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元警察官が朝6時の張り込みで突破した“お墓じまい”

    【依頼主と依頼内容】

    • 93歳、末期がんと診断されたけれど元気なおばあちゃん。

    • 管理費がかからない納骨堂に引っ越したいという想い。

    • 他事務所からの紹介で出会った。

    面談

    僕は、依頼を受けるとき、必ず面談をさせてもらう。

    人によって、同じ手続きでも必要なものが変わってくるのでそこを見極めるという実務的な面もあるが、一番は人となりを知りたいというのが大きく、そうさせてもらっている。

    僕一人で手続きの全てを完遂できればそれでよいが、国への手続きはその人自身の為に行うものだ。

    手続きのどこかで必ず協力が必要なところが出てくる。

    その協力体制を築けるかどうかを見極めたいのだ。

    おばあちゃんとは、他事務所からの紹介で出会った。

    お墓じまいをしない行政書士事務所から僕の事務所に紹介があったのである。

    ご自宅に伺い、必要事項を聞くと、必要書類がほとんど全て保管されており、しっかりされている人柄が伝わってきた。

    その時点では、お墓じまいの手続きはスムーズに進みそうであった。

    おばあちゃんは、一人暮らしで話し相手になってくれる僕が有難いといってくれ、手続きに関係ないこともいろいろお話をした。

    「え、あんたまだ結婚してないの?」

    「はい・・・」

    「はよしんさい!!」

    「相手が・・・」

    「あっ・・・」

    とても和やかに面談は進んだ。

    書類作成

    必要情報の書面はほとんど保管されていたのですぐに用意できた。
    僕が行ったのは市役所への改葬届の作成と、一部戸籍の代理取得くらいであろうか。

    すごく簡単に言うとお墓は、市や町に

    「この土地をお墓として使っていいですか?」

    と聞いて、

    「いいよ!」

    と言ってもらったことによってお墓として使わせてもらっている。

    なので、引っ越すときも市や町に伝える必要があるのだ。

    これが改葬届という。

    僕の事務所では、作成から提出まで代行している。

    お墓について

    さて、皆さんはお墓とはどんなものだと思っていますか?

    正体は、宗教法人が経営している土地運用である。
    (すみません、とても雑な言い方です。関係ないお墓もあります。)

    おばあちゃんのお墓はこのとおりのお墓だった。

    お墓を買うときに契約をし、年に数万円の管理費を請求されるという至極基本的なよくあるお墓。

    なお、今お墓じまいを考えている人は、契約内容を確認されることをおススメする。

    おばあちゃんも勘違いしていたのだが、「お墓を買う」というのはその墓地そのものを買っている訳ではないことがほとんどであるという点だ。

    そこの土地を使わせてもらえる権利を宗教法人から買っていることが多い。

    面談の時におばあちゃんから

    「墓地を売って子供に残せるお金にできない?」

    と相談され、調査をした。

    契約内容を確認すると、その墓地を使う「権利」を買っているので「土地」を売ることができなかったのだ。

    この場合売れるのは「墓地を使用する権利」であった。

    近所の石屋さんなどに登録して権利を売る姿勢をとれることまでは突き止め、提案したが現実的に売れない(みんなお寺から直接買うので買い手がいない)ので断念した。

    今お墓を管理している宗教法人との協議

    先ほど言ったように、お墓の正体は、宗教法人が経営している土地運用である。

    会社がお金を得るために土地を運用していることとあまり差はない。

    僕はこの件を体験するまで、墓園はお寺がやってくれている、ある種の慈善事業のようなものであって管理費がかかるのも最低限仕方がないものを仕方がなく取っているのであろう。

    という認識をしていた。

    それが全て覆されたのである。

    書面が整い、とりあえず今あるお墓の契約を打ち切る必要が出た。

    よって僕はおばあちゃんが法事のときにお世話になり、そのままお墓をお願いしている、とあるお寺に電話を掛けた。

    すると、従業員のような方が出たのでお墓じまいについて説明をした。

    従業員からの返事は、

    「住職が全て決めているので私にはわかりません。

    住職は北海道に出張に行っています。

    いつ帰るかもわかりません。」

    住職が北海道に!?

    いや、まぁ、そんなこともあることもあるのだろうか・・?

    と無理やり納得し、

    そこで話を終わると子供のおつかいと同じなので、住職の携帯電話を聞くと、

    「携帯電話番号を教えていいと言われていないので教えられません。」

    との回答であった。

    えぇ・・?

