しっぽん便。
少し前、
「しっぽん、ただいま実験中。」
と書きました。
何を実験していたのかというと——
こんなものをつくっていました。

名前は、
「しっぽん便」。
そして最初の一枚には、
000という番号をつけました。
宮古島で暮らすしっぽんの写真と、
ほんの少しの言葉。
それを一枚の紙にして、
誰かのポストへ届けてみたい。
最初は、それくらいのひらめきでした。
でも、つくっているうちに考えました。
どうして、わざわざ紙なんだろう。
南の島の景色なら、
スマホを開けばいくらでも見ることができます。
海も、空も、猫も。
きれいな写真は、毎日のように流れてきます。
でも、スマホでどんな景色を見ても、
指先に触れているのは、いつものスマホです。
しっぽん便は、少し違います。
ポストに届いた封筒を開けて、
一枚の紙を手に取る。
その手触りから、
もう南の島が始まっている。
ほんの少し、
しっぽんに触れたような。
だから、紙にもこだわりました。
何種類か実際に印刷して、
触って、眺めて。

最後に残ったのは、
少しざらりとした手触りのある紙。
そして紙には、もうひとつできることがあります。
そこに、いられること。
本棚に立ててもいい。
机の端に置いてもいい。
冷蔵庫に貼ってもいい。
スマホの画面のように、
次の投稿に押し流されることもありません。
一週間後でも、半年後でも。
ふと目に入ったとき、
「この向こうには、どんな景色があるんだろう」
と、ほんの少し想像してみる。
しっぽん便は、そんな時間を一緒に届けられたらと思っています。
絵本にも、
ページの外側を想像する楽しさがあります。
でも、いつか最後のページがやってきます。
しっぽん便には、
たぶん最後のページがありません。
001の次には002があって、
その先にも、しっぽんの暮らしは続いていく。
雨の日もある。
庭で寝ている日もある。
風の強い日も、
なんでもない夕方もある。
宮古島だからといって、
毎日きれいな海を眺めているわけでもありません。
そんな、
しっぽんのまわりにある、南の島の暮らし。
その一片を、一枚ずつ。
そこから何を感じるかは、
受け取った人のものです。
そしてもうひとつ。
今は、いろんなものが流れていきます。
写真も。
言葉も。
誰かに送ったコメントさえも。
たくさんのものとつながれるようになった代わりに、
立ち止まっていると、どんどん先へ行ってしまいます。
だから、月に一度くらい。
流れないものがあってもいい。
届いた日に返事をしなくてもいい。
数日後でもいいし、
返事をしなくたっていい。
もし何か伝えたくなったら、
「しっぽんに、へんじする。」
そんな小さな入口もつくりました。
急がなくていい。
流れていかなくていい。
そんな時間のほうが、
今はちょっと贅沢なのかもしれません。
000をつくって、
紙を選んで、
届け方を考えて。
ずいぶん小さな実験を重ねました。
そして今、
しっぽん便001ができました。
001から先のしっぽん便は、
ここでは公開しないことにします。
届いた人だけが見る、一枚。
そして、そこからどんな返事が届くのか。
NONたちにも、まだわかりません。
000は、ここから。
001からは、
誰かのところへ。
にゃふっ🐾
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