
序章 出会い【こじれた恋と、まっすぐな出会い】
私たちは結婚相談所で出会った。
お互いに恋愛が得意じゃなくて、報われた記憶があまりないタイプ。
特に私は、自分に自信がなかったから、距離のある人にばかり惹かれてた。
職場に月1で来る業者さん、
ちょっとかっこいいお笑い芸人、
少し優しくしてくれた美容師さん。
「来るかな〜」「会えるかな〜」って思ってたら、「あの人、結婚したらしいよ?」なんて情報が耳に入ってきて、落ち込む。
そんなことの繰り返しだった。
今思えば、“経験したことのない恋愛”に憧れていたんだと思う。
恋と憧れがぐちゃぐちゃで、本当の気持ちも自分でわかってなかった。
そんな私が、20代後半から30代半ばにかけて、
本気で好きになった人がいた。
バンドマンで、絶対に私が幸せにできるって本気で思っていた人。
一生片思いでもいいって思ったくらい、8年間ずっとその人を想い続けていた。
でも、30代半ば。
年下の後輩が「子どもを産みたいから早く結婚したい」って言って退職した。
それを見送った時、心がザワザワしてどうしようもなかった。
「私、結婚したいの?」
「子ども、産みたいの?」
本当の気持ちを自分で自分に問い続けた。
今までは「好きな人と結婚したい」って思っていたんだ。
だけど、アプローチしても報われない現実と、
どんどん前進していく後輩の姿。
心から応援できない自分が、
情けなくて、苦しかった。
そして、思った。
このまま何も行動しなかったら、未来の私がきっと今の私にこう言う。
「なんで動かなかったの?」って。
現実が何も変わらなかった時に、一番後悔するのは自分だって、
ハッキリわかった。
ちょうどその頃、
勤めていた会社が結婚相談所の事業をやっていて
母に背中を押されて入会を決めた。
「いい人がいたら、結婚しよう。いなかったら、大好きな人を一生想い続けよう」
そんな、ちょっとだけ覚悟とちょっとだけ諦めが混ざった気持ちだった。
私は、「結婚は大好きな人とじゃなきゃ意味がない」って思い込みすぎていたのかもしれない。
でも、実際に入会してみたら——意外と楽しかった(笑)
どんな人なんだろう?
どんな会話をしたら盛り上がるかな?
せっかくだから、まだ関東で行ったことのない場所をデート先に選んだり、私のルーツに触れる旅もしてみたり。
自分を知ってもらおうとする時間は、初めてのことに挑戦する時みたいにドキドキして、自分のこともちょっとずつ好きになれた。
年齢もバラバラで、20代から70代まで、いろんな人と出会った。
中には、「この人と結婚するかも」って予感した人もいた。
だけど、こっぴどく振られて、恥ずかしくて、でも今となってはそれすらもいい思い出。
「婚活は就活並みに頑張らないといけないよ」
なんて言われてたけど、私も、そして今の旦那さんも、わりと短期集中型だったと思う。
私は入会から6ヶ月で成婚。
旦那さんは、私との出会いが初めてのプレ交際で、そのまま退会を決めた。
そんな旦那さんと結婚を決めた理由は、ひとつ。
「こじれた恋愛の末に婚活を始めた」って、
素直に話せた唯一の人だったから。
他の人には話す気持ちになれなかったのに、
不思議と旦那さんには知っておいてほしいと思えた。
話しても、笑いもしないし、
馬鹿にもされなかった。
ただ、「そういうこともあるよね」って私の気持ちを受け止めてくれて、相手の立場に立った感想までくれた。
あぁ、この人は、
ちゃんと向き合ってくれる人なんだ。
そう思えた瞬間だった。
「大事な時にちゃんと向き合えないで何が夫婦だ!」
おはなを亡くした日、
友達が言ってくれたこの言葉が、私の中にずっと残っている。
私は今、
真っ直ぐに向き合える人と出会えたことに、
本当に感謝している。