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【エッセイ】聞かんでも良いこと聞くやつ

    聞かんでも良いことを、わざわざ聞くやついますよね。

    かつて、私もやりました。

    とある社内研修のため、泊まりがけで外部施設を利用することになり、人事部による事前説明会が開かれた。

    説明してくれるのは可愛い、ハーフ顔の若手女性社員。

    そこで、交通の便や自宅からの距離を天秤にかけ、つい、本当に考えなしに聞いてしまった。

    「車で行ってもいいですか?」

    そしたら、人事ちゃんは軽く顔をしかめた。(かわいい)

    その表情を見ただけで、あっ、ミスった。これ聞かない方が良いヤツだったと、さすがに察した。

    対して、彼女は鮮やかな「仮定文」で返してきた。

    「もし私が、『車で行っても良いか』と聞かれたら、私は『ダメです』としか答えられないでしょうね」

    この子、かしこっ。かしこさんや。

    可愛いし、賢い

    ってなった。

    そして、しれっと過去改変して、私の質問もなかったことにされた。

    なんか論理問題みたいだ。「必ず嘘をつく門番」と「必ず真実を言う門番」への問いかけ。

    「もう一人の門番に『天国への道はどちらか』と聞いたら、彼はどちらを指しますか?」


    時は経ち、自分は海外拠点で、社内では人の上に立つ立場になった。

    コンプラやら法令やら、社則やら色々なルールを守らせることが残念ながら職務の一つだ。

    ルールの遵守とかに対して、人一倍、どうかいくぐるかというマインドなのに。

    ◇

    そこで、何か聞いてくるヤツがいるんですよ。

    勝手に自分でやりゃいいのに、聞かれたら立場上、ダメとしか言えないようなことを。

    でも、かつての私ではない。

    完璧なアンサーを既に持っている。

    これ!進研ゼミでやったやつだ!の顔で答える。

    「もし私が『やっていいかどうか』を聞かれたら、それは『ダメですね』としか答えられないですよ」

    言ったった。

    そしたら、全然察してくれないの。

    「で、どうなんだ?いいのか?悪いのか」

    そんな想定じゃなかったので、ドヤ顔だった私はポンコツロボットと化す。

    「……ですから、私が『やっていいかどうか』と聞かれたら、『ダメですね』としか答えられないです……」

    「それは分かった。さっきも聞いた。それで?いいのか?悪いのか?どっちなんだ?」

    聞いてくれるなよ。

    あきらめて、普通に笑顔で「ダメです」と答えたった。


    書きながらふと思ったけど、ダメです、って言われるためにやるパターンもあるよね。

    言い訳が欲しいから。

    『俺はやりたい、助けてやりたいけど、うちの頭オカシイ日本人上司が話通じなくて、ダメって言うんだ、ごめんな』

    みたいな。

    あるな。

    まぁ、今回のケースは、単に話が通じなかっただけだけど。


    これがその人自身が損するだけの話ならほっといてもいいけど、マジでいらん事する人たちいるじゃないですか。

    「良かれと思って」「白黒はっきりさせたい」「公式に確認してきました」「みんな疑問に思ってるだろう所を、代表して聞いてきました」

    グレーゾーンはあって、そこを好き好んで、そこを住処にして生きているんだ。

    じめじめした石の裏に心地よく住んでいたら、いきなり自爆テロリストが正義の旗を振りかざして突っ込んでくる。

    頼むからやめてくれ。

    自分だけでやってくれ。

    公式に確認したら、ダメとしか言えないんだ。

    他の人の気持ちを代弁できるくらいの想像力を持ち合わせているなら、公式側の立場と返答くらい想像してくれ。

    せめて、回答者が可愛い人事ちゃんだったら良いのにね。


     
     

    nissy

     
     
    突如、何かを書きたい衝動に駆られ、昔のお遍路について書いてみました。 昔書いたショートストーリーもサルベージして書き直したいです。 40代男性、場所を言うと容易に特定されるくらいのコミュニティに海外在住中。 漫画、アニメ、ゲーム、語学、宗教、ラグビー、音楽、読書が好きです。

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