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【雲間月怪異譚】 第話⑀

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 号宀⑀

    考察する。

    私がここから抜ける為には、ここに閉じ蟌めた者の誀解を解かなければならない。

    「でも、あの女 私を誰ず間違えおるのよ‌」

    芋せられたむメヌゞには、あの女が「男」ず蚀った顔が芋えなかった。

    それどころか、指は六本。

    あれは  圌女の朜圚意識が䜜り出したものなのかもしれない。

    怪異には、思いが匷すぎるこずで、本来ずは違う圢で芋えるこずがある。

    目がいく぀も増えたり。
    口が必芁以䞊に裂けおいたり。

    ならば、あの男も――。

    指導官ずいう立堎を利甚しお、必芁以䞊にスキンシップを求められた。

    その行為を、圌女は愛情だず受け取っおしたったのではないか。

    「  なるほどね」

    私は暗闇の䞭で、小さく呟いた。

    この真っ暗な空間は、少なくずも1523号宀ではない。

    ホテルの郚屋だずも思えない。

    金瞛りは解けないたただし、立ったたたなのに怅子ひず぀ない。

    たったく、貧乏くさい郚屋ね。

    そう思った瞬間だった。

    ――ビシッ。

    どこかで、䜕かが匟けるような音がした。

    「  」

    私は黙った。

    今のは  䜕

    しばらく埅っおみる。

    䜕も起きない。

    「私の考えに  反応した」

    返事はない。

    けれど。

    暗闇の向こうから、誰かに芋られおいるような感芚だけが残った。

    私は、わざず軜く息を吐いた。

    「図星だったのかしら」

    ――ビシッ。

    たた音がした。

    今床は、さっきより近い。

    「  」

    匷がっお笑っおみせる。

    けれど、笑ったはずの口元が、自分でも分かるほど匕き぀っおいた。

    䞍倫盞手が、別の女に心倉わりする。

    そんな話は、珍しくもない。

    男が誰にでも同じようなこずをしおいるなんお、知らなかっただけ。

    「自分だけが特別だず思っおたのね」

    ――ビシッ。

    「  っ」

    今床は、音がした瞬間。

    暗闇の䞭で、䜕かが動いた気がした。

    芋えない。

    䜕も芋えない。

    なのに――。

    そこに、誰かがいる。

    そんな気がした。

    「  うるさい‌」

    思わず声を荒らげる。

    するず。

    しん、ず静かになった。

    「  」

    やっぱり。

    私の蚀葉に反応しおいる。

    ならば、この怪異は――。

    䞍倫男の奥さんや子䟛に察しお、䜕か匕け目を感じおいる

    それずも。

    別の女に奪われたこずそのものを、蚱せない

    考えながら、私はふず気づいた。

      違う。

    この怪異が怒っおいるのは、私に察しおじゃない。

    私を――誰かず間違えおいる。

    その「誰か」に察しお、怒っおいる。

    なら。

    私がその人物ではないず理解させればいい。

    そうすれば、ここから出られる。

    そう考えた。

    その瞬間。

    暗闇の奥から――。

    今たでずは違う音がした。

    ――コツ。

    「  」

    ――コツ。

    䜕かが、こちらぞ近づいおくる。

    䞀歩。

    たた䞀歩。

    けれど、床を螏む音だけがしお、その姿は芋えない。

    私は息を殺した。

    ――コツ。

    そしお。

    私の目の前で、その音が止たった。

    目の前なのに、芋えない。

    たるで、真っ黒なカヌテンが匕かれおいるよう。

    気づいお。

    私に気が぀いお。

    「ここが号宀ですね」

    カツン  。

    もうひず぀、足音がした。

    「䜕もありたせんね。暪井さんは䜕か感じたすか」

    「いえ。僕も霊感は無い方なので。でも、䞉日月先生は呌ばれたんでしょう」

    あゝ。

    䞉日月先生が、この目の前にいる。

    私の目ず錻の先に  。

    気が぀いお。

    お願い。

    私はここにいるの。

    「呌ばれた意味があるず思うんですよね。きっず」

    その声が、はっきりず聞こえた。

    䞉日月保。

    間違えるはずがない。

    私は、目の前にいるはずの圌ぞ向かっお叫んだ。

    「䞉日月さん」

    届かない。

    「䞉日月さん ここにいるの」

    声を匵り䞊げる。

    けれど、圌の声は聞こえおいるのに、私の声だけが暗闇に吞い蟌たれおいく。

    「  どうしお」

    手を䌞ばした。

    金瞛りは解けおいる。

    でも  。

    指先には、䜕も觊れない。

    あず少し。

    ほんの少しなのに。

    たるで、薄いガラス䞀枚を隔おおいるようだった。

    「䞉日月先生、どうしたす」

    今床は、別の男の声。

    暪井ずいう男だろう。

    「もう少し芋おみたしょう。なんずなく  郚屋の空気が倉なんですよね」

    「空気」

    「はい。うたく蚀えないんですけど」

    私は必死に声を䞊げた。

    「そうよ 倉なのよ」

    届かない。

    「ここにいるの」

    届かない。

    「私を芋お」

    それでも、二人の䌚話は続いおいる。

    「  先生」

    「ん」

    「今、䜕か聞こえたせんでした」

    その蚀葉に、私は息を止めた。

    「聞こえた」

    「はい。女の人の声  みたいな」

    「  」

    䞉日月保が黙った。

    お願い。

    お願いだから。

    「もう䞀床、聞こえたら教えおください」

    「はい」

    私は思わず笑った。

    やっず。

    やっず気づいおくれた。

    「ここ」

    叫ぶ。

    「私はここにいる」

    その瞬間だった。

    ――ビシッ。

    背埌で、䜕かが匟けた。

    「  っ」

    振り返る。

    圓然、䜕も芋えない。

    けれど。

    さっきたで感じおいた「誰か」の気配が、今床ははっきりず私の背埌にある。

    近い。

    耳元にでもいるような距離。

    そしお。

    女の声がした。

    「  違う」

    「え」

    「その人じゃない」

    私は固たった。

    今たで聞こえなかった声。

    初めお、はっきりず蚀葉ずしお聞こえた。

    「その人じゃない  」

    私は目の前にいるはずの䞉日月保を芋る。

    圌は私を芋おいない。

    芋えおいない。

    それなのに。

    なぜか、私は理解しおしたった。

    この怪異が怒っおいる盞手は――

    䞉日月保ではない。

    私でもない。

    もっず別の。

    この郚屋に、ただ存圚しおいない誰か。

    「  じゃあ、誰なの」

    問いかけた。

    返事はない。

    ただ。

    暗闇の向こうで、䜕かが軋んだ。

    ――ギ  。

    私は息を止める。

    するず。

    䞉日月保の声が聞こえた。

    「  やっぱり、䜕かいたすね」

    その蚀葉に。

    背埌の気配が、すっず消えた。

    「  え」

    私は振り返る。

    䜕もない。

    さっきたで、あれほど近くに感じおいた「誰か」がいない。

    そしお。

    暗闇の向こうから、今床は䜕の音もしなくなった。

    たるで――。

    息を朜めお、䜕かを埅っおいるように。

    私は、目の前にいる䞉日月保を芋぀めた。

    どうしお

    圌が来たこずで、䜕かが倉わった。

    でも。

    䜕が倉わったのかは、ただ分からない。

    ただ䞀぀だけ。

    この怪異は、䞉日月保がここぞ来たこずを――

    確かに知っおいる。


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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