
Dangerous Zone
暴風雨。
ワイパーを強にしても
ほぼ無駄なほどの豪雨。
ウインカーを右に漁港へと入る。
しばらく道を進む。
倉庫群を抜けると前方に係留している
白い小船の山
漁港に着いた。
ガチャン、バタン
ザッザッ
(...ん?人が居る)
漁港の南西の角に軽バンを停め
後ろのドアを上げ、クーラーボックスに
腰をかけた、全身黒カッパの釣り人。
竿を握る手からポタポタと雨雫が流れ落ち
覗いた顔は、雨でびっしょりだ。
周りは暴風が渦巻き、漁港内も白波が立っている。ただ、釣り人が座っている一角。
3m周囲だけは、まだマシに見えた。
......
釣り人が座っている先...漁港の海面にさ
黄色い点滅がゆらゆらと左右に上下に
揺れている。
「釣れますか?。」
思わず声を掛けた。
「いやぁ、こんな天気だし、あまり期待は
してないね。」
「何ですか?アジですか?。」
「うん、アジくらいは釣れるかなとサビキでね。」
「そうですか。これから天気は更に酷くなりそうですけど、撤収しないので?。」
「いやぁ、せっかく買ったオキアミもまだあるし、粘ってみます。」
釣り人の固い意志を確認すると
車内に戻り、びしょ濡れになった身体を拭う。
(…しかし、今日はさすがに誰もいないと思っていた)
エンジンを回し、ライトを付ける
アクセルペダルを踏み
漁港を後にした。