
〜悩んで半年、それだけ歳をとる〜
「4月11日」という響きにワクワクとドキドキが止まらない。昨夜はまるで遠足前の小学生みたいにソワソワして寝不足。でも眠さはまったく無い。今日は新しい相棒を迎える日なのだ。
思い起こせば数ヶ月前、「土の上を走りたい」という病がワタシの心身を蝕んだ。
初期症状としては、暇さえあればネットでオフロードバイクの中古販売価格はいくらぐらいかなぁ〜と調べている。
駐輪しているオフロードバイクに吸い寄せられる。
オフロードバイク乗りを見つけると、思わず積極的にヤエー(バイク乗り同士のコミュニケーション)をする。
乗り方の動画を寝る前に必ず観るようになり、バイク屋をハシゴする。
バイクにさほど興味がない職場のスタッフに「災害時に役に立つのだ」とオフロードバイクの必要性を力説する始末。
これはもう末期症状だと断言できる。
このままではイケナイ。いつものパターンだ。何か治療法はないかと考えること数分……。
名案を閃いた。
「オフロードバイクを借りよう」
早速調べてみると、和歌山市にある「メンテナンスショップS5」さんにたどり着いた。バイクをレンタルすると、S5さんが運営しているイズミーランドという専用オフロードコースで遊ばせて……いや、治療してもらえる。
これは我ながら名案。素晴らしい治療方針のように思えた。
草木と土泥の匂い。オフロードバイクと一体となる感覚。
バイク操作は難しい。しかし、想像以上に楽しい。
もっとバイクとひとつになりたい——そんな挑戦心が自然と燃え上がる。
遊び倒した後に汗だくになりながら、イズミーランド管理者さんに鼻息荒くこう言ってしまった。
「楽しすぎます」
「オフロードバイク欲しいです」
とはいえ、ワタシの財力に当然余裕があるわけでもない。コンビニでアイスを買うのとは訳が違うのだ。
オーナーが優しく呟いた。
「20代のお客さんにはね、お金を貯めて余裕ができてからでも遅くないって言うんだけど……その白ヒゲ、どう見ても20代じゃないですよね。悩んで半年遅らせたら、それだけ歳をとるということですよ」
その夜、スマホ片手に本気で探し始める。
たどり着いたのが大阪府堺市の「GARAGE I(ガレージ アイ)」さん。
とても状態が良く、しかも新品オフロードタイヤを履いたSEROW 250。
——即決。
そして晴天の本日、納車に至った。
治療は完全に逆効果に終わった。しかし後悔は微塵もない。
「悩んで半年遅らせたら、それだけ歳をとる」——オーナーの言葉が今も耳に残っている。
さて、このSEROW250。どの山に連れ出そうか。
もうひとりの相棒、Royal Enfield Continental GT650がヤキモチを妬かない程度に。
(おわり)