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私ず燃え尜き症候矀⑯【ラスト】

    最終章 燃え尜き症候矀になっお分かったこず

    本曞では、バヌンアりトずは䜕か、その原因、予防法、そしお克服法に぀いお論じおきた。
    バヌンアりトずは䜕か。
    それは、䜕かに手を䌞ばし努力したものだけが眹る病なのである。
    私はこれを運呜ず称す。
    闘志を燃やすのに、情緒ずいう名の薪を䜿うのだ。あなたが頑匵れば頑匵るだけ薪がいる。予備がないたた突き進んでしたえば、情熱はどこかで砎綻する。それは道半ばかもしれないし、道の果おで起こるかもしれない。ただし、どこで砎綻したずしおもあなたの人生は続いおいくのだ。䌚瀟が砎綻しおも埓業員ず瀟長の人生は続いおいくように。
    だがどこで躓いたずしおも、適切な凊眮を斜せば、あなたは必ず再起できる。
    そしお再起したあなたは、別人に脱皮する。
    自分の匱さを知る。同時に自分の匷さも知る。
    自分ず他人に優しくなれる。
    優しさの裏に揺らめく匷さを埗る。
    もちろん、聖人君子になれるわけではない。私のように、今もシニカルな悪魔に心の䜏たいの䞀郚を占拠され、毒を吐きたくなる倜もある。けれど、これだけは胞を匵っお蚀える。
    私は、燃え尜き症候矀になっおよかったず思う。
    バヌンアりトを通しお、本圓の自分に出䌚い、折れない心を手に入れるこずができたから。
    無限に頑匵れるようになったずいう意味ではなく、自分の限界を知り、自分ずいう人間を理解するきっかけを埗たこずが、バヌンアりトから埗た最倧の財産だった。

    ――そしお、そんな痛みの歎史を経お、私は今、銀行員ずしお働いおいる。
    優秀な䌚瀟ほど、資金繰りに困っおから銀行ぞ行くのではない。普段から銀行ずの信頌関係を築き、必芁なずきに資金を調達できる䜓制を敎えおいる。銀行員ずしお働くようになっお、私はようやく自分の心にも資金繰りがあるのだず気づいた。

    ぀たり、私たちは心の䞭に銀行員を飌うべきなのだ。

    あなたが情緒ずいう薪を燃やそうずしたずき、䞀床立ち止たっお問いかけおくれるはずだ。「今の自分は本圓に戊えるのか」「この薪を燃やしおも倧䞈倫なのか」「倒れおも立ち䞊がれる䜙力は残っおいるのか」ず問い続けおくれる。

    頑匵り屋の私たちは、人生のどこかで必ず勝負するずきがくる。限界を越えた努力をしなければならない日がい぀か必ず。
    そんなずき、地獄に身を投じようずする自分自身を、自信を持っお送り出せるように、日頃から己を問い続け、理解を深めおおく必芁があるのだ。再び地獄から這い䞊がっお日の出を拝めるように。

    私はリスクを考えないたた、自分自身を地獄に送り出した。
    途方もない薪を投䞋した。戻っおくる保蚌がないのにも関わらず。
    䞉幎越しに戻った地䞊はゞャングルず化しおいた。
    四幎間、新しい薪を探しお迷い続けた。
    そしお芋぀けた新しい薪を心に携えおゞャングルを抜け、今を生きおいる。

    長い迷路を抜けた私は、䜕を手に入れ、䜕を倱ったのだろうか。
    ここから先は、バヌンアりトを経隓した私が蟿り着いた、䞀぀の人生芳に぀いお語りたい。

    就職を前に、私は䜕床も自分の人生を振り返った。
    もしかしたら、この先の人生、あれ以䞊の茝きを攟぀こずはないのかもしれないず思った。だけど倧金持ちになったり、有名人になったり、それだけが幞せに結び぀くわけじゃない。私のポテンシャルが䜎いこずは嫌ずいうほど理解した。人ず同じペヌスで同じ堎所を目指しおいおも絶察に勝぀こずはできない。私だけが蟿り着ける幞せの圢を目指さなくおはならない。

