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Photo byvoice_miwa0401

狐の肝煎り

    のほ

    "狐の肝煎り"という名の銀杏を食べたことがあるだろうか
    いちょう並木が美しい狐里村の名産品である

    なぜそんな名称なのか?
    諸説ある中のひとつを紹介したい

    むかし……
    狐里村では、滋養に良いと言われる狐の肝を煎って食す風習があった
    ついでに毛皮を襟巻きにしたりもする

    ある日、狐里村を訪れた若者は"狐の肝煎り"を知り、憂いた
    こんなことをしていれば、村人達はそのうちエキノコックス症になってしまうかもしれない

    この村にふんだんにあるいちょうの木
    いちょうの実は狐の肝に似ていることに気が付いた若者は、実を煎り、
    "狐の肝煎り"と銘打って販売を開始した
    銀杏は、強い抗酸化作用があり免疫力も向上する

    口コミで噂は広がり、狐を狩る手間もなくなり
    売れ行きが好調になったころ、美しい女性が手伝いを申し出て来た
    しばらく村に滞在していたものの、若者は知らない女性だった
    山の奥に暮らし、足が悪いので村にはほとんど出てこないから、
    と彼女は説明した

    自分一人では回らなくなっていたので、若者は歓迎し
    二人で"狐の肝煎り"銀杏を、煎っては販売するうち、
    若者は彼女のひたむきな姿に惹かれて恋をした

    美しいいちょうに囲まれたこの村で、生涯を終えるのも悪くないと
    若者は彼女に求婚した
    足が悪いこと、この村から出ることはないこと、を理由に彼女は固辞した
    若者にとっては想定内、いつまでも待つつもりだった

    そんなある日、狐の襟巻きはしていないものの、長老の風格を持つおばあさんがやって来た
    やはり若者は見かけたことがなかった
    おばあさんは、彼女が自分の娘であること、足は罠にかかりかけた際のけがが原因であること、自分達は狐族であることを話した
    絶滅の危機を救ってくれた若者に感謝し、娘が自ら手伝いに赴いたのだと…

    若者は…彼女が狐だと気付いていた
    銀杏を煎っている姿の影は、狐だったから…

    昔から狐は人間を騙すらしい
    若者は風呂に入ったつもりが肥溜めだった、
    ってのは絶対にいやだったので、村に入る際は充分に警戒していた
    だが、彼女は真摯でひたむきで、人間が忘れてしまっていることを
    思い出させてくれたような気さえする

    たとえ種族が違っても、彼女と添い遂げるのも悪くない、
    覚悟して求婚したのだと…
    正直に話す若者に、母娘狐は涙を流し、種族を超える決意をした

    宵闇に浮かぶ、黄色に光るいちょうの樹々に見守られ、彼女は若者に嫁いだ
    いちょうの樹々の向こうで、長老おばあさんを中心に狐族も見守る
    日中、しのついていた雨は、その時きれいに晴れて、
    無数の星々までもが、祝うかのようにまたたいていた

    天気雨が"狐の嫁入り"と言われるのは、またのちの話である


    おしまい
    もちろん、ホラバナですので、よしなに…

    🙅銀杏は、食べ過ぎると中毒を起こすようです。ご注意くださいね。
    📝見出し画像は、優谷美和様の作品です。ありがとうございます。


    画像
    優谷さんの"狐の豆いり"画像に惚れて🤭
    作ったホラバナです😆



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    都合良く年寄りぶるのを目指す、60代です🤭🤭🤭 どうぞ、ご贔屓に🧕

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