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つちのこを探して

    我が家はかれこれ、つちのこを探して、3年目となる。

    事の発端は、息子がUMAにハマったこと。うま、じゃない、ゆーまだ。

    当時我が家では、わけのわからない奇獣たちが掲載された似たような本を片っ端から買わされれていた。同じ内容だろ?と聞くと、違うと言い張る。
    園児の頃も、同じようにカブトムシとクワガタの同じような本をしこたま買わされた。つらい。

    とはいえ、親としては子どもの好きを応援し、体験系も重視するタイプだったので、ほんの出来心で「つちのこ探そうか」と検索した。しまった。あった。しかも県内に。さらに懸賞金1億円までついてくる。

    申し込みを済ませた私と息子は、もうUMAの話はしていなかった。一億円の使い道を考えるので忙しかったのだ。

    ということで、つちのこの目撃例の多い糸魚川の「つちのこ探検隊」に参加した。3年前である。

    申し込みは限定100名。息子みたいな子どもたちがいるのかなと現地に出向くと、東京からの親子と、息子以外、みんな立派な大人が100名ほどいた。

    文字通り、立派な。議員、経営者、市の職員などなど、まさにご立派な方々だった。なんでやねん。

    そして、どうやらこの大人たちは、本当に、つちのこをさがしてる。

    話を聞くと、身近な親類や友人がつちのこの目撃者だったのだ。しかも発見場所は、一ヶ所にとどまらない。目撃談の情景は目に浮かぶようで、私も軽率に「それは探さねば」と思ってしまった。

    仮に、村一番のほらふきが、そんなことをいったところで、こんなに社会的に私よりも立派な人たちが動くわけがない。

    真面目に生きてきて、山が好きで、山の仕事をしたり、山菜を取りに来た人が見たと話しているのだ。ほらをふいても一銭の得にもならない。

    そして、すごいのが地元企業。「じゃあ探そうぜ」と実際に懸賞金をかけてスポンサーになっている。チラシには企業名もついている。しかも1億円。

    全く、意味不明である。なんでやねん。

    そうして集まった私たちは、山の中に消えていった。探検隊なんてポップな名前がついているが、登山とも違う過酷さがこの探検にはある。

    過酷すぎて、未就学児が参加禁止だ。
    地元の小学校も参加を打診したが、過酷すぎて違うルートを提案してくれと要請があったらしい。マジでウケる。

    もちろん、目的はあくまでつちのこを探すこと。参加する大人の中には、ドローンや、トランシーバー、監視カメラの設置を行うガチ勢もいる。最高やん。

    ただ、前半は、山道ではなく、本当の斜面を登りながら捜索する。道なんてない。藪だ。

    ただ、私は気になっていた。ご婦人の参加者も多い。百歩譲って、メンズは永遠の少年メンタルでこの藪をかき分けられると思う。

    なぜご婦人たちがたくさんいるの?

    答えは、藪の中ででた。山菜だ。蕨があちらこちらに「今取り時ですよへへへ」みたいな顔で生えている。

    これか。案の定、つちのこ発見ポイントに着くころには束の山菜を片手に斜面を登ってきた猛者たちがいい顔をしている。

    つちのこ発見ポイントでしかけた罠を確認し、最終的に池や滝の望めるスポットまで歩く。3時間ほどの、本気捜索。

    ワクワク。山菜。絶景。疲労。山菜。近道。イノシシの寝床。山菜。カエル。トンボ。山の斜面。坂。疲労。坂。疲労。坂。

    下山していただくお昼のおにぎりとお汁と、山菜が最高だ。

    うん。たのしい。

    そんなこんなでできた、つちのこを探すゆかいな仲間たちとの付き合いも3年になる。年に1,2度会うだけだが、心がつながっている気がする。

    今年は白川郷にもつちのこを探しに行って、糸魚川にも3度目の参加を果たした。

    捜索も20年を超え「そろそろ1億円をはらって終わらせてくれ!もう80歳なんだ!」と切実に叫ぶ隊長の締めの言葉に息子がかぶせて「来年もきまーす!」と叫んだ。

    我が家のつちのこ探しは、つづく。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    恋愛&結婚コラムライター。観光系の記事も量産中。 マイナビウーマンで恋愛コラムニスト、ブックライター、チラシやSNS運営。 雑食恋愛ジャンキーから、結婚して仕事も雑食でしぶとく生きています。 こちらでは好きに10分で書くコラムを書いてるよん。

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