
記憶の陸標 2026年5月26日 火曜日
このあたりを訪れたのは久しぶりだ。最後に来てから三年は経つだろうか、五年は経っていないはずだ。かつて地形に抗わずに人が暮らし始めたのだろう、起伏のある街並みに特徴がある。
昭和の時代に栄えた住宅地の一つだ。この町には、平坦な土地に造成され昭和末期にニュータウンと呼ばれた地域があるが、そことは空間のありようが明確に違う。角度も高低差も幅も整然としない道と道の交わりが、方向感覚をじわりと狂わせる。
今日は目的があるのでスマホを頼りに移動するが、紙の地図ならば自分の位置がわからず、かなり難儀をするだろう。道のつながりを確かめるように、時間を掛けて歩いてみたい。
公園と向かい合う角地に、知った建物が残っている。外壁は塗り直されてはいるが、最近のようではない。草は刈られ車も停まっている。この建物の記憶は三年前のものではない。半世紀前からここにある。
このあたりを歩き回って迷っても、公園とこの建物を目指せば戻れそうだ。
ずいぶん昔、少年が二年ほど過ごした場所。
