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【高校野球怪談】 #毎週ショートショートnote

    五条咲夜(北海道reamer)

    甲子園を目指す野球部には、妙な噂があった。

    「夜中の二時、誰もいないグラウンドで素振りすると、幽霊のコーチが現れる」

    しかも指導は的確で、教わった選手は必ず打率が上がるという。

    万年補欠の俺は、藁にもすがる思いで夜のグラウンドへ向かった。

    二時ちょうど。

    「お願いします!」

    百回目の素振りを終えた瞬間、背後から声がした。

    「腰が高い!」

    振り返ると、ユニフォーム姿の青白い男が立っていた。

    「バットは最短距離! 脇を締めろ!」

    怖い。でも、めちゃくちゃ分かりやすい。

    それから毎晩、幽霊コーチの特訓を受けた。

    一週間後、俺は練習試合で三安打。

    監督も驚き、ついにレギュラー入りが決まった。

    嬉しくて、その夜もグラウンドへ走った。

    「コーチ! 俺、レギュラーになりました!」

    すると幽霊は涙を流した。

    「よかった……これで成仏できる」

    身体が透け始める。

    「待ってください! 最後に名前を!」

    幽霊は微笑んだ。

    「名前なんてないさ」

    「え?」

    「俺、野球部の幽霊部員だったから」

    翌日から、俺の打率は急降下した。

    やっぱり幽霊でも、部活はちゃんと出たほうがいい。

    (456字)

    たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました!

     
     
     
    音楽も物語も、すべては“好き”からはじまる。 北の空の下から届けます。 ——雑食系クリエイティブブログ、はじまります。

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