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偏平足和紙 #毎週ショートショートnote

    五条咲夜(北海道reamer)

    その和紙は、ただの紙ではなかった。
    足に貼ると、なんと土踏まずがよみがえるという。
    名は「偏平足和紙」。
    江戸時代、将軍の足の疲れを癒やすために作られた、幻の和紙らしい。
    素材はコウゾとミョウバン、そして謎の足ツボ配列が、刷り込まれているという。
    俺は偏平足歴30年。
    ついに見つけた救世主に飛びついた。
    使い方は簡単。
    足裏にペタッと貼って、正座して三回唱える。
    「弓なりの御足、戻り給え、戻り給え、戻り給え……」
    ……数分後、なんと土踏まずが! 少しだけアーチを描く!
    感動して走り回ったが、紙がふやけて一瞬で終了。
    しかも翌朝、土踏まずに「未完にて候」の文字がうっすら転写されていた。
    販売元に確認してみると、どうやらこれ、江戸時代の“足フェチ浮世絵師”のいたずらの発明だったらしい。
    効くけど効かない、ありがた迷惑な偏平足和紙。
    それでも、俺は今日も、偏平足和紙を財布にしまって歩く。
    俺の土踏まずに「成り申した」の文字が転写される時まで……。

    (410字)

    たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました!


     
     
     
    音楽も物語も、すべては“好き”からはじまる。 北の空の下から届けます。 ——雑食系クリエイティブブログ、はじまります。

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