
僕は問いを渡さない
僕は問いを人に渡さない
答えは自分の中にあるから
自分の中に深く潜って
その問いの輪郭を探す
そもそも問いに
答えなんかなくて
その時々で答えも
変わってしまうから
その人の その人だけの答えなんて
僕にはとても見つけられないから
その人が その人だけの
自分の答えを見つけるしかないんだ
だから僕は問いを人には渡さない
答えは自分の中にあるから
僕の中だけじゃなく
その人の中に答えはあるから
だけど人の問いの中に
自分の問いを見つけることはある
人の答えの中に自分の新たな問いを
見つけてしまうこともある
そして自分の中に潜って
深く深く世界を感じる
全てが自分の中にあるなんて
そんな大それたことを言う気はなくて
それでも自分から出た問いならば
その答えは自分の中にあると思うから
僕は問いを人に渡さない
人から渡された問いですら
壊れないように慎重に扱う
そもそも問いはとても脆くて
すこしでも扱いを間違えると
すぐに形を変えてしまうから
形を変えずにその答えを渡す
丁寧に 繊細に
その人が何を言いたいのか
間違えて受け取らないように
問いの形は人それぞれで
尖っていて触ると痛いものや
柔らかいのに触れると冷たいもの
ぐにゃぐにゃと定まらないものや
弾むように吸い付いてくるもの
触れようとした瞬間に
飛び立って行くものさえあるから
そっと受け取って
形を変えずに中に入れて
それを崩さないように返す
僕にはそれがとても難しくて
だから僕は問いを人には渡さない
人からも受け取らない方が
きっといいとは思うんだけど