    では、住職さんに連絡をしていただき、私の電話番号を教えてご連絡をいただけるようにお願いできませんでしょうか?

    とお願いすると、

    「基本的に住職とは連絡がとれません。」

    話が進まないことに確信が持てたので住職が帰ってきたらお伝えくださいと言伝し、電話を切った。

    こっちは末期がんのおばあちゃんのために仕事しとるんじゃ!

    なんじゃいそのやる気のなさは!!

    と、言ってしまいそうだったので切ったのが本音である。

    実際、まだおばあちゃんは元気そうではあったがいつ体調を崩されるかわからない。

    手続きは急ぐ必要があった。

    お寺からは3日連絡がなかった。

    なので僕はお寺に直接向かうことにした。

    お寺までは車で僕の事務所から片道1時間30分ほどの道のり、確かにおばあちゃんがお参りするには少し大変だと感じた。

    ベルを鳴らすと、女性が出て応対してくれた。

    住職の奥さんだろうか。

    お話をすると、墓じまいの話を全く知らない様子であった。

    従業員は引き継ぎを全くしていなかったのである。

    奥さんはとても親切で丁寧にお話を聞いてくれた。

    しかし、住職が全権を握っているのは事実であり住職は現在留守で対応できないとのことであった。

    しかもいつ帰ってくるか不明とのことであった。

    なお、住職は北海道には行っていないことが判明した。

    いや、となると北海道はどこから出たん?

    言伝を奥さんにも頼んだのだが、やはりなかなか連絡がなかった。

    そのため、お寺に何度も足を運んだ。

    大体奥さんが対応してくださって謝ってくれるのが申し訳なかった。

    奥さんが気を効かせて住職が今いると連絡をくださり、そのタイミングで向かったこともあったのだが、到着までに住職が消えているということもあった。

    住職がいつの間にか姿を消しているため、奥さんにお願いしても仕方がなかったのだ。

    そして住職はそもそも奥さんの話を聞く気がない人間ということだった。

    覚悟を決めた僕は奥の手を使うことにした。

    朝6時、お寺前に着いた。

    そこからは張り込みである。

    そのためにサンドイッチとコーヒーを買ってきた。

    本来の張り込みには、僕はコーヒーは買わなかった。

    トイレに行きたくなるからだ。

    今回は近くにトイレがあったので少しワガママをしちゃったのだった。

    コトがあるとき、警察は朝早くにやってくる。

    それをやってやることにしたのだ。

    とはいえ、その日は結論張り込みの必要はなかったのだった。

    その日は人の動きが全くなかった。

    つまりお寺から出ていく人間はいなかったのである。

    午前10時ころ、ベルを鳴らすとすっかり顔なじみになった奥さんが出てくれ、外出していないことが明らかな住職に取り次いでくれた。

    ちなみに、この日の朝伺うことは奥さんには事前に伝えていた。

    やっと会えた住職は寝間着姿の中年であった。

    「誰ぇ?」

    と聞いて来たので墓じまいについて電話連絡を何度もしている者であると自己紹介をしてやった。

    「あー、〇〇の言いよった奴?」

    おそらく従業員の名前か、意外にもあの従業員は仕事をしてくれていたらしい。

    何度も話していたことだが、契約破棄の書面を出してもらうようお話をすると、住職は、




    「あんねぇ、お前はわしらが今まで一生懸命お墓の面倒見てきよったのにいきなりなくすなんてことを言うことがあるんかいの?
    はよう帰りーや。
    」






    え・・?待って? なにこの人態度わっる・・


    これがお寺なの?

    これでは、とある稼業の方々の事務所である。

    いや、意外にもあちらの方々は応対が丁寧であったことをこれを書きながら思い出した。

    つまり、彼の応対はそれ未満だった。

    僕はお墓というのはある種の親切のようなもので成り立っているのだと思っていた。

    しかし、目の前の現実はこれである。

    このお墓では年に一度、管理費が支払われる。

    それがなくなるのが嫌なのかもしれない。

    先祖代々面倒を見てきた自負がある。

    その心情は理解できる。

    しかしながら、こんな態度をおばあちゃんだけじゃない、お墓の持ち主が見たらどう感じるだろうか。

    こんな態度の人間に父、母のお墓の面倒を見せ続けてきたしまったと自責してしまわないだろうか?

