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#16|「きちんと」「しっかり」、人によって違う

    現場で起きる「きちんと」「しっかり」のすれ違い
    〜指示が曖昧だと、なぜ現場が混乱するのか〜

    毎日の現場で起きていること
    「この部品、しっかり検査しておいて」
    「機械の清掃、きちんとやっておくように」
    中小企業の社長なら、こんな指示を毎日のように出していることでしょう。
    でも、その指示通りに作業が進んでいますか?

    実は、わたしたちが何気なく使っている「きちんと」「しっかり」という言葉が、現場で思わぬトラブルを起こしている可能性があります。
    今回は、そんな現場の「すれ違い」がなぜ起きるのか、どうすれば解決できるのかを、具体的にお話しします。



    1.同じ指示、違う作業


    「しっかり検査して」の現実

    「部品をしっかり検査する」と指示を出したとき、作業者によって実際の作業は全く違います。

    • ベテランの田中さん:目視で傷や変形をチェックする

    • 中堅の佐藤さん  :寸法をノギスで3か所測定する

    • 新人の鈴木さん  :チェックシートの項目を全部確認する

    同じ「しっかり検査」でも、これだけ違うのです。

    「きちんと清掃」のバラツキ
    「機械をきちんと清掃する」でも同じことが起きます。

    • Aさん:表面の汚れを拭き取る

    • Bさん:油汚れまで落として、潤滑油も補充する

    • Cさん:分解できる部品は外して隅々まで掃除する

    どれも間違いではありませんが、結果として機械の状態にバラツキが生まれてしまいます。


    2.曖昧な指示が生む現場の問題


    品質のバラツキ

    作業者によって「しっかり」の基準が違えば、当然製品の品質もバラつきます。
    同じ工程を複数人で担当している場合、出来上がる製品の精度や仕上がりに差が出てしまいます。

    お客様からクレームが来たとき、「ちゃんとやったのに」「いつもどおりやったのに」という言葉をよく聞きませんか?
    それは、「ちゃんと」「いつもどおり」の基準が人によって違うからです。


    手戻り作業の増加
    期待していた品質に仕上がっていない、検査でNGが多発する、納期が遅れる。
    これらは全て、曖昧な指示が原因で起きる無駄です。
    「もう一度やり直し」となれば、材料費も人件費も二重にかかります。
    中小企業にとって、この無駄は経営に直結する大きな問題です。


    現場の人間関係悪化
    「ちゃんとやっといてって言ったやんけ」
    「俺なりにはちゃんとやったで」
    こんなやり取りが続くと、現場の雰囲気は悪くなる一方です。
    お互いに「あの人は手抜きをする」「社長は無茶を言う」という不信感が生まれ、チームワークが崩れてしまいます。


    3.解決の方法 「うちの基準」を決める


    具体的な作業手順を決める

    問題を解決するには、「うちの会社では『しっかり』はこういう意味」という共通の基準を作ることです。

    例:「部品をしっかり検査する」の定義

    • 目視で表面の傷・変形をチェック

    • 主要寸法3か所をノギスで測定

    • 結果をチェックシートに記録

    • 異常があれば即座に報告

    例:「機械をきちんと清掃する」の定義

    • 表面の切粉・汚れを除去

    • 潤滑箇所に注油

    • 清掃完了後、動作確認を実施

    • 清掃記録表に日時・担当者を記入

    中小企業らしい現実的なやり方
    もちろん、すべての作業について細かく決めるのは現実的ではありません。
    人数も限られているし、忙しい現場でそんなことをしている時間もありません。
    大切なのは、「特に重要な作業」から順番に基準を決めていくことです。

    • 品質に直結する検査作業

    • 安全に関わる点検作業

    • お客様との約束に関わる作業

    • よくトラブルが起きる作業

    このあたりから手をつけていけば、効果が実感できるはずです。

    基準は現場で決める
    基準を決めるとき、社長が一人で考えるのではなく、実際に作業している人たちと一緒に決めることが重要です。

    「うちの会社では『しっかり検査』ってどこまでやれば十分かな?」

    こんな風に現場の人たちと話し合えば、みんなが納得できる基準ができます。
    そして、自分たちで決めたルールなら、守ろうという気持ちも生まれます。


    4.基準を決めると何が変わるか


    品質が安定する

    全員が同じ基準で作業すれば、誰がやっても同じ品質の製品ができあがります。
    お客様からの信頼も高まり、クレームも減ります。
    新しく入った人でも、基準に従って作業すれば一定の品質を保てるので、教育の時間も短縮できます。

    無駄な作業が減る
    「何をどこまでやればいいか」が明確なので、迷いがありません。
    過不足ない作業ができるようになり、時間の無駄も材料の無駄もなくなります。
    やり直しも減るので、納期も守りやすくなります。

    現場の雰囲気が良くなる
    基準が明確なら、「ちゃんとやったかどうか」で揉めることもありません。
    評価も公平になり、頑張りが正しく認められるようになります。
    「何かおかしいな」と思ったときも、感情的にならずに基準と照らし合わせて話し合えるので、建設的な議論ができます。


    5.他にもある曖昧な言葉


    「きちんと」「しっかり」以外にも、現場でよく使われる曖昧な言葉があります。

    • なるべく早く   → 今日中?今週中?

    • いい感じで    → 何をどうすれば?

    • 柔軟に対応して  → どこまで譲歩する?

    • 積極的に関与する → 具体的にどんな行動?

    こういった言葉も、同じように基準を決めておけば、現場の混乱を防げます。

    今日からできること
    まずは、あなたの会社でよく使われる「曖昧な言葉」を一つ選んでみてください。
    そして、現場の人たちと一緒に「うちの会社ではこの言葉はどういう意味にしようか」と話し合ってみてください。

    例えば:

    • 「しっかり検査する」とは具体的に何をすることか

    • 「きちんと片付ける」とはどこまでやることか

    • 「丁寧に仕上げる」とはどんな状態を指すのか

    小さなことから始めて、少しずつ「うちの基準」を作っていけば、必ず現場は変わります。


    6.最後に


    中小企業の強みは、みんなが顔の見える関係で、柔軟に対応できることです。
    その強みを活かしながら、「曖昧な言葉」を「うちの基準」に変えていくことで、もっと強い現場を作ることができます。

    品質も向上し、無駄も減り、働く人たちの満足度も上がる。
    そんな理想の現場作りは、「言葉の定義」という小さな一歩から始まるのです。

    あなたの会社では、「しっかり」「きちんと」はどんな意味ですか?
    もし明確に答えられなければ、今度の朝礼で現場のみんなと話し合ってみてください。
    その一歩が、あなたの会社を次のレベルへと押し上げてくれるはずです。

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    ✨️この記事書いた人✨️

     
     
     
    「漠然としたお金の不安」「社員とのズレ」に悩む社員20名以下の中小企業の社長向けに書いてます。 - 資金繰り、お金が残る仕事の選び方 etc - 社員とのズレを整える対話のコツ etc - 毎週木曜日に発信|㍿N-manage|大阪

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