掌編小説 占い師
オカルト好きの彼女の最新情報は、よく当たる「占い師」だった。
「今回はずいぶんとベタだね」
「まあ、そうなんだけど」
「だけどキミが言うんだから、きっとスゴいんだろうね」
「そーなの!だって、座ったとたんに『盲腸やってますね』って言ったのよ」
透視術か、確率論か。あるいは、ただの変態か。
しかし彼女が裸でなかったのであれば、あの原始的な盲腸の手術跡の存在など分かるはずがないのだ。
「だからアナタも見てもらおうよ」
「うん、僕の一体何を言い当てるのか楽しみだね」
そして、僕たちは占い師を訪れた。
「どうぞ、お座り下さい」
「彼女からスゴく当たると聞いたので、楽しみにしています」
占い師は、しばらく考え込んでいた。
もちろん、僕には盲腸跡はない。
「うーん、難しいね…」
彼女は目を輝かせて、占い師の答えを待っていた。
「人間だったらわかるんだけどねえ」
僕の顔を見つめる彼女が、明らかに興奮しているのが分かる。
「人間だったらって…人間ですよ、僕は」
確かにスゴい占い師かもしれないと、僕は少し後悔し始めていた。
「何、何、何?知りたーい!」
占い師はまっすぐに僕を見据えて、静かに言った。
「あなた、地球の人じゃないよね」
それは、僕にしか知り得ない事実だった。
「ほらー、ほらー、スゴいって言ったでしょう」
「そ、そうだね」
興奮冷めやらぬ彼女は、「宇宙人」が「占い師」に敗れたことを、まだ気が付いていなかった。
終
