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圩音 -颚の続き-第䞉話【党五話】颚の向こう偎

    四十代になっおから、時間の流れが少し倉わった気がしおいた。

    若い頃は、目の前のこずだけを远いかけおいた。

    仕事を芚えるこず。

    結果を出すこず。

    新しいこずに挑戊するこず。

    気が付けば管理職になり、埌茩たちを支える立堎になっおいた。

    仕事は順調だった。

    呚囲から芋れば、䜕も問題はない。

    それでも、ふず考えるこずがある。

    この先の人生を、自分はどこで過ごしたいのだろう。

    そんな時、瀟内で地方創生事業の話を耳にした。

    地域が抱える課題。

    人口枛少。

    産業の継承。

    暮らしを支える仕組みづくり。

    䌁業の䞭だけでは芋えない䞖界が、そこにはあった。

    圩音は資料を読みながら、さたざたな地域に思いを巡らせた。

    山梚の山間郚。

    静岡の臚海郚。

    同じ日本でも、抱えおいる課題はたったく違う。

    けれど、そこに暮らす人たちの未来を支える仕事だずいうこずは共通しおいた。

    自分が積み重ねおきた経隓は、ここでも圹に立぀のではないだろうか。

    ITの知識。

    組織を動かす力。

    プロゞェクトマネヌゞメント。

    若い頃、ベンチャヌ䌁業で倢䞭になっお働いおいた日々。

    そしお、この十幎で孊んだこず。

    正人から教わったこずも、その䞭にあった。

    プロゞェクトは技術だけでは動かない。

    人の想いを理解し、同じ方向を芋るこずが倧切だ。

    正人はよくそう蚀っおいた。

    その蚀葉は、今も胞の䞭に残っおいる。


    週末。

    圩音は久しぶりに矎咲ず䌚った。

    ベンチャヌ時代の同期だった。

    結婚し、今はフリヌランスずしお掻躍しおいる。

    駅近くのレストランで向かい合うず、時間はすぐに昔ぞ戻った。

    グラスの䞭で揺れる深い赀ワむン。

    久しぶりの女子䌚は、昔ず倉わらない笑い声で始たった。

    「でもさ」

    矎咲がグラスを眮いお笑う。

    「圩音が恋の話をする日が来るずは思わなかった」

    「倱瀌じゃない」

    圩音も笑った。

    「でもさ、あの頃の圩音っお本圓に仕事の話ばっかりだったよね」

    矎咲が吹き出す。

    「確かに」

    圩音も苊笑した。

    「でも、あの頃の圩音はベンチャヌで寝る間も惜しんで働いおたもんね」

    懐かしい話に、二人ずも笑う。

    「あの頃は若かったよね」

    「若かった」

    矎咲は笑いながらワむンを口に運ぶ。

    「矎咲は」

    圩音が聞く。

    「私はもう生掻が倉わったかな。

    結婚もしたし、今はフリヌで奜きな仕事を遞んでる」

    「すごいね」

    「圩音もね」

    矎咲が蚀う。

    「正人さんのこずも、地方の仕事のこずも。

    どっちもちゃんず考えおる顔しおる」

    圩音は少し困ったように笑った。

    「そんな噚甚じゃないよ」

    「そう」

    矎咲は銖を傟げる。

    「でも昔より、楜しそう」

    その蚀葉に、圩音は少し黙った。

    そうかもしれない。

    うたくいかないこずもある。

    思い通りにならないこずもある。

    それでも。

    誰かを倧切に思うこずや、

    これからの人生を考えるこずは、

    昔の自分にはなかった時間だった。

    「そうかもね」

    圩音は小さく笑った。


    垰り道。

    少し飲んだあずの倜颚が心地よかった。

    正人のこずがよぎった。

    奜きな気持ちは倉わらない。

    「正人さん」

    思わず名前が口から出おしたった。

    圩音は足を止める。

    慌おお呚囲を芋回した。

    誰もいない。

    「  もう、私なにやっおるんだろ」

    小さく笑う。

    けれど、その気持ちだけで人生が決たるわけではないこずも知っおいた。

    正人には正人の時間がある。

    自分には自分の人生がある。

    だからこそ、前を向きたいず思った。

    倜空には倏の倧䞉角が浮かんでいた。

    無数の星が静かに茝いおいる。

    圩音は立ち止たり、しばらく空を芋䞊げた。

    こんなふうに星を眺めるのは、い぀以来だろう。

    仕事に远われおいた頃には気づかなかった景色だった。

    「矎咲、ありがずう」

    小さく呟く。

    倜颚が頬をなでおいった。


    垰宅しお、矎咲ずの楜しい時間を思い出しながらシャワヌを济びた。

    ほのかに酔っおいた思考が、少しず぀普段の自分ぞ戻っおいく。

    矎咲、頑匵っおるな。

    フリヌランスなんお、昔の圌女らしい。

    たたに䌚う同期は、自分の芋えおいなかった景色を芋せおくれる。

    圩音は髪を也かし、枩かい玅茶を淹れお䞀息぀きながら、ノヌトパ゜コンで、地方創生事業の募集ペヌゞを開いた。

    山梚。

    静岡。

    いく぀もの地域名が䞊んでいる。

    ただ䜕も決めおはいない。

    応募する勇気は、ただなかった。

    けれど。

    指先はもう、募集芁項を閉じようずはしなかった。

    窓の倖から倜颚が吹き蟌む。

    少しだけ颚向きが倉わった気がした。

    その先にどんな景色が埅っおいるのかは分からない。

    けれど圩音は、静かに前を向いおいた。

    ぀づく


    ▶次の物語
    第四話倩の川は、ただそこにある

    ▶同玚生シリヌズ第䞀郚 かおりず正人の青春線
    マガゞン同玚生 ─流れゆく季節の䞭で─

    ▶同玚生シリヌズ第二郚 かおりず正人の再䌚線
    マガゞン同玚生 -after 15 years-

    ▶ 同玚生シリヌズ第䞉郚 かおりず正人の黄昏線
    マガゞン同玚生最終章 So Long

    ▶ 䜜者
    Ryo.プロフィヌル・䜜品䞀芧


     
     

    Ryo.

     
     
    甘酞っぱくお少し切ない恋愛小説を曞いおいたす。 初恋、青春、同玚生、倧人の恋。 読み終えたあず、少しだけ誰かを思い出したくなる。 そんな物語を曞いおいたす。

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