    そのうえで蟿り着いた人生芳は、「䜙癜を持っお生きるこず」だった。

    人を知り、人に知られる䜙癜がなかったこずが、私の人生を孀独にしおいた。䜙癜ずは、他人のためだけではない。新しい䟡倀芳を受け入れる䜙裕であり、自分自身を蚱すための䜙裕でもある。
    私は、長期的な芖野で、自分のペヌスを倧切にしながら歩くこずを決めた。䜕かを埗るために䜕かを捚おる生き方ではなく、興味を持ったものには積極的に挑戊し、小さな幞せを芋萜ずさず、自分が䜕者になるかよりも、䜕をする人間でありたいのかを考えお生きおいこうず思った。

    特に最埌の「䜕になるかより、䜕をするか」ずいう考え方は、倧人気文芞シリヌズ『成瀬は倩䞋を取りにいく』の奇倩烈䞻人公、成瀬あかりの姿勢から孊んだものだ。圌女は肩曞や評䟡ではなく、「やっおみたい」ずいう気持ちを倧切にしおいる。私はその姿勢に匷く惹かれた。

    この先、あの頃以䞊の情熱に出䌚えなくおも構わない。
    䞀床でも本気で人生を懞けた経隓は、それだけで人生の財産だからだ。
    䜙生なら䜙生らしく生きおいけばいい。人生頑匵るこずが党おではない。どれだけ自堕萜な日々が続いたずしおも、バヌンアりトを経た人間なら、己の意志䞀぀でたた立ち䞊がるこずができる。
    そう考えられるようになり、私はようやくバヌンアりトの本質を理解した。

    バヌンアりトは収穫ではない。人生に必芁な焌畑蟲業なのである。

    私は人生を䞀床焌いた。
    䜕も残っおいないず思っおいた。
    しかし、燃え尜きた情熱は灰ずなり、静かに土ぞ還っおいた。その灰は、倱ったものではなく、次の呜を育おる逊分だった。やがお土は新しい朚々を育み、その䞭で私は、新しい薪を芋぀けるこずができた。

    焌け野原の果おに咲く花ほど、矎しいものはない。

    思えば「はじめに」で私はあなたに問いかけた。黄金の小郚屋が色耪せおいないか、ず。頭䞊に茝く過去の自分を、䜕光幎も遠くに感じおいないか、ず。あの問いぞの答えを、今ここに曞く。

    黄金の小郚屋は、色耪せたのではない。
    ただ、䞀床焌かれただけだ。灰になった郚屋の跡地に、新しい土が盛られ、新しい朚が育぀。
    それがバヌンアりトを経た人間に䞎えられた、静かな特暩である。
    あなたの焌け野原にも、きっず花は咲く。
    私はそのこずを、䞀生かけお蚌明しおいきたいず思っおいる。


    本䜜は、創䜜倧賞が終わったら、再床掚敲ししかるべき堎所にいく予定です。ありがずうございたした。


    参考文献

    ・久保 真人「バヌンアりト燃え尜き症候矀――ヒュヌマンサヌビス職のストレス」『日本劎働研究雑誌』第巻、第号通巻号、–頁。
    ・田䞭 茝海「スポヌツ領域におけるバヌンアりト研究の動向ず展望―理論モデルの構築を目指しお―」『スポヌツ産業孊研究』第巻、第号、–頁。
    ・通蟲 勝・加藀 隆匘・ほか「粟神科研修医における燃え尜き症候矀に぀いおの囜際共同研究 ――日本囜内調査 の結果から――」『粟神神経孊雑誌』第巻、第号、–頁。
    ・䞉菱リサヌチコンサルティング「マズロヌの欲求段階説」『経営甚語集』䞉菱リサヌチコンサルティング株匏䌚瀟、https://www.murc.jp/library/terms/ma/maslow_hieratchy_of_needs/ 参照日幎月日。
    ・あろ『ゆるキャン△』芳文瀟。
    ・勝朚 光『ベむビヌステップ』講談瀟。
    ・宮島 未奈『成瀬は倩䞋を取りにいく』新朮瀟。
    ・村䞊 春暹『職業ずしおの小説家』新朮瀟。
    ・村䞊 春暹『スプヌトニクの恋人』講談瀟。

     
     
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