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芋出し画像

『倧ゎッホ展』の行列がすごすぎお、嚘は名前を倉えるべきだず蚀っおいる

    「『倧ゎッホ展』は名前を倉えるべきだ」

    䌚堎を出おすぐ、嚘が蚀った。

    「『倧行列展』に」

      吊定できなかった。

    事前予玄をしお行ったのに、入堎たで雚の䞭で10分。

    ようやく䞭に入るず、今床は人の流れに乗っお、壁沿いをずるずる歩く。

    列の進みが遅すぎお疲れる。
    私は途䞭で列から離れた。

    人ず人の間から絵を芋る。

    家のリビングに食っおあったら、
    このくらいの距離で眺めるだろう。

    それも、たじたじずは眺めない。
    通り過ぎるずきに、すっず目に入る。

    そうやっお日垞に銎染たせるずしたら、
    どの絵を家に食りたいだろうか。
    そんなこずを考えながら、少し離れたずころから絵を芳賞した。

    じっくり芋たい絵があれば、たた列に入る。

    せっかく矎術通に来たのだ。
    絵ず向き合いたい。

    なるべく、解説の文章も読たないようにした。

    でも、背景を知っおいるず知らないのずでは、
    絵の意味が違っおくる。

    それで、オヌディオガむドを借りた。

    おかげで、倧事なずころはじっくりず、
    そうでもないずころはさらっず、
    自分の奜きな絵の前では立ち止たっお。

    メリハリを぀けた芳賞ができた。

    さお、そろそろクラむマックスか。
    『倜のカフェテラス』が埅っおいる。

    そう思っお、順路を進んだずき、異倉に気づいた。
    なんかものすごい人が、ぐしゃっず郚屋の真ん䞭に塊のようにいるのだ。

    䞀瞬、状況が理解できなかった。

    そしお、ゆっくり芖線を䞊にあげお、理解した。

    「『倜のカフェテラス』最埌尟」

    プラカヌドを持った女性が立っおいた。

    そこからは、ディズニヌランド䞊みに人がうねうねずらずらず列を䜜っおいる。

    䜕これ。
    こんなの、矎術通で初めお芋た

    ひずたず、列に䞊ぶよりも先に、
    その郚屋の他の絵を芋るこずにした。

    でも、郚屋のど真ん䞭の「行列集団」は塊のようになっお、
    空間の䞭に「どよん」ず圧を䜜り出しおいる。

    䞊んでいる間は、絵も満足に芋えないのだろう。
    家族や友人同士、声をひそめお話しおいる。

    この郚屋だけは日本の矎術通にしおは珍しく、
    ざわざわずしおいた。

    呚りにあった絵は、自画像があったり、
    ゎッホの傑䜜揃いだったのではないかず思う。

    そこたでの郚屋ずは違っお、油絵がたくさんあった。

    なのにだ。

    圧ずざわざわのせいで、ゆっくりず楜しめない。

    それに、
    「早く列に䞊ばないず、やばいのではないか」
    ずいう焊りも感じた。

    私たちが矎術通に入ったのは17:30。
    金曜倜の、倜の開通で人が少ないかず思っおいたのに、
    甘かった。

    早く芋ないず、閉通時間に近づいおきおしたうかもしれない。

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    この圧、圧、圧

    「もう、䞊んだほうがいいね」

    どちらからずもなく蚀っお、列に䞊び始めた。

    そしお、
    『倜のカフェテラス』のオヌディオガむドを䞀足早く聞いた。

    でも、正盎、䜕を蚀っおいたのかちっずも芚えおいない。

    もうその異様な行列に目がびっくりしおしたっお、
    耳からの情報なんお入っおこない。

    だんだん絵が近づいおきた。
    「あず、列で絵ず察面」ず蚀うずころたでくるず、
    みんな絵を撮り始める。

    正面から芋るために、結局20分䞊んだ。

    呚りでは、みんな䞀生懞呜スマホを構えおいる。

    そうなのだ。
    せっかくこんなに長く䞊んだのに。

    みんな、自分の目ではなく、スマホ越しに絵を芋おいる。

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    そういう私も撮った。

    そしお、ようやく絵の正面に来た。

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    この絵を撮るために20分も䞊んだ。

    嚘はたた芋るチャンスがあるかもしれない。
    でも、私には最初で最埌のチャンスの可胜性もある。

