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芋出し画像

緑の指、赫い玄束 9ç« 

     ただ慣れない、぀くり䞊げられた枅朔なにおい。
     いそいそずした足音は埐々に近づき、無機質なスラむドドアは勢いよく開いた。
    「シュカのお姉さん、すごいそっくりじゃない あんた、党然䌌おないなんお嘘぀いたわね。どう芋たっお品行方正になったシュカじゃない」
     ロビヌたで姉を芋送ったママは、い぀になく興奮した様子で蚀った。ここが個宀でなかったら盞圓迷惑な芋舞客だろう。私はベッドに暪たわったたた、姉が持っおきた芋舞いの品を眺めた。
     空枯で買い蟌んだずいう本はファッション誌からゎシップ週刊誌、さらには党囜ご圓地ゆるキャラ図鑑ず幅広く、圌女の気遣いが芋おずれた。
     䞀本のおくれ毛もなくひず぀に結われた髪も、母芪によく䌌たなで肩も、姉は十幎経っおも倉わっおいなかった。
     けれどあのころの翳りは、すっかり払拭されおいた。
     ――留孊先でそのたた就職しお、結婚もしたのよ。この子も産たれおくるし、い぀か柊人しゅうずも遊びに来おね。
     そう蚀われた瞬間、びっくりしおベッドから飛び䞊がった。この目にはただ芋えない、もうひず぀の新しい呜がすぐそこにある。
     傷口が開くでしょ ちゃんず寝おなさい ずママが叱っお、くすくす笑いながら姉が自身の腹を撫で、私は䞍謹慎にも刺されおよかったず思っおしたった。
    「ママ、ありがずう。私の知り合い党員にあたっお、姉さんに連絡しおくれたんでしょ」
    「たあね。さすがに身内に連絡しないわけにもいかないからね」
    「  姉さんが来おくれたのは、意倖だったな」
     䞡芪からの䞍平等の愛は、過剰に䞎えられたほうも、䞎えられなかったほうも苊しめた。
     私を憎んでいおもおかしくないはずの姉が、飛行機のチケットを手配しお、こうしおわざわざ病院たで芋舞いに来おくれたのは玠盎にうれしかった。
    「シュカ、なにか蚀った」
    「ううん。そうだ、頌んでたものだけど」
     蚀いかけるず、すらりずドアが開いお、看護垫さんが昌食のトレヌをテヌブルに眮いた。小鉢に添えられたしいたけを食べるず、じゅわっず甘じょっぱい出汁があふれお、矎蘭はこの内偎からあふれだす感じが苊手だず蚀っおたな、ずはじめお䌚った日を思いだした。
    「向こうはやっぱり瀺談にしたいみたいだけど、どうする぀もり」
     ふいにママが聞いお、私は頬を掻いた。
     あの倜、矎蘭から屋䞊にいるず知らせを受けた男は、右手にナむフを握りしめおやっおきた。
     矎蘭を睚み぀ける血走ったふた぀の県球。男は私のこずなどたったく気に留めずにナむフを振りかざし、矎蘭に襲いかかろうずした。
     私は男に飛びかかり、その手からナむフを奪おうず必死に手をのばしたけれど、どうしたっお䜓栌の差があった。そしお揉み合いになった末に腹を刺され、私は倒れた。
     やっず我に返ったのか、男はたるで自分が刺されたかのように悲鳎をあげお、あわおお屋䞊から逃げだした。
     男にずっお䞍運だったのは、ちょうどそのずきビルの䞋に、私を心配しおやっおきたママがいたこずだった。
     胞にべったりず赀いものを぀けお、目をぎょろぎょろさせながら倧きく肩で息をする男の姿を芋お、ママはすぐに理解した。そしお譊察に通報――ではなく、すさたじい勢いで男を投げ飛ばした。
     着物姿で倧男を投げ飛ばしたママに、呚囲は唖然ずし぀぀も、なんだかすごいぞ ず思ったのか酔った勢いなのか、倧きな拍手を送り、芳光客たちはクレむゞヌゞャパニヌズキモノりヌマン ず口笛を吹いた。
     そしお隒ぎに気づいた巡回䞭の譊察官が、男を逮捕した。
     たたたたその䞀郚始終を撮っおいた人がネットに動画をあげるず、みるみる拡散しおママはすっかり有名人になり、䞉号店も倢じゃないわね、ず笑う。ママが柔道の元囜䜓遞手だったこずを、私はすっかり忘れおいた。 
     そんなふうに男がすぐに捕たったからよかったものの、もしそのたた逃げられたり、私を刺したあずに矎蘭も刺しおいたり、ママがやり返されおいたらず考えるず、ぞっずする。
     ずにかく、あの男が私を刺したこずには間違いなかった。
     けれど、もずもずは矎蘭が仕掛けおいた  ずいうのも語匊があるけれど、『そうなるずわかっおいたこず』ではある。もちろん、別れを切りだした恋人に殺意を抱き、それを実行するような奎を野攟しにはしたくないけれど。
     これからどうするかな、ず里芋を぀぀いおいるず
    「こないだ来たずきに頌たれたもの、買っおきたわよ」
     ママが手のひらほどの玙袋を差しだした。封を開けお、刻たれた文字を確認する。
    「もう少しめずらしい苗字に生たれおみたかったなあ」
     がやく私にママはため息を぀いお、窓の倖を眺める。
    「苗字なんおなんだっおいいでしょう、死なずにすんだんだから。それより矎蘭ちゃん、いったい今床はどこに行っちゃったんだか  」
     病院に運ばれた私が意識を取り戻すず、぀き添っおいたはずの矎蘭は姿を消しおいた。
     救急車が到着するたでの間、ごめんなさいごめんなさいず泣きじゃくる矎蘭は、腹にナむフの刺さった私よりもずっず苊しそうで、私は赀く染たった小指を差しだしお蚀った。

     ――私の誕生日っお、じ぀はみどりの日なの。玄束、ぜったいに忘れないでよね。

     矎蘭はいた、どこにいる
     その答えは、わからない。だけど赀い指で亀わした玄束は、きっず倧䞈倫。
     私は手のひらに印鑑を抌しお、ぎゅっず握った。わずかに開いた扉から、䞀筋の光が差し蟌んだ。


    了

     
     
    名前を倉えよう⇔倉えない そろそろ敎理しよう⇔あちこちで投皿 ※ 小説内の文章、画像などの無断匕甚・転茉犁止

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