メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ドラクエで学んだ、文章の経験値

    西野 葵

    先日、ドラクエの初代がリメイクされたと聞いて、わたしはふと振り返った。


    いまや異世界ファンタジー(ハイファンタジーとも言う)の、「一般的な風景」は、どこかドラクエの記号で語れる。草原、街、洞窟。勇者、魔王、仲間、そしてレベル。日本を代表するRPGのひとつが、わたしたちの想像力の土台にまで溶けているのだと思う。

    数多の小説や漫画、それらの物語が少なからず影響を受けている。

    その中でも、わたしが一番持ち帰ったのは経験値だ。
    経済や統計では経験の度合いを数値化したもの。ゲームでは成長を示す数字。どちらの意味でも、経験値は「少しずつ積む」ことの象徴だ。

    たとえば、初代のドラクエ1。


    旅立ったばかりの勇者はレベル1で、本当に弱い。スライム1匹倒しても息が切れる。それでも、最初のレベルアップに必要な経験値は7。スライム換算で7匹だ。ここを越えると、眼前の世界が少しだけ歩きやすくなる。

    この単純な仕組みを、わたしはnoteやTALESでの創作にあてはめて考える。
    アカウントを作って最初の一本は、ほとんど「ひのきのぼう」みたいな心許なさがある。

    語彙が足りない。構成がぐらつく。
    投稿ボタンが怖い。

    それでも、1本書くごとに経験値が1たまるイメージで進めてみる。7本書けば、手は少し温まる。見出しの立て方、段落の切り方、タイトルの匂いづけ。最初の7本で、体が覚えることがたくさんある。

    大事なのは、いきなりレベル20を目指さないことだ。


    人は一気には強くなれない。ゲームの中でも、現実の創作でも、基本は同じ。今日の一歩が、明日の一歩を軽くする。その蓄積が、やがて景色を変える。

    わたし自身、文章に関して特別な近道を知らない。


    だからこそ言いたいのは、とにかく書くこと。数を重ねること。反応が薄い日もある。思ったより読まれない日もある。それでもドラクエで、わたしが学んだ「スライム7匹理論」を思い出す。次の一本で、経験値はまた1たまる。7たまれば、見える世界が変わる。

    もし、いま足が止まっているなら、最初の村の草原にもう一度立とう。
    タイトルをつけて、短くてもいいから書いてみる。今日の1本が、あなたの創作を確実に前へ押し出す。

    文章力のレベルアップに必要な経験値は、
    書いた分だけ増える。

    わたしたちは、
    その数字を自分の手で積み上げていける。


     
     
     
    好きなことを、好きなタイミングで。 note / TALESで、エッセイやコラム、小説などを書いています。

    あなたへのおすすめ