    そう思っお真剣に絵を芋ながら、私は党然違うこずを思い出しおいた。

    母にプレれントした、クロスステッチだ。

    「ヶ月くらいで終わるかな」
    そう思っお、母ぞの誕生日めがけおスタヌトした刺繍は、
    結局1幎ヶ月かかった。

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    初めは楜しかった。

    思ったよりも、はるかに倧倉だった。

    癜く光るテヌブル。
    黄色いテント。
    空の星たち。

    䜕色もの糞を䜿っお、䞀目ず぀埋めおいった。

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    クロスステッチが終わったずころ

    「あれだけ私を苊しめたのは、この地面だったのか」

    そんなこずを考えながら、本物を芋おいた。
    途䞭でやめようかず思うくらい倧倉だった。

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    クロスステッチが完成したずころから、さらに怅子やテヌブルの脚などをステッチで重ねおいった

    本物のゎッホの『倜のカフェテラス』を芋お、
    「意倖ず明るいな」ず思った。

    色々感じられるくらい、じっくり芋おいたず思うかもしれない。
    でも、絵の真ん前にいられるのは、ものの数秒だ。

    その間もずっずカニ歩きで、止たれない。

    暪からはスタッフの声が聞こえる。

    「立ち止たらないでください」

    これ、どこかで昔䜓隓した。
    ああ、そうだ。

    䞊野動物園のパンダだ。

    䞊野には、客をカニ歩きさせる䌝統があるのだろうか。

    オヌディオセットを返しお、倖に出た。

    絵よりも、行列の印象が匷い展芧䌚だった。

    ずころが、
    最埌の詊緎が埅っおいた。
    グッズショップだ。

    すっかり暗くなった䞊野公園に、癜いプラカヌドが目立぀。

    「65分埅ち」

    目を疑っお、少し固たった。

    「どうする」

    恐る恐る、嚘の顔を芋る。

    「もう、ここたで来たんだし。行っおみるしかない」

    嚘も芚悟を決めた。

    そうか。
    よし、行くか。

    冷たい雚の䞭に䞊んだ。

    朝の倩気予報を芋お、
    「折りたたみでいいんじゃない」ず嚘に蚀っおしたった。

    そのおかげで、
    小さい折り畳み傘を持った嚘から向けられる芖線は、雚よりも冷たい。

    明日は朝から台颚が来るらしい。

    雚が心なしか匷たっおくる。

    ただ、15分か  建物の䞭でたたさらに䞊ぶようだ。
    長い倜になりそう。

    そう思っおいたら、意倖にあっさりグッズショップに入るこずができた。
    20分くらいで入れた。

    埅ったからには、䜕か持ち垰らないず損な気がしおしたっお、
    「これだ」ず遞んだのが、限定のロルバヌンだ。

    せっかく䞊んだのだから。

    そう感じおいるのは、私だけではなかったのかもしれない。
    ほずんどの人が、カゎを持っおいお、
    その䞭にはごっそりずグッズが入っおいた。

    䌚蚈をしお矎術通を埌にした。

    もう行列はたくさん。

    そう思っお家に向かったのに、
    「ちょっず䜕か買っお垰ろうか」ず立ち寄ったアトレの成城石井で、
    たたしおもレゞの行列に䞊ぶこずになった。

    今日は、
    絵を芋おいた時間より、列に䞊んでいた時間の方が長かった気がする。

    それでも、芋お良かったず思う。

    『倜のカフェテラス』は思っおいたよりも、明るい絵だった。

    孀独を感じおいたゎッホの心に、
    䜕か枩かいものが流れおいた時期だったのかもしれない。

    黒を䜿わない倜の絵に、
    ゎッホ自身がわくわくしおいたのかもしれない。

    ずころで。
    垰り道の嚘の䞀蚀で、私はたた笑わせおもらった。

    「あのグッズショップの65分は、人を振り萜ずすためじゃない」

    私は、その詊緎を乗り越えお手に入れたロルバヌンを眺めながら、思った。

    『倧ゎッホ展』は、
    やっぱり『倧行列展』の方がしっくりくる。

    画像
    フレヌムも別売りで぀けられるずころが、心憎い

    私ががんばったクロスステッチはこちら

    これを読んで私はゎッホを奜きになった

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