
☯『金烏玉兎集』 太歳神と十二月凶会日
『金烏玉兎集』
室町時代から江戸時代にかけて陰陽師たちの間で「虎の巻」として使われた秘伝書です。
単なる占いにとどまらず、神々の居場所や、やってはいけない禁忌、さらには家を建てる際の吉凶などが網羅されています。
金烏玉兎集の原文資料(PDF)は
https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko31/bunko31_e1370/bunko31_e1370.pdf
1. 太歳神とその方位の教え
【原文】
太歳神はその年の干支を司る木星の精霊。
どの方角にいるかによって、犯してはならない方角が決まることを説いています。
【解釈】
太歳神は、その年の干支が位置する方角に鎮座する、万物の生殺を司る非常に力の強い神である。
この神の周辺には、決して侵してはならない特定の相対関係が存在する。
前方(進方): 太歳神の正面にあたる方角。
後方(退方): 太歳神の背後にあたる方角。
対位(対面): 太歳神と真向かいになる方角。
これらの「前・後・対面」は、神の力が直接及ぶため、土を動かす、柱を立てる、嫁取りをする、あるいは遠方へ旅立つといった全ての私的な行動において、最も慎重に避けなければならない。
もしこれを知らずに犯せば、その年の神罰を免れることはできない。
2. 十二ヶ月の凶会日の教え
【原文】
「凶会日」とは、太歳神の部下である諸神が冥界に集まって会議をする日のことで、現世の守りが薄くなり、邪気が満ちる日とされています。
【解釈】
「凶会日」とは、太歳神に仕える多くの神々が、冥界の入り口である「死出の山」に集まり、人間の善悪を報告し合う日である。
この日は、天の加護が届かず、地には災厄が満ちるため、一年の中で最も恐るべき日とされる。
各月の凶会日は以下の通り定められている。
正月: 庚申(こうしん)の日
二月: 癸未(きび)の日
三月: 壬寅(じんいん)の日
四月: 乙亥(いつがい)の日
五月: 甲申(こうしん)の日
六月: 癸巳(きし)の日
七月: 壬辰(じんしん)の日
八月: 辛丑(しんちゅう)の日
九月: 庚戌(こうじゅつ)の日
十月: 己未(きび)の日
十一月: 戊辰(ぼしん)の日
十二月: 丁丑(ていちゅう)の日
禁忌と警告
これらの日に、もし土を掘り、家を建て、婚礼を行い、あるいは旅に出るならば、その身には必ずや災難が降りかかる。
原文には「もしこの教えを信じず、あえて犯す者があれば、家は滅び、命を全うすることはできない」と記されている。
また、これらの凶会日にさらに「空亡」などの他の凶運が重なる場合は、神仏への祈祷ですら効果が薄いとされるほど、強い禁忌の力を持っている。