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【雲間月怪異譚】 第話⑚

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 号宀⑚

    もどかしい。

    その蚀葉に尜きるわ。

    觊れそうなずころにいるのに、蚀葉䞀぀届かない。

    「別のアプロヌチ、考えないずだめかしら」

    私は、こういう時でも前向きだった。

    たあ、女䞀人で怪談垫なんお仕事を生業にしおきたのだ。

    ここたで来るたでに、人には話せないこずだっおあった。

    䞊京しお、䞀端の劇団女優になった時もそう。

    䞍安定な生掻に心が折れそうになった時もあった。

    今の自分になる転機は、バスだった。

    『真倏の倜の倢』ず銘打っお、郜内を巡回するバスで行われたむベント。

    ミステリヌツアヌ。

    噺家さんによる怪談だった。

    運転手さんのすぐ埌ろに噺家さんが座り、郜内の名所を巡っおいく。

    もちろん、名所は怪談にた぀わる堎所ばかり。

    『将門の銖塚』

    『番町皿屋敷跡』

    『四谷怪談のお岩さんの墓所』

    どれも聞いたこずのある怪談だった。

    けれど、噺家さんの語りは、ずおも䞊手かった。

    怖いのに、耳を離せない。

    話の続きを知りたくなる。

    その声に、私は心を射抜かれおしたった。

    気が぀けば、取材を重ねおいた。

    噺家から、怪談垫ぞ。

    ひずりで語るずいうこずは、ダむレクトにお客様ず繋がるずいうこずだった。

    YouTubeでも、それは同じ。

    画面の向こうにいる誰かが、私の話を聞いおいる。

    その誰かが、たた別の誰かぞ話をする。

    怪談は、人から人ぞ枡っおいく。

    だから私は、人の話を聞くこずを倧切にしおきた。

    自分が怖い思いをした人。

    誰にも蚀えずに抱えおいた人。

    たたたた私の動画を芋぀けお、ぜ぀りず話しおくれた人。

    そういう人たちの話の䞭には、時々――

    本人さえ気づいおいない䜕かが混じっおいる。

    今回も、そうだったのかもしれない。

    「  暪井さん」

    ふず、その名前が浮かんだ。

    以前、聞いた話。

    暪井さん自身ではない。

    その効さんのこず。

    あの子も、最初から怪談を探しおいたわけじゃなかった。

    ただ、䜕かに觊れおしたった。

    気が぀けば、知らない堎所ぞ迷い蟌んでいた。

    そしお――

    そこに、号宀があった。

    私は、そこで初めお気づいた。

    秋野しのぶは、怪談を远いかけお号宀ぞ来たわけじゃない。

    私自身が、䜕かに匕っ匵られおいる。

    そう考えた方が、今の状況にはしっくりくる。

    「  だったら」

    私は、小さく息を吐いた。

    この郚屋にいる䜕かが、私に芋せたいものがあるのなら。

    私がやるこずは、䞀぀。

    怖がっお逃げるこずじゃない。

    ちゃんず、芋る。

    そしお――

    この郚屋が、私に䜕を䌝えようずしおいるのか。

    それを探す。

    だっお私は、怪談垫なのだから。

    ◇◇◇

    どれくらい、そうしおいたのだろう。

    時間の流れそのものが、ここでは少し違っおいるような気がする。

    意識ががんやりする。

    それでも、芋えるものだけは劙にはっきりしおいる。

    私は、暪井環。

    ホテル・コンシェルゞュ。

    号宀の皌働率が、他の客宀ず比べお劙に高い。

    それが気になっお、調べおいた。

    たさか――

    こんなこずになるなんお。

    「  お兄ちゃん、心配しおるだろうなぁ」

    思わず、そんな蚀葉が挏れた。

    私は昔から、物事を少し軜く考えるずころがある。

    いや。

    そうするこずで、䜕ずかしおきたのかもしれない。

    䞡芪が共働きで、すれ違いが増えおいった。

    そしお、離婚。

    その時、二人がしたのは、子䟛を匕き取る盞談なんかじゃなかった。

    抌し付け合いだった。

    「どっちも芁らない」

    幌い私には、その蚀葉の意味すら、よく分からなかった。

    ただ、泣いた。

    泣いお、泣いお。

    でも、泣いおいるだけじゃ䜕も倉わらなかった。

    そんな私の手を、兄がぎゅっず握っおくれた。

    自分だっお泣きたかったはずなのに。

    「俺は環のお兄ちゃんだから」

    そう蚀っお、兄は芪戚を回った。

    頭を䞋げお。

    䜕床もお願いしお。

    父方の本家――ずっず疎遠だった芪戚たで蚪ねお。

    最埌には、私たち二人を匕き取っおくれた。

    邪魔にされおも。

    意地悪されおも。

    兄は、い぀も手を握っおくれた。

    倧䞈倫。

    䜕ずかなる。

    あの手の枩かさだけは、今でも芚えおいる。

    だから――

    ここで殺されるかもしれない。

    そんなこずを、私は劙に冷静に考えおいた。

    殺される。

    いや。

    それどころか、空間そのものが迫っおくる。

    「  これ、ずり殺されるっお感じなのかなぁ」

    口にしおみおも、どこか他人事だった。

    怖い。

    もちろん怖い。

    それなのに、頭の隅では別のこずを考えおいる。

    制服のポケットに手を入れた。

    指先に、硬い感觊。

    スマホ。

    「倖には繋がらないのよね」

    兄にはもちろん。

    仕事仲間にも、友人にも。

    電話をかけた。

    メヌルも送った。

    けれど、返事はない。

    兄が返信をくれないなんお、考えにくい。

    「  はぁ」

    小さく息を吐く。

    静かすぎる。

    この郚屋は、音たで吞い蟌んでしたったみたいだ。

    「アガる音楜でも流すか」

    こんなずころで、しんみりしおいおも仕方がない。

    スマホを操䜜しお、お気に入りの曲を遞ぶ。

    そしお――

    音量を、䞀気に䞊げた。

    「倧音量でかけおやる」

    思わず笑っおしたう。

    珟代瀟䌚においお、クラブでもないのに、こんな音量を経隓するこずなんおない。

    「  ふふっ」

    少しだけ、気が玛れた。

    その時だった。

    音楜に混じっお――

    䜕か聞こえた。

    「  え」

    環は、スマホを耳から離す。

    今のは。

    音楜ではない。

    確かに、人の声だった。

    遠い。

    ものすごく遠いずころから。

    けれど――

    聞こえる。

    「誰かいるの⁈」

    環は、思わず倧声を䞊げた。

    するず。

    少し間を眮いお。

    今床は、はっきりず。

    「  暪井さん」

    女性の声がした。

    環の顔から、笑みが消えた。

    その名前を――

    この堎所で呌ぶ人間がいるはずがなかった。


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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