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本へ込めた思いと「いとあはれ」

    2011年11月、文化財修復などのボランティアとして、遠野へ向かいました。
    当時勤めていた会社は、週末ごとに有志を募り、活動にあたっていました。
    私は、被災した考古資料・文献の修復前作業や、全国から寄付された書籍を被災地域の小学校に送り届けるための仕分け・梱包作業を行う活動に参加しました。

    岩手県遠野市は、カッパや座敷わらしなどの言い伝えが多く残る民話の里として知られていて、民俗学者の柳田國男は、それらの伝承を『遠野物語』として編さんしました。
    どうやら、その元となる貴重な資料・文献が、津波で流されたり泥にまみれてしまい、すぐにでも修復・保存する必要があったようです。
    とはいえ、まずは現地の方々のライフライン復旧が最優先であり、この活動は、遠野市の生活環境が整いつつある状況になってから実施されました。

    数十人のボランティアは、修復前の作業に3人・それ以外のメンバーは書籍の仕分け・梱包作業にあたることになりました。
    現地職員の方が
    「修復前作業をやってみたい人」
    とおっしゃったとき、私が意思表示する前に、きっかり3人、別の女性たちが手を挙げました。そのうちの2人は、会社でも日頃から仲良くしている人たちでした。
    私は同僚や同じ部署の人に声を掛けるわけでもなく、一人で申請を出し、参加していました。
    仲の良い人たちは一緒のほうがいいよね、と思ったことや、もともと人見知りな性格なので、私も!と割り込む気持ちにはなれず(これでジャンケンとかになり、仲良し2人が別々の作業にあたることになったら気まずい……)、後ろ髪を引かれつつも仕分け作業要員になりました。

    作業部屋に行くと、長方形の折り畳みテーブルが川の字状に並べられていて、長辺の左右の床には段ボールが置かれ、テーブルの上には本が重ねられていました。
    左右の段ボールには、寄贈された本がぎっしりと詰まっており、テーブルには、小学校の名称が書かれた紙が、置かれた本の手前に貼られていました。
    私たち仕分け要員の作業は、小学校ごとに種類や数が書かれた指示書に沿ってテーブルの上に本を揃え、すべてが整ったところで段ボールに詰めていく、というものでした。
    梱包後の段ボールは、テーブルの下の空間に置くことになっていました。
    寄贈された本のなかには、私が読んだことのないものもあり、どんな内容なんだろう?と、ついつい開いてみたくなったりしましたが、ここはぐっとこらえて、仕分けに専念。
    部屋の中は本と段ボールで埋め尽くされていて、自分の身体の幅分だけ、空間ができている状態でした。
    立ち仕事だったので、疲れたときに腰を反らせたり曲げたりしたくなりましたが、しゃがむくらいしかできそうにない。しかも、縦にまっすぐしゃがみ込まないと、おしりが当たって本や段ボールを崩してしまいそうでした。
    足りない本を別の場所に取りに行くときは、‟本のけもの道”とでも言いたくなるような狭い隙間を、そろりそろりと進んでは戻っていました。
    ときどき、同じタイミングで動き出した人がいたら、両端が断崖絶壁の道路で車が鉢合わせしたときのように、一方がゆっくりバックしたり……。
    足腰は疲れましたが、被災地の小学生たちがこれらの本に目を輝かせ、一人でも友達とでも好きに読んで、元気になってくれたらなぁ、とガムテープをしっかり貼りつけ、パワーを込めて梱包しました。
    活動していた地域には、長い階段を上ったところに神社があり、参加者全員でお参りしました。そこからの眺めは、懐かしい日本の風景を残していました。
    ※なぜだか覚えていないのですが、このとき、私は遠野の写真を一枚も撮っていませんでした。

    活動終了後に、少し寄り道して平泉へ。
    中尊寺や毛越寺で紅葉を眺めながら、どんなときでも季節は巡ってくるのだな、私が今ここで感じているような心境のことを、昔の人は「いとあはれ」と表現したのかな、などと思ったりしました。

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    ※最後の締めくくりが食べ物に関してで、ちょっと恥ずかしい……。
    先日、母から回進堂の岩谷堂羊羹をお裾分けしてもらったので、ご紹介します。

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    こちらの羊羹は、木製の黒文字楊枝では折れてしまうくらい、しっかりと煉られています。
    味の種類が豊富で、どれもおいしいと思いますが、私は特に栗入り・くるみ・ごま・白煉が好きです。
    また、サイズもいろいろあり、オススメは特型。
    ひとくちサイズや小型だと、このしっかりとした煉りを感じにくいと思うのです(気のせい?)。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

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