暴言・ブーイングって実際どうなの?
こんにちは パン屋のおやぢです!
今日は少しまとまった時間が取れたので、ずっとどうなんだろうなと思っていたことにフォーカスして調べてみました。
それは、「選手に対するブーイングや暴言などがどう選手に影響するか」というもの。
先日、鳥栖戦に敗れたことで、Xに一部の方がブーイングや暴言は良くないと書き込んだ事で、それに対する反論や反論に対する反論などちょとカオスになったので丁度いいタイミングであったのかなと思います。
今回は、SNS上の書き込みではなく、アカデミックな論文をいくつか調査してそれらを纏めてみます。
まず、「サッカーにおいて、観客がブーイングなどネガティブな反応を示した場合とポジティブな反応を示した場合の選手に与える影響について考察した論文」を論文サイト等で探してみました。があまり見つかりませんでした。日本の論文ってあまりないのね。なので、海外の論文も含めて検索してみました。
まずは、
The Effects of Audience Behaviour on Football Players’ Performance(Paul Calleja | Adele Muscat | Andrew Decelis )
観客の行動がサッカー選手のパフォーマンスに与える影響
掲載誌:Journal of New Studies in Sport Management(2022年)
というのがあったので調べてみました。
研究目的
この研究は、マルタのサッカー選手(シニア代表6名・ユース代表6名)を対象に、観客の行動が試合中の心理状態とパフォーマンスにどのような影響を与えるかを調査したものです。
方法
半構造化インタビューを通じて、選手の主観的体験を収集
観客の応援・ブーイング・暴言などの行動が、選手の感情・集中力・プレッシャーに与える影響を分析
主な結論
ポジティブな応援は、選手のモチベーションと集中力を高める
ネガティブな行動(ブーイング・暴言)は、選手に強いプレッシャーと不安を与え、パフォーマンスを低下させる
シニア選手もユース選手も、観客の反応に敏感であり、心理的影響を強く受ける傾向がある
観客との「感情のやり取り」は、選手の行動に直接的な影響を与える
なるほど~ 提言としてこんなことも書いてあった。
ポジティブな観客行動を促すインセンティブの導入
ルール違反に対する制裁の強化
スタジアム内での啓発スローガンやプラカードの設置
人種差別や暴力などの社会的問題を抑制するための教育的戦略の必要性
この論文は、観客の行動が単なる「雰囲気」ではなく、選手の心理的安全性や競技力に直接影響することを明確に示しています。特に、敗戦時のブーイングや暴言は、選手の自己効力感や感情制御を著しく損なうことが強調されていると感じました。
では、べつの論文
Audience influences on athlete performances(B Strauss, C MacMahon)
観客がアスリートのパフォーマンスに与える影響
掲載誌:Routledge companion to sport and exercise psychology(2014年)
この論文は、サッカー限定ではないけれど、観客の存在とその行動がアスリートの心理的・行動的パフォーマンスにどのような影響を与えるかを、スポーツ心理学の観点から体系的に分析しています。
ブーイング・暴言の影響に関する詳細
論文内では、ネガティブな観客行動(ブーイング、罵声、皮肉など)が選手に与える影響について、以下のようなポイントが挙げられています:
社会的拒絶としての認識
ブーイングや暴言は、選手にとって「社会的拒絶」や「評価の否定」として受け取られる。
特に敗戦時やミスの直後に浴びる罵声は、選手の自己効力感(自分はできるという感覚)を著しく低下させる。
2.意思決定の質の低下
ネガティブな観客反応は、選手の「リスク回避傾向」を強める。
その結果、パスやシュートなどの選択が保守的になり、攻撃的なプレーが減少する。
一部の選手は「観客の反応を恐れて」本来の判断を変えてしまうことがある。
3.集中力の分散と感情的干渉
ブーイングは「外的注意の強制的シフト」を引き起こす。つまり、プレーへの集中が途切れ、観客の反応に意識が向いてしまう。
感情的な反応(怒り、羞恥、不安)が生じることで、プレーの精度や判断力が低下する。
4.個人差と経験の影響
若手選手や経験の浅い選手ほど、観客のネガティブな反応に敏感で、影響を受けやすい。
一方で、ベテラン選手や精神的に成熟した選手は、ある程度の耐性を持ち、影響を緩和できる場合もある。
補足的な理論モデル
社会的促進理論:観客の存在が「簡単な課題」にはプラスに働き、「複雑な課題」にはマイナスに働く傾向がある
観客が「評価者」として存在すると、選手は過度に自己意識を持ち、パフォーマンスが不安定になる
外部刺激(ブーイングなど)が注意を奪い、認知的リソースが分散されることでパフォーマンスが低下する
この論文は、観客のネガティブな反応が単なる「雰囲気」ではなく、選手の心理・認知・行動に具体的な影響を与えることを示しています。特に、敗戦時のブーイングは選手の回復力や次戦への意欲に長期的な悪影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしています。
やっぱり、ブーイングや暴言は良くないのかな?
次、これは厳密には学術論文ではありませんが参考になったので・・・
The Impact of Negative Spectator Behavior During Sporting Events
スポーツイベント中の観客のネガティブな行動の影響
概要
他の観客のネガティブな行動は他のファンの体験を損ない、次のような結果を招く可能性がある
妨害と注意散漫:乱暴な行為や乱暴な行動は、法を遵守する観客の試合の楽しみを妨げ、全体的な体験を損なう可能性がある
威圧感:攻撃的または対立的な行為を目撃した観客は、威圧感や不安を感じ、イベントの楽しい雰囲気が損なわれる可能性がある
疎外と無関心:否定的な行動が続くと、スポーツイベントで快適さや歓迎を感じなくなったファンや観客が離れてしまい、観客動員数やサポートの減少につながる可能性がある
次、これは選手が対象ではなく審判を対象にしたものですが、興味深いです。
The Impact of Verbal and Physical Abuse on Distress, Mental Health, and Intentions to Quit in Sports Officials
スポーツ審判に対する言語的および身体的虐待が、苦痛・メンタルヘルス・離職意向に与える影響
著者:Niamh Brick, Gavin Breslin, Mark Shevlin, Sharon Shannon
発表誌:Psychology of Sport and Exercise(Elsevier)
掲載年:2022年
DOI:10.1016/j.psychsport.2022.102208
対象:アイルランドのスポーツ審判(n=601)
観客・選手・コーチからの暴言・身体的暴力が、審判の心理的苦痛(distress)、メンタルヘルス(不安・抑うつ)、離職意向に与える影響を調査
結果
特に観客からの暴言経験は、強い心理的苦痛と離職意向に関連
若年層・女性・経験の浅い審判ほど影響を受けやすい
スポーツ現場における暴言対策の必要性を強調
審判を対象としていますが、観客からの暴言が「社会的拒絶」として強く作用し、心理的健康や職務継続意欲に深刻な影響を与えることを示しています。選手にも同様の影響があると推察されますね。
最後に
さて色々と見て来ましたが、参考になりましたでしょうか?
総じて暴言やブーイングは良い影響は及ぼさないようですね。
私も試合を見ながら、レフリー!と叫んでしまう時がありますが、以後気を付けたいと思います。
皆様の参考になれば・・・
