抱きしめて
泣いている、ずっと泣いている。
幼い頃の私が、ずっと泣いている。
だれか、だきしめて。
たすけてほしい。
そう言いながら、今も泣いている。
寂しかった。辛かった。普通になりたかった。誰かに頼りたかった。甘えたかった。死にたかった。
そんな感情を消化しきれないまま、私は少しずつ大人になっていく。
昔に比べれば、環境はずいぶん良くなった。そこそこ有名な大学に通わせてもらい、一人暮らしもさせてもらっている。周りから見れば恵まれている環境なのだろう。それでも、消えたい気持ちはあの頃からずっと消えない。
否定されたこと。寂しかったこと。恥ずかしかったこと。辛かったこと。
そんな過去の出来事が、呪いのように記憶に張り付いている。それらが時折、私を暗闇へと突き落とし、消えたい衝動を呼び起こす。
これも一種の自傷行為なのだろう。自分の身体を傷付けることはやめられても、これだけは未だにやめることができない。
あぁ、抱きしめて欲しい。
幼い頃の私も丸ごと、誰かに抱きしめてほしい。
一人で悩んでいた。一人で声を殺して泣いていた。一人で病院へ行った。誰にも助けを求められなかった。
だからこそ、今も幼い頃の私がずっと泣いている。
「どれだけ今の私が幸せになっても過去の私は幸せにならない」
きっと今の私が本当の幸せを手に入れるには、過去の私を救わなければならない。
寂しかったこと。辛かったこと。誰かに助けを求めたかったこと。
これらを抱きしめ、消化して、やっと消えたい気持ちは薄れていくのだろう。
過去の私を救うのは自分なのか。他人か。薬なのか。はたまた出来事なのか。
誰でもいい。
過去の私を、可哀想な私を、ぎゅっと抱きしめて「大丈夫だよ」と声をかけて救って欲しい。
これを読んでいる貴方にも、救いがきますように。願いをこめて。