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Photo byzuerich_life

今、一番行ってみたいところでの、若気の至り

    ののsun



    今から、ちょうど50年前のスイス。

    22歳の卒業旅行だった。

    第二外国語はドイツ語。

    友達には冗談で、

    「私、ドイツ語は
    『いっひ リーベ ディヒ』
    (Ich liebe dich.)
    しか覚えてへん」

    と言っていた。

    「私はあなたを愛しています」

    英語もほとんど話せなかった。

    スイスで、
    一つ年上のチェリストを目指す学生と出会った。

    一緒に過ごすうちに、
    とってもいい雰囲気になった。

    私は思い切って、
    たった一つしか覚えていないドイツ語を使った。

    「いっひ リーベ ディヒ」

    これぞ、若気の至り。

    すると彼は、

    「チェリストになるにはまだ時間がかかる。
    30歳くらいまで待ってほしい」

    と言った。

    私は、

    「あ、断られた」

    と思った。

    帰国の日、
    彼はお金もないのに
    空港まで見送りに来てくれた。

    帰りのお金がないとわかって、
    私は50スイスフラン渡した。

    そして別れ際、
    いっぱい接吻された。

    50年前なので、
    ここは「キス」ではなく「接吻」と書いておこう。

    帰国後、しばらく文通して、
    その手紙は今も大事に持っている。

    今、一番行ってみたいところ。

    50年前、
    彼と別れたあそこに、
    もう一度行ってみたい。

    若気の至りを胸に、
    もう一度、あのスイスの風に吹かれてみたい。


    最後に。

    耳ビシnote部の仲間たちのnoteを、尾藤克弘さんがまとめてくださいました。
    尾藤さん、ありがとうございます。

    仲間たちの作品には、心に残るものがたくさんあります。
    私もいつも楽しみに読ませてもらっています。

    ぜひ、のぞいてみてください。

     
     
     
    呼吸、声、命、余白。 日々の小さな感動を言葉にしています。 日々の生活を、 響きある旋律で繋ぎながら🍃

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