クラフトビールは、一体何歳まで飲んでいいんだろう。
クラフトビールは、一体何歳まで飲んでいいんだろう。
もちろん、何歳まででもいい。
そんなことは分かっている。
でも最近、クラフトビールのお店を探していると、自分の年齢が気になる。
来月、一人旅をする。
せっかくだからクラフトビールを飲みたいと思って、Googleマップで良さそうなお店を見つけた。
写真を開いた。
そして、怖気づいた。
ここ、50代の私が一人で行って大丈夫?
黒っぽい店内に、ずらりと並んだクラフトビール。
アメリカのヘイジーIPAなんかもそうだけれど、クラフトビールの缶はポップで尖ったデザインのものが多い。
かっこいい。飲んでみたい。
でも、ときどき思う。
これ、私が買っていいやつ?
誰も気にしていない。
気にしているのは、私だけだ。
それでも、クラフトビールを飲みに行きたい。
今月飲んだビールには、驚くほどたくさんのスパイスが使われていた。
一口飲んで、「これもビールなのか!」と思った。
そして、なんだか嬉しくなった。

私がクラフトビールを好きなのは、たぶんこういうところだ。
「ビールってこういうもの」と思っていた世界が、飲むたびに少しずつ広がっていく。
それも、大抵は意外な方向に。
だから、例え場違いな気がしても、また知らないビールを飲んでみたくなる。
オンライン英会話で外国の先生から、
「日本では、女性がビールを飲むことはどう思われているの?」
と聞かれたことがある。
そのときは、
「何を言っとるんじゃ。21世紀だぞ」
と思った。
性別なんて関係ない。
そう思っている私が、年齢は気にしている。
我ながら不思議だ。
考えてみれば、若い頃にも入りにくいお店はあった。
ちょっと高そうなレストラン。
大人っぽいバー。
おしゃれなイタリアン。
昔は背伸びをして、おしゃれなイタリアンレストランにデートで行っていた。
今は背伸びをして、ポップなクラフトビールの缶を買っている。
昔は「私にはまだ早い」。
今は「私はおばさんすぎる」。
背伸びする方向が変わった。
クラフトビールを知ってから、
「あと20年早く知りたかった」
と思うことがある。
でも20年前、30年前には、今みたいなクラフトビールの世界はなかった。
私が若い頃、ビールを飲みに行くなら居酒屋だった。
今みたいに、個性的なビールを選んで飲むことを楽しむ世界を、私は知らなかった。
いや、世の中にほとんどなかった。
私が遅かったんじゃない。
クラフトビールが来るのが遅かったのだ。
私がこの世界に出会ったとき、たまたま50代だった。
飲んでみたいビールはまだたくさんある。
だからたぶん、これからも少しだけ背伸びをする。
50代の背伸びは、面白い。
ただ、気をつけないと足がつる。
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