
最終話 祭囃子は押し入れから
第十三話 お祭りでまた会おう
「お祭りは浴衣を着て行こうね。」
ママが言うと、おばあちゃんは、紺色の浴衣と赤い金魚の模様の浴衣を畳に広げた。
「まぁ、かわいい。」
お姉ちゃんは、上機嫌だ。
二人はさっそく準備を始めた。
パパ、ママ、おばあちゃん、お姉ちゃん、ケンタ、五人で神社まで歩いていく。
夜道の暗い中に、赤い提灯に照らされただんじりがやってくる。
太鼓の音が勇ましく響き、周りを取り囲む人や、子どもたちもみんな嬉しそうにしていた。
ケンタは、だんじりの太鼓の音を聞きながら、鬼の世界のお祭りを思い出していた。
パパが、言った。
「ケンタ、かき氷でも食べようか?」
「うん。」
神社の参道の出店の途切れたところで、みんなで立ち止まった。
パパは、ビール、ママとおばあちゃんは、ラムネを飲む。
そして、ケンタとお姉ちゃんはかき氷を食べた。
「ねぇねぇ、あれ?」
お姉ちゃんは、そっと、ケンタをつついて神社の横手の木の方を指さした。
そこには、エンマ大王と赤鬼、青鬼が並んでいるのが見えた。
「あれ?鬼さん?」
ケンタがつぶやきながら、もう一度目を凝らすと、どうやらそれは木の影だったようだ。
でも、ケンタには、この世界と鬼たちの世界はつながっているように思えた。
スマートボールや、射的を楽しんだり、神社にお参りしたり。
いっぱい楽しんでおばあちゃんの家にもどった。
まだ、お姉ちゃんの検査があるから、もう少しみんなはおばあちゃんの家に泊まることになっている、とママは言った。
「でも、このまま検査結果が良かったら、秋には家に帰れるよ。」
パパは言った。
「お祭り、楽しかった。」
ケンタは言った。
「秋祭りも行けるかな?」
ママは少し考え込んで言った。
「その頃には家に帰ってるかな…」
すると、おばあちゃんが言った。
「もちろん、家に帰っている方がいいけど、お祭りにはまた来てほしいな。おいしいご飯を作って用意しておくから。」
みんなは顔を見合わせて笑った。
「お祭りには必ず遊びに来るからね!」
ケンタは言った。
鬼の世界のお祭りにも、また行ければいいな、そんな事を考えながら。
