卒で入った会社、1週間で辞めたんだよ笑」