    こいつには負けてはいけない。

    僕には時間がない。

    今日話を決めると腹をくくった。

    おばあちゃんからの委任があることなどを話し、

    「もうお墓をやめたいとのことなのでやめるための書類をください。」

    「本人も来んのに話しできるかいや。」

    「そんなこと言ったらダメ、その人元警察官よ?」

    「ハァ!?」


    いつの間にか居た奥さんからの助け舟である。

    まぁ、この話に元警察官の経歴は全く関係ないのだけど、なぜだか住職はすぐに契約破棄の申し込み書類を出してくれたのであった。

    というか、お墓の契約破棄で説得が必要な意味がわからないけれど。

    契約破棄書類を作成し、今度は提出の受け取りをお寺がなかなか応じないということは発生したが、そちらは1週間程度で事なきを得た。

    石屋さんへの依頼

    今度は墓石を移動(今回は撤去)させてくれる石屋さんの手配をしなければならない。
    調べたところ、このお墓には、

    「専門の石屋さん」

    が設定されており、それ以外の石屋さんに依頼すると罰則金が発生するという「決まり」が設定されていた。

    そ、そんなバカな・・・

    と思って色々調べてみたのだが結構こういった墓地は多いようだ。

    従業員から聞いた石屋さんに連絡し、日取りを決めた。

    その石屋さんは、中々お高めであった・・

    納骨堂への依頼

    お墓には、魂が入っている。

    よって、お墓に入っているお骨だけじゃなくて魂も引っ越しする必要があるのだ。

    つまり、今のお墓から魂を抜くお勤めをしていただく日を擦り合わせ(今回は納骨堂の住職さんに全てお願いした。当然の判断である。)。

    納骨堂にお骨を入れる日を決め、お骨を入れるときに魂を入れるお勤めをしていただくお話をして・・・
    と、そこからはジェットコースターのような忙しさで時が流れた。

    その分スピーディーに話は進んだ。

    手続きのおわり

    ようやくお墓じまいが完了したのは、依頼を受けてから2か月ほどたったころだった。

    お墓から魂を抜いてもらうとき、住職がおばあちゃんに何か言って来たら嫌だな、と考えた僕は、おばあちゃんを送り迎えし、数珠を持参して一緒にお経を聞くことにした。

    「あんたには関係ないのに、ありがとうね。」

    住職は現れなかったが、そう言ってもらえたのでその判断は正しかったと思いたい。


    「なんでこんなにいい人なのに結婚できないのかね」

    「晩婚化が・・・」


    納骨堂にお骨を入れたあと、おばあちゃんからは、

    「早かったね!ありがとう!」

    と言ってもらえたが、もしも以前のお墓の住職とスムーズにお話が進んでいたとしたら、かなり急いだので2週間程度で完了した手続きだったかと思う。

    手続きの間、本当におばあちゃんの容態が悪化しなくてよかったと胸を撫で下ろした。

    僕はお仕事としてこの手続きに臨んだ。

    要するに、他に優先することもなく全力でこの手続きにぶつかっていくことができたのだ。

    お金ももらえるし、それ自体が仕事だった。

    例えば、他に仕事などをしながら自分の母の代わりにこの件の手続きを行っていたとしたなら途中で心が折れてしまう人も居られるかもしれない。

    僕に高圧的な人間に抵抗力があったことも完遂できた原因の一つだったかと思う。

    今回の墓じまいの件は、実際とりかかっていた時は大変だと感じた。

    僕が依頼を受けたのは全くの偶然だ。

    しかし、振り返った時に

    「おばあちゃんの役に立ててよかったなぁ」

    と思える案件となったのだった。

    おしまいに

    お墓のことは大切なことです。

    一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

    おばあちゃんも最初は相談からでした。

    有難いことに、話をしっかり聞いてくれる人がいて安心したと言っていただけることが多いです。

    どんな些細なことでも大丈夫です。

    一緒に、最善の形を考えましょう。

    ↓以外に好評な思い出↓

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    広島県で幅広い許認可の専門行政書士をしています。 建設業、深夜営業、民泊、墓じまい、墓埋法などのほか警察官時代の思い出を書いてます。 長いこと警察官だったので特に警察に出す届出、開業後の防犯アドバイスなどを得意にしています。 相談無料ですのでまずはご相談くださいm(_ _